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2007年1月10日 (水)

「ミカ×ミカ!」 伊藤たかみ

ミカ×ミカ! ミカ×ミカ!

著者:伊藤 たかみ
販売元:理論社
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読み終わった後「面白かった」と一言でくくれないくらい、
沢山の温かい気持ちが溢れ出す本。
雰囲気的に言えば、あさのさんの「ガールズブルー」?
でも私はこっちの方が好きかなぁ。
難点は児童書だと言う事だけです(笑)

小学校時代、「オトコオンナ」と言うあだ名が付いていた僕の妹・ミカ。
がさつで男っぽい。だけど中学生になった僕たちの体は、
少しずつ大人に近づいて、そして気持ちもちょっぴり大人になる。
中学校生活も残り僅かになってきて、迎え来るのは修学旅行。
自由時間を楽しむために、恋人を見つけようと皆がそわそわし始めた。
今まで恋愛に無関心だった僕も例外ではなくて、それにミカだって・・・。
元気でわんぱく、それでいてほんのり甘酸っぱい初恋ストーリー。

何でだか、伊藤さんの文章で読むと、
過去の気持ちが自然に蘇えるように、話の情景が浮かんでくる。
子どもの気持ちをピンポイントで押さえた表現力と、
動物や自然と言った共感しやすい物からテーマを得られるのがいいのかも。
今回出てきたのは「幸せの青い鳥」になりたかった鳥・シアワセ。
鳥が話し掛けてきたり、その上恋のキューピット役をしたり、
と結構現実離れしているのだが、語り手ユウスケの反応がとても自然で、
あまぁあえて言うなら中学生なら喋る鳥なんて信じないかも知れないが(苦笑)
半信半疑のところが、「もし鳥が喋ったら私もそうするかも」と思える。
そんな鳥から得られるのは、ネーミングの通り「シアワセ」だ。
自分を女の子だと思いたくなくて・・・そんな思いを抱きながら迎えた、
ミカの思春期における自分と恋との葛藤が、シアワセを通して伝わってくる。
「シアワセを逃がしたくない」今までの自分と向き合い、
ミカが出した結論は、少しずつミカを変え始め、
兄であるユウスケには、ちょっとした嫉妬と穏やかな嬉しさ生まれる。
ずっと一緒で何でも知り尽くしていると思っていた兄弟に、
少しずつわからない部分が出来てきて、切なくなる。
だけど、それは大人になる第一歩だから、僕は温かく見守っていたいんだ。
と言うユウスケの思いが心地よく、そして爽快だった。
いいなぁ、中学生の時に読みたかった・・・、そんな本。
是非「ミカ!」の後に。

★★★★☆*88

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コメント

もう一年以上も前に読んだせいか、記憶がおぼろげになってきていますが・・

前作「ミカ!」でのミカが本当に男の子みたいだったせいで、今作にはびっくりした記憶があります。

思春期なんだなあ、としみじみ思って。
自分にもそんなときがあったんだなあ・・と懐かしくなって、温かい気持ちになる一冊です。

トラバさせてもらいますね^^

投稿: すきま風 | 2007年1月10日 (水) 22:10

>すきま風さん

こんばんわ!
TB&コメントどうもありがとうございます^^*

確かに「ミカ!」は男のこぽかったですねぇ。
本当オトコオンナみたいで(笑)
でも何となくオトトイのところで泣いていただろうミカを想像すると、
「あぁやっぱり女の子なんだなぁ」と思ったりもしました。
関西弁?(大阪弁?)もいいですよね、
テンポがよくって凄く読みやすく、親近感が湧いて好きでした。

思春期!
私もいつの間にか過ぎ去っていましたが(苦笑)そんな頃もあったかも。
「ミカ!」よりも「ミカ×ミカ!」の方が思春期って感じでしたね!
私もそんな時本当にあったのか・・・?ちょっと不安になってきました(笑)
動物効果でしょうかね、凄く温かい気持ちになりますよね。
果たしてオトトイは動物だったのか?と疑問ですが。
大人の男性が、子供の気持ちを(思い出して?)
書く時ってどんな感じなんだろう・・・とか変な事考えていました(笑)
いや、それほど上手いなぁと思ったのですが、伊藤さんが。
でもこれで児童書以外だとどんな感じなんでしょうね、
まだ読んだ事無いので、今度「指輪をはめたい」でも読んでいようかなぁ・・・
なんて。

投稿: るい | 2007年1月11日 (木) 22:43

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» ミカ! [No-music.No-life]
さっさと大人にならないボクらの、キュートでハッピーな小ライフ。双子のミカとユウスケの昨日・今日・明日・オトトイ。すっぱい涙の向こう側には。 − − − − − − − − − − − − − − − − − − − 伊藤たかみさんの本です。 これは児童書の分類になるのかな? 元々この作家さんを知ったきっかけというのが・・ 高校の図書室の前に貼ってあった掲示板に、紹介記事が貼ってあったことでしょうか。 その写真の映りが良くてですね。 かっこいい!と思って気になってました。..... [続きを読む]

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