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2006年12月14日 (木)

「日曜日たち」 吉田修一

日曜日たち 日曜日たち

著者:吉田 修一
販売元:講談社
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吉田さんの本は今までに何冊か読みましたが、
ビデオで映像を撮影する、と言う行為に何かを感じでいる人なんだな、と。
やたらとビデオで撮影するシーンやそれを観るシーンが出てきます。
ちょっと変わっている・・・と言うより、
読者はそこから何を感じるべきか、と言う点で悩みます。
この本もなかなか面白かった、やっぱり吉田さん好きみたいです。

それぞれの人間の、それぞれの日曜日。
恋人と上手くいかない男、泥棒に入られてしまった女、
恋人を事故で亡くした男、女運のない男、恋人から暴力を受ける女・・・。
そんな5人の生活の片隅に、ひょいと家出をした兄弟が姿を現す。
ある者はチョコレートを、ある者は鮨を、ある者は生き延びる勇気を差し出した。
振返れば目も向けたくないような酷い過去だけれど、
その中でのさり気ない行動が兄弟を助け、実は感謝に溢れているのだ。
人生、そんなに捨てた物じゃないかも知れない、と言う話。

中身は短編ですが、2人の兄弟の登場で話は全て繋がっているように見える。
それぞれに悲惨な人生を送る登場人物たち。
一番印象に残ったのはやはり「日曜日たち」かな。
相手の男を浮気させてまで奪い取った恋。
しかしそこに待ち受けていたのは、冷酷な暴力だった。
逃げ出したいのだけれど逃げ出せず、民間の相談センターに電話を掛ける。
そんな姿の自分の姿を思い出した時、プライドの高い人間として、
虫唾が走ったり、事故嫌悪したりするのではないだろうか。
例え傷ついた自分を2人の兄弟に重ねて感傷に浸っただけの事であったとしても、
不意に成長した彼らに出会った時の、何とも言えない嬉しさは計り知れないと思う。
何故か引き止めてしまった2人が、自分が引きとめたことによってどう変わったか。
木陰から見つめる仲の良さそうな2人の姿を見てどれだけ安堵しただろうと、
また、ピアスを見た時の「私は間違ってなかったんだ」と言う思いが、
そっと心を温かくさせる。最後にこんな隠し種を持ってくるなんて憎いねって(笑)
人生、そんなに捨てたもんじゃないかもって、
暗い過去の合間に見える優しい光を見ながら、考えてしまう。
吉田さんの書く男の子が好きですねぇ、特に主体になってる時の。
適度にいいかげんで、適度に傷つき、適度に捻くれていて、そしてエロい。
もっとも表現したい人間と言う生き物の均等な性質を生に描いている気がする。
なかなか、好き。
今度は「東京湾景」かなぁ、あ、でも「7月24日通り」かな映画の前に。

★★★★☆*88

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コメント

文庫版は、確かに平井堅ですね(笑)濃いなあという印象が強いですが。

確かにビデオ撮影のシーンが多いですね。
私は基本的に写真とか撮られるのが好きじゃないので、どうとっていいのか分かりませんでしたが。。

最後の息子もビデオでしたね。
何でだろう?

兄弟たちの話が最後安心できるものでとてもほっとしました。
離れ離れになっても、ちゃんと二人は強い絆で繋がっているんだと思えて嬉しかったです。

投稿: すきま風 | 2007年4月 3日 (火) 23:05

>すきま風さん

こんばんわ~コメントどうもありがとうございます^^*

やはりそう思われますか(笑)
濃いですよね、本当遠くから見るととても平井堅でした。

そうそう、ビデオシーンが多いなぁ、って言うのが印象ですよね。
でも最近のにはあまりビデオは出てきません。
私もビデオとか写真とかあまり好きではないです・・・。
が、最近過去を偲ぶ(笑)ために、たまに見るのもいいかなぁ、
と思うようになりました。
母が何故か最近アルバムを引っ張り出すので、つい見てしまいます。
ビデオはどうだろう?撮ってあるものといったら、
きっと幼稚園のお遊戯会とかの映像ですね(笑)

最後の息子もビデオでしたね。
と言っても、最後の息子は違う意味でビックリだったので、
ビデオどころではなかったのですけども(笑)

兄弟の最後は良かったですよねぇ~読んでから随分経ちますが、
最後の爽快感はしっかり覚えていますよ。
お兄さんと会話をした後の心が温まる感じが好きですね。

投稿: るい | 2007年4月 5日 (木) 00:36

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