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2007年1月18日 (木)

「底辺女子高生」 豊島ミホ

底辺女子高生 底辺女子高生

著者:豊島 ミホ
販売元:幻冬舎
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試験期間中ってなんでこんなに本が読みたくなるんだろう・・・。
詳しい真意は判りませんが、自分の判断によると明らかに現実逃避です。
険しい現実に立ち向かう勇気が削がれ、「もしやもうダメなんじゃない?」
と半ば諦めかけた時、そんな現実と諦めを一挙に初めから無かった事にする。
そんな夢のような幻覚に必須アイテムなのが、本なのです。
あの参考資料文献をたどる重い瞼が、小説の上ではこんなにも滑らかに動く。
まさに魔力としか言い様がありません。
徒然書きましたが、要するに渇望している時に読む本は、より面白いのか。
とかそんなことを考えていました。
一種のアドレナリン効果でしょうか・・・(多分違う)
どうなんでしょうね、面白い物はやはりそのままでも面白いと思いますが、
精神の極限で得られる緊張を緩和させる物質には、
少なからず快感を覚えるのでは?と思ったりします。
長くなりましたが「底辺女子高生」面白かった。それが言いたかったのです。
エッセイなので、どうやって紹介し様か迷うところですが・・・
うーん、取り合えずいつも通りにいってみましょうか。

底辺女子高生、その名の通り高校生時代を「底辺」で過ごした豊島さん。
高校2年生で確立したクラス内でのランク付け、
その中で自分は明らかに最下位だったのだ・・・つまりは底辺。
本当の友達の出来ない息苦しい教室から逃げるように、
彼女は大脱走劇を繰り広げたり、保健室に入り浸って現実を逃避する。
あの頃は自分にとってあのようにする事しか思い浮かばず、
ただひたすらに底辺にいる自分を否定し、もがいていた。
出来るだけ自分が傷つかないように、出来るだけ自分を出さないように、と。
そしてふと高校生最後の日の私を今ゆっくりと思い出してみる。

まず思ったのは、ここまで底辺だとは!、です。
題名にあるように、底辺の女子高生、読む側だってそれなりの覚悟がある。
主人公(エッセイなので作者ですが)はそれなりに暗い生活を送っていて、
その頃の自分がどれだけ惨めであったか・・・。
大抵はそんなことが綴られているのだろうと予想がつくのだけれど、
この本はそんな2行で収められるような一筋縄では行かなかった。
まず挙げなくてはいけないのは、底辺を恐れての「現実逃避」。
自分探しを名目に旅に出たはずなのに、得る物は何一つなく、
そして帰った頃に自分は、さらなる底辺になっている。
周りを気にして、被害妄想が膨らむようになり、いつも何かに恐れていた。
でも、その時は決して気づかない。
豊島さんも文中で、「今だから言える」と書いているけど、
やっぱりこの本の文章は「今になってしか言えない」文章なのだ。
あの時の自分を振返って「馬鹿だなぁ私」と思うけれど、
あの時の自分は自分に精一杯で客観的思考がないから、そんなこと思えない。
過去を振返れば笑い話、そんな事を良く聞くけど、
それは、そんな過去の苦しさや悲しさや切なさを、
心のどこかで「もう2度と感じたくはない」と考えていて、
それでも、それを乗り越えた自分は少し誇らしくて、
そんな矛盾した感情が混ざり合うと「笑うしかない」
と思わずにいられないのではないか、と私は思う。
今回のこの本だって、読んでいると面白くて楽しくて笑ってしまう部分もある。
でも、これは「今」の彼女が書いたのであって、きっとあの頃の豊島さんは、
面白くも楽しくも笑ってしまうことも殆んどなかったに違いない。
過去を振返る。
それは凄く大切な事で、どんな辛かった事だって、
あの頃があったから今の自分がいるのだと、思えるのだ。
この文章を書きエッセイにした豊島さんも然り、
そして、読んだ私たちはそんな彼女の姿を見、何かを得なくてはいけない。
「私昔はこんな子だったの、馬鹿だったわ」と笑うのもいいけど、
「あの時があるから、今の自分がいるのだ」と思え、
そんな過去を面白く伝える事が出来る・・・
それがどれだけ大変か、それがいかに大切かを学びとれた本だと思う。

・・・予想以上に堅苦しくなりましたが、良い話でした。
肥やしになる、なんて言ったら失礼極まりないですが、
経験をせずとも、語り伝えてくれる貴重な体験だと思いました。
もちろん、「あぁ私の過去に似てる」と言う部分もありましたが、
そう思い出して感動する、と言うより、それ以外の思いの方が強かったです。
他の本も俄然読んでみたくなりましたね。
すきま風さん、お薦めどうもありがとうございました^^*

