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2007年2月 6日 (火)

「ノルウェイの森 上」 村上春樹

ノルウェイの森〈上〉 ノルウェイの森〈上〉

著者:村上 春樹
販売元:講談社
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あぁ、やっぱりいいわ、春樹さん。と、安心させてくれる作品。
何回目だろう?4回くらい読んだかも。
「これって官能小説じゃないの?」何て聞いてきた人がいましたが、
違います、官能小説じゃありません。恋愛小説です。
そこんとこ、重要ですから。
しかしながら「ノルウェイの森」ってどの曲なんだろう?
探してみたけど、どれがそうなのか判りませんでした。

恋人同士の直子とキズキ、そこに僕。
こうした輪のような3人の関係は、とても心地がよく温かな空気が流れていた。
キズキの親友は僕であり、僕の親友はキズキだったし、
直子もそう言った点で僕を好いていてくれていたのだ。
しかし突如として起きたキズキの自殺は、
その親密な関係との代償に、僕とそして直子を酷く混乱させた。
数年後、そんな心に古傷を抱えながら再会してしまった僕たちは、
さらに傷ついたり、それでいて懐かしい空気に恋焦がれたりした。
だが、次第に悪化する直子の心の傷は、彼女自身を深く蝕んでゆく。

もう何回か読んでいますが、それでも色あせない輝きが素敵ですね。
そして毎度の事ながら、直子の
「『ノルウェイの森』を弾いて」の部分で鳥肌がたつのです。
いや、別に何とも無い一文なのですが、冒頭の僕ことワタナベが、
頭を抱え身悶えるほど何かを思い出す曲「ノルウェイの森」、
その発端となる彼女の一言に、思わずブルリと身震いしてしまうのです。
それぞれ悩みを抱える登場人物たち。
しかしそれは傾向であり、そう言った悩みは誰だってみな抱えている。
でも、直子のように爆発してしまうほどの衝撃になるには、
さて、どんな思いから来るのでしょうか、と言うのがこの作品。
姉の死、両親との不仲、幼馴染の死、キズキ以外を愛してしまう罪悪感、
直子にはそんな思いがごちゃまぜになって、
僕の言う「不完全な」体を保ち続け、そしてそれを治す事が出来ないでいる。
そんな葛藤が、頑張りたい、でも頑張ると壊れてしまうと言う葛藤が、
とても美しく描かれて、やはりこの味は春樹さんしか出せないと思う。
一番はそれを客体が説明をする部分であり、
その弱っていく様子を、僕がある意味淡々と眺めている様子が、
よりその哀しさを引き立たせる役目を担っていて、その上、
その死をもまた受け入れなくてはいけない僕の思いが辛さが、伝わってくる。
そして、それにはやはり「ノルウェイの森」と言う曲が必要で、
何故かしら付きまとうこの曲が、僕が直子の訴えを聞き続けている証拠なのだ。
突撃隊のように真っ直ぐ生きる人間を皆は笑っている。
でも、僕が言うように彼は少々真面目すぎるだけで笑われるような人間ではない。
だけど、そんな真っ直ぐに生きている人間さえも、
この歪んだ世の中には耐え切る事が出来ない、世知辛いよなのだと。
下巻~楽しみです。
後でゆっくり読みます。

★★★★★*98

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コメント

 るいさんの記事を読んでたら、
 私もすごく読みたくなってきましたよ。
 以前からるいさんにオススメされてましたしね。
 (ずーっと前に、読んでるには読んでるんですけどね)

 予約本が次々やってきちゃうので、
 いつになるかはわかりませんが、
 そのうちきっと、読もうと思います☆
 そのときはぜひ、感想を語り合いましょう(笑)

投稿: miyukichi | 2007年2月 8日 (木) 01:20

>miyukichiさん

こんにちわ!
コメントどうもありがとうございます^^*

>るいさんの記事を読んでたら、
>私もすごく読みたくなってきましたよ。

おぉ!やりましたか、是非読んでくださいね。
そうそう、「ノルウェイの森」は何故か
ふと思い出して読みたくなる小説なんですよねぇ。
あの独特な静かなる葛藤が、いいのかもしれませんね。
ちなみに私はこの話に出てくるワタナベ君が
一番春樹さんの小説の中で好きです。うふふ(笑)
次は「羊をめぐる冒険」の僕あたりかな。

そうそう、図書館って予約本次々来ますよねぇ;
なのに予約を止められない(苦笑)
私のところは予約10件までしか出来ないのですが、
もう9件くらい入れてて・・・。
そろそろドドーッと来ちゃいそうでちょっと怖いのですけども、
一番読みたいのはなかなか来ないんですよ(涙)
あ、先日miyukichiさんが読まれていた、
「制服捜査」も気になったので予約しました!
佐々木さん、実は読んだ事無かったので、初チャレンジです。
後は最近「県庁の星」を書いている桂望実さんに
目をつけてみたりしたのですが・・・ちょっとイマイチだったり・・・。
なんだか、「これいい!!」と絶賛できる小説になかなか出会えません(号泣)

