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2007年1月 9日 (火)

「終末のフール」 伊坂幸太郎

終末のフール 終末のフール

著者:伊坂 幸太郎
販売元:集英社
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世界の終焉。
そこには平穏な世界が崩れ人々が混乱し、乱れ、飛び交う狂気が待ち構えている。
しかし、それら全てをやり終え、ふと我に返った時、
私たちは一体何を考え、残りの人生をどのように過ごすだろうか。
あなたなら、その最後を誰と迎えますか?と伊坂さんに問われるような本。
短編8編なので抜粋して感想を。

世界の終りを地球上の人間が直面してから5年・・・
世の中は混乱が過ぎ去った後の、妙に落ち着いた空気に包まれていた。
残された時間は後、3年。人々はようやく時間の大切さに気づき始めたようだった。
迎え来る最後に怯え死んでゆくよりも、この3年をどう生きるか楽しんでみる、
そんな雰囲気が漂っていた。

「太陽のシール」
何かを選択する、その行為に毎度戸惑う優柔不断な男・富士夫。
人々が落ち着き始めた頃、富士夫にやってきたのは人生最大の混乱だった。
なんと妻・美咲のお腹には赤ちゃんがいたのだ。
7年間悩んだ末、ようやく授かった子供を堕ろすことも憚られ、
それでいて、たとえ生んだとしても子供は3年しか生きられない。
立ち塞がる極めつけの選択肢を前に、富士夫は自分自身に必死に問いかける。

つい、魔王の「考えろ考えろマクガリバー」を思い出してしまった。
話は魔王のように堅くはないのだけれど、
人生の残りを3年だと決められ、その上、出産は待ってはくれない・・・
そんな切羽詰った危機感を、内容柄やけに身近に感じ、
果たして実際に私もそんな決断をする事が出来るかな?
なんて、気軽に、だけど深く考えさせられました。
富士夫とは対照的に、迫り来る3年後の終焉を喜ぶ土屋の登場。
ここがとてもこの話に威圧感を与え、
それでいて雰囲気を明るくしてくれるような不思議な要素があると思う。
子供の行く末に不安を感じ、求める人類平等の死と、
生むのならば4年後も生きたいと願う地球の存続。
これらは対極にあるようで、しかしそうではない。
何も考えず子を授かり出産するのと、「3年しか生きられない」
そう言う余念がありつつ、それでも3年のために生みたいと考えて
出産するのとでは、生まれてくる生命に対しての思いの重さが違うのだ。
子を思うがため求める死と、死を考える事で生まれる子への深い愛情。
きっとこれらは同じ物だと私は思うから、例え3年後、
「ごめん、地球が消滅するなんて嘘だったんだ」と言われたとしても、
富士夫も、そして土屋も幸せな4年目を過ごしているんじゃないか、と思う。
この本の見所は、やっぱりラストの爽快感かな。
「アヒルと鴨のコインロッカー」風のあの爽やかさが凄く好き。
是非読んでから知って欲しいので、書かないことにします。

★★★★☆*94

なんと、記念すべき100冊目でした!
パチパチ。
やっぱり伊坂さんじゃないとねぇ、なんて(笑)
今年も伊坂さん級の作家さんを発掘したい、と思う今日この頃・・・。

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コメント

るいさん、こんばんは!

年明け1冊目、早速伊坂さんですね~。
そして100冊目でもあるのですね!!ただならぬ因縁がかんじられます(笑)

今年も、いろんな作家さんに出会える年になるとよいですね。
私もとことん貪欲に!出会いを探していこうと思います~。

投稿: くろ | 2007年1月10日 (水) 22:05

>くろさん

こんばんわ!
コメントどうもありがとうございます^^*

ふふふ、因縁を気づかれてしまいましたか(笑)
早速伊坂さん。年末年始をまたいでしまいました。
計画では大晦日に「終末のフール」を
元旦に「陽気なギャングの日常と襲撃」を読む予定だったのですが、
ちょっとお流れになってしまって;
そして100冊目。
気づけば「あらまぁ、もう?」って感じですが、
こうして感想をつけているからか、題名を見て内容を思い出せる作品が
以前より多いような・・・なんて思います。

>今年も、いろんな作家さんに出会える年になるとよいですね。
>私もとことん貪欲に!出会いを探していこうと思います~。

私もです!
お互い素敵な作家さんを見つけられるとよいですね!
そして是非是非プッシュしてやって下さいね。
私も良い作品が見つかりましたらお薦めしに参ります^^*

投稿: るい | 2007年1月11日 (木) 03:06

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