★★★★★*96

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コメント

早速読んで頂けて非常に嬉しいです!
しかも試験期間中なのに(笑)

それにしても・・
この記事・・豊島さんと同じ位に共感してしまいました。

「あの過去があったから、今の自分がいる」って、そういえば昔は笑えない程真剣にやっていたことなのに、今となっては笑いばなしだったりすることが結構あることに気付きます。

トラバさせてもらいますね★

投稿: すきま風 | 2007年1月20日 (土) 21:06

>すきま風さん

こんばんわ!
コメント&TBどうもありがとうございます^^*

読みました!!凄く良かったですよ~。
読んだことによって「檸檬のころ」の豊島さんの
伝えたかった深い思いも伝わってきて、「なるほどね」の一冊でした。
試験中に強行突破でしたけど、悔いはないです(笑)
どうしたものか、試験中に限って楽しい読み始めたら止まらない本に
巡り合ってしまうのですよね~不思議です。と言い訳・・・。

>それにしても・・
>この記事・・豊島さんと同じ位に共感してしまいました。

そう思っていただけて、本当にうれしいです!
私も勿論読んでいる間、本当に楽しんでいたのですけど、
文章の随所から豊島さんの傷ついた感情が垣間見えてしまって;
面白いのだけど、ただその部分だけに捕らわれてはいけなくて、
もっと奥の豊島さんも見なくてはいけない本だ!と思いました。
同じように思っていた方がいたんだ、と思うと安心?しました。

>「あの過去があったから、今の自分がいる」って、
>そういえば昔は笑えない程真剣にやっていたことなのに、
>今となっては笑いばなしだったりすることが結構あることに気付きます。

まさにそうですよね、私もそんな事が多々あって。
最近になって環境?が落ち着いてきたからか、余計にそう感じます。
あの時の自分を笑える、それでなくても話に出来るだけでも、
「あぁ私強くなったかも」って思うんですよね。
勿論、いまだに後悔しているものもたくさんありますけどねぇ(笑)
でも辛かった時の底辺の記憶があるから、今の自分がいるんだ、
って言い聞かせてこれからも頑張っていこう、と言う気になりました。
本当、良い本でした。
こんなに曝け出してくれた豊島さんの勇気に感謝したいですね。

お薦めして下さって、本当にありがとうございました。
豊島さんの他の本ももっと読んでみたいです。
のちほどTBにお邪魔しますね^^*

投稿: るい | 2007年1月21日 (日) 01:12

こんにちは!
TBありがとうございました~。

>「私昔はこんな子だったの、馬鹿だったわ」と笑うのもいいけど、
>「あの時があるから、今の自分がいるのだ」と思え、
>そんな過去を面白く伝える事が出来る・・・
>それがどれだけ大変か、それがいかに大切かを学びとれた本だと思う。

同感です。
自分のしんどかった過去を、面白く伝えることは本当に大変なことだと思います。
しかも押し付けがましくない!
べたべたせず、さらっと語れるようになるまで、自分の中で過去のことを消化できるというのはスゴイ。
私も、そういう経験を重ねて深みのある(そして余裕のある!)大人になりたいものです。

投稿: くろ | 2007年1月28日 (日) 14:32

>くろさん

こんばんわ!
こちらこそTB&コメントどうもありがとうございます^^*

>自分のしんどかった過去を、面白く伝えることは本当に大変なことだと思います。

本当、そうですよねぇ。
勿論、話を読んでいくうちに登場人物たちの思いや、優しさ、
それから豊島さん自身がどれだけ傷ついていて、可愛そう・・・とか、
色々感じる物はあったのですけれども、
読み終わって一息ついた時、「これ書く時どんな気持ちだったのだろう」
と妙にしんみりした気持ちになりました。

>べたべたせず、さらっと語れるようになるまで、
>自分の中で過去のことを消化できるというのはスゴイ。

簡単に真似出来るものではありませんもんね。
でも是非見習いたいなぁと思う「凄さ」ですね。
「過去を消化する」っていい言葉ですね。
私の中にはまだまだ煮え切らない物事がたっぷりごろごろしています。
私も、くろさんに負けないように
「経験を重ねて深みのある(そして余裕のある!)大人」
になれればと!
なれるかな・・・?(笑)
頑張ります。

投稿: るい | 2007年1月28日 (日) 22:47

 またしてもエラーに跳ね返され続け、
 時間をおいて再チャレンジ♪

 TBさせていただきました☆

 なんかね、るいさんと私、逆のこと書いてました^^;;
 いや、私は「底辺じゃないじゃーん」だったんで。。

 もっと若い頃に読んでたら、
 共感の度合いも違ったのかもしれません(笑)
 いや、それなりに生きてると、
 あんなの「へのカッパ」(死語?)ですから、ほんと^^;;

