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2007年1月28日 (日)

「ひなた」 吉田修一

ひなた ひなた

著者:吉田 修一
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ちょっと吉田さんにしては不完全燃焼なような・・・で。
いや、でもほのぼのとした「ひなた」、
でも実は中身を見てみると結構大変なんだから!
みたいな雰囲気が出ていたので、
もしかしたらコレが狙いなのかも知れませんけどもね。

上品ぶっていないところが上品だよね、そんな家族・大路家。
よく声の通る家に、よく陽の当たる部屋、人に偏見を持たない柔和な両親、
そして取分け仲の悪くはない俺と兄貴・・・それはまるで、
絵に描いたような温かい「ひなたの家」に見えるかも知れない。
でも本当のことを言ってしまえば、俺と兄貴は血が繋がっていないし、
兄は男が好きで、その妻・義姉もこっそりと浮気をしている。
おまけに両親だって・・・。どんな「ひなた」にだって影は潜んでいるのだ。

うーん、何となく物足りないような・・・好きだけど。
何となく「パレード」の低空飛行を知ってしまっているからか、
今回の実は叔母と父親の子でした、と言う設定はインパクトに欠ける気がする。
でも主人公にとって、そりゃあビックリだったでしょうけどね。
そのビックリしているところを書かないのも吉田さんのいい所かな。
でも何となくですね、母を好きだった男性の登場が微妙?
そんな遠くの人間出されても、と結構こじ付けがましい気もしました。
と、まぁ文句ばかり言っていますが、私はほのぼのとしていて好きでした。
坦々と過ぎていく当たり前の日常は、傍から見てしまえば、
変わり映えもなく、おまけに輝いて見えるのかも知れない。
でも中をじっくり覗いてみると、それぞれが必死に挑戦し、
必死に葛藤し、必死に過去に引きずられ、必死に今を愛している。
4人が輪を描きながら、不意に風に吹かれ一瞬裏側が見える・・・
そんな様子が、吉田さんのペースで書かれていて、
「ひなた」されど、よく見れば「日陰の集まり」だと気づかされる。
まったり、坦々と読みたい時に。

★★★★☆*87

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