投稿: るい | 2007年2月 8日 (木) 10:25

るいさん、こんばんは。
先日は拙ブログにコメントありがとうございました。
『ノルウェイの森』!なんとも懐かしいです。
私の世代は(とかいうと年がバレる)村上作品を大学の勉強そっちのけで新作が出るたび先を争うようにして読んでいたものでした。
たしか短編の『蛍』という作品を膨らませて書いた長編だったような記憶が・・・。『蛍』のほうを読んで号泣した私は『ノルウェイ』を読んで一時頭がボ~っとするくらい衝撃を受けたものでした。
るいさんのブログを読んでまた再読してみたくなりました。

投稿: 由松 | 2007年2月13日 (火) 20:41

>由松さん

こんにちわ!
こちらこそ、コメントどうもありがとうございます^^*
「ノルウェイの森」懐かしいですよねぇ。
私も忘れた頃にふと読みたくなるんですよね。

>私の世代は(とかいうと年がバレる)村上作品を大学の勉強そっちのけで
>新作が出るたび先を争うようにして読んでいたものでした。

凄いです!
でもそうですよね、好きな作家さんの作品は出る日に、
もしくは予約してでも手に入れてしまいますから!
春樹さんの全盛期?とも呼べる「ノルウェイの森」の頃は、
凄い人気だったと聞いています。
私の高校の国語の先生も大学時代村上春樹が流行っていて、
でも先生は流行り過ぎていて読む気になれないほどだった、と(笑)

「蛍」はあの突撃隊から蛍を貰うところの話ですよね。
屋上でなかなか飛んでいかない蛍を見ている・・・と言う。
確か、何かの短編集に入っていた気がします。
「レキシントンの幽霊」・・ですかね?いや、それに載っていたのは
「ねじまき鳥クロニクル」の原型序章だったでしょうか;?
どの短編集か忘れてしまいましたが、探せば見つかるかと思います。
私は「ノルウェイの森」→「蛍」と読みましたが、
どちらの作品にもしっかりと物語を感じました。
「蛍」は「ノルウェイの森」の一部なはずなのに、
単独で読むとそうではない不思議な魅力を感じた事を覚えています。

私も「蛍」を探して読んでみたくなりました。

投稿: るい | 2007年2月14日 (水) 10:25

こんにちは、るいさん。
この本読みました。
先日読んだ本に比べると、話も長かったので面白かったかな?
でも、ワタナベ君も色んな死に関わっていて、よくもまあこんなに人が死ぬんだなんて思ったりもしました。
ワタナベ君は友達二人を自殺で無くしたんだから、ワタナベ君の精神状態の方が心配です。
今日は、また2冊借りてきたので早く読みたいです。

投稿: fumika | 2007年9月29日 (土) 14:27

>fumikaさん

コメントありがとうございます!

うーん不評だったようで。残念です。
>でも、ワタナベ君も色んな死に関わっていて、
>よくもまあこんなに人が死ぬんだなんて思ったりもしました。
と思われる限りは、春樹さんを好きになれないと思います。

>ワタナベ君は友達二人を自殺で無くしたんだから、ワタナベ君の精神状態の方が心配です。
もっともですが、その心境が描かれているのがこの作品なわけで。
ハードボイルドを装う少年のしたに隠れた本当の心を、
直子を通して感じていただきたかったです。

投稿: るい | 2007年10月 3日 (水) 16:55

 ようやく再読できました♪

 ワタナベくん、いいですね。
 芯の誠実さと、ちょっといいかげんな部分と、
 すごくよい感じですよね。

 以前読んだときには
 官能的すぎる感じを受けたんですが(笑)、
 読み返してみて、とても自然に読めました。
 少しは成長したのでしょうか(笑)

投稿: miyukichi | 2008年1月22日 (火) 21:06

>miyukichiさん

私も久しぶりに再読しようと上巻を読んだまま、
下巻を放置しっぱなしでした…。
昨日読んだ「犯人に告ぐ」も去年から持ち越しだし、
「疾走」もまだ読んでいない…中途半端はいけませんね^^;

ワタナベ君いいですよねぇ~
クールでハードボイルドな…と考えると、
真っ先にノルウェイのワタナベが思い浮かびます。

確かに一番最初は官能小説っぽいかも、
と思っていましたが、実際他の本を読んでみると、
比べてそうでもないですよね。
とか、思ったり。
いや、成長しただけかも知れませんけどねぇ(笑)

投稿: るい | 2008年1月23日 (水) 09:53

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