投稿: miyukichi | 2007年2月14日 (水) 00:09

>miyukichiさん

こんにちわ!
TB&コメントどうもありがとうございます^^*
ややや、TBされていないようです;
お手数お掛けしますが、お暇な時にまたチャレンジして頂ければと>△<
本当、最近多いんですよねぇ不具合が。
管理画面にすら飛べなかったりして、
これはもう引越し時だよと?・・・でも面倒で。
しかも使い慣れてしまったのもあり・・・なかなか決心つかないのですが;

>なんかね、るいさんと私、逆のこと書いてました^^;;
>いや、私は「底辺じゃないじゃーん」だったんで。。

確かに文章を読む限りだと、底辺じゃないんですよね。
読んでいる側も思わず笑ってしまったりして。
でも今現在この文章を書いている豊島さんは笑っているかも知れませんが、
文章に描かれているあの時の豊島さんは、決して笑っていなかったはずです。
時間が経てば越えられる、と言う心の傷が、
呼んでいる間にふと垣間見えるようで、私は切なくなりました。

豊島さんは過去を乗り越えるためにエッセイを書いている。
だけど、辛い過去を正直に正面から話すのはとても辛いから、
そのために、面白可笑しく笑ってごまかしているのだ、と思いますよ。
多分、笑わずに真剣に書いたら、
東野圭吾の「手紙」のような暗さになるのでは?と推測します。
例えがおかしいですが(笑)
気分が沈んでいると、他人までも疑ってしまうのです。
だから「この人は、仲良くしてくれる。でも心のどこかでは嫌われてる」
と毎日被害妄想を抱えてお通夜のように過ごしていたのだと思います。
それが彼女にしてみれば「底辺」だったんでしょうね。

勿論、今の豊島さんからすれば、
「あんなに被害妄想を抱えていたなんて馬鹿みたい」と思っているでしょうし。
そしてそこで「馬鹿ですよね。そう思いませんか」
と自虐して、周囲を笑わせようとしているのがこの本なのだと。

>あんなの「へのカッパ」(死語?)ですから、ほんと^^;;

そうですね。
多分miyukichiさんは過去を乗り越えてゆける凄い人だからだと思います!
私は過去を振返って、たまに怯える事があります。
また、あんな事が起きたら・・・と考えると鳥肌が立つこともあります。
それはきっと前向きに生きている人にとったら、
笑ってしまうような内容かも知れません。
私もいつしか過去を「屁のカッパ」だって笑って、
きちんと前を向いて歩いていけたらなぁ、と思いました。
miyukichiさんのような明るい人になりたいな、と日々思います(本当に!)

長くタラタラ書いてしまいました~すみません;

投稿: るい | 2007年2月14日 (水) 11:00

 再TBさせていただきました◎

>読んでいる側も思わず笑ってしまったりして。
 でも今現在この文章を書いている豊島さんは
 笑っているかも知れませんが、

 実はね、そんなに笑えなかったんですよね^^;;
 で、豊島さんもほんとの意味で笑い飛ばせる領域にまでは
 まだ達していないように感じてしまったんですよね。。
 
 ま、でもそういうところも含めて、
 せつないなぁと感じたのはたしかなんですけど。

 私は全然すごい人じゃないですよー。
 たぶん、るいさんや豊島さんほどの若さを
 過ぎてしまったがゆえの達観だと思います^^;;
 
 豊島さんの小説を読んでたら、
 もっと感情移入できたのかもしれませんね。
 今度ぜひ読んでみようと思います♪

投稿: miyukichi | 2007年2月14日 (水) 21:09

>miyukichiさん

こんばんわ~!
TB&コメントどうもありがとうございます^^*
今度はTBばっちりです☆お手数お掛けしました;

>実はね、そんなに笑えなかったんですよね^^;;
>で、豊島さんもほんとの意味で笑い飛ばせる領域にまでは
>まだ達していないように感じてしまったんですよね。。

私も笑ったと言っても、ゲラゲラ笑ったわけではないですけども;
確かに本当の意味で笑い飛ばせる領域ではないのでしょうね。
その痛々しさと、強がっている様子が「頑張ったね」って感じなんですよね。
そうそう、切ないのですよ。
私も勿論そう言うところも含めてです。

いやぁ・・・私はクヨクヨした人間なので・・・。
もう何度人生を辞めようと思ったことか(苦笑)
振り返っていても気分がプラスな時間あったかな・・・?と不安になりますし。
miyukichiさんのブログを読むと、
あぁこんなに明るい思考になれたらなぁって思うんですよ。
達観、してみたい・・・とは違うかも知れませんが、そんな感じになるのかも?
成長したいものです、勿論精神面で。

私も豊島さんの他の著書読んでみようと思います。

投稿: るい | 2007年2月14日 (水) 22:28

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