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2006年12月26日 (火)

「ハードボイルド・エッグ」 荻原浩

Hardboild01 ハードボイルド・エッグ

著者:荻原 浩
販売元:双葉社
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終始ウケ狙い。まさか「明日の記憶」の作者が書いたとは思えない、
読んでいて思わず笑ってしまうエンターテイメント小説。
感動小説もいいけど、たまにはこう言うのもいいかもね。
私的に主人公は阿部寛でした・・・トリックの上田みたいな感じ?
でももう少し若い気もしなくもない、かも。

固ゆで玉子・・・ではなく、ハードボイルドに成り切れない私立探偵・最上。
マーロウに憧れ私立探偵事務所を営んでいるが、
舞い込んでくる仕事はお尋ね人ならぬ、お尋ねペットばかり。
そんな傾きかけた経営と気分を立て直そうと秘書を雇う事にしたが、
こちらも失敗、やって来たのは年齢を詐称した婆さんだった。
追い返すわけにもいかず、最上は婆さんを背負ったままペット探しに繰り出し、
ワン事件やニャン事件をハードボイルド気取りに珍解決してゆく。

面白かった。「ハードボイルド・エッグ」とは何の事は無い、
最上の言葉を借りれば、茹で過ぎてしまった玉子の事だ。
と、言うのは冗談で、ハードボイルドに成り切れない探偵の事。
ひょんな事からパートナーになる婆さんとのコント紛いの会話が面白く、
またハードボイルドを気取り、必ず失敗する行動に思わず笑いが沸く。
相手の攻撃を俊敏にかわし、パンチを食らわせる格好いい私。
その想像を丸っきり相手にやられた自分の体は吹っ飛んでいた・・・、
など、心の声が聞こえた後、失敗する様子が滑稽極まりない。
話は、ペットにまつわる事件から、殺人事件へ。
お決まりな感じの話の展開ですが、飽きさせないギャグ盛りだくさん。
いつも足手まといなのについて来る婆さんを貶しながら、
実はどこかで思いやっていて、言い訳の様に答える最上の性格がいい。
ただし、この本の欠点は、汚らしい・・・。
事件の解決にホームレスが重要な鍵だったり、
動物が出てくるので糞尿や匂いの描写があったり。
面白おかしく読んでいるので、あまり気にならない?とは思いますが、
決して綺麗な話ではない。まぁそんな汚いシーンがあるから面白いのかも。
ラストはちゃんと感動もあったりして、
話の流れだと、ケタケタ笑って「なーんちゃって」って終わりそうですが、
失速して涙を求めてくるのは荻原さんらしいかな。
最後は感動で。荻原さん作品、そこんとこ重要ですから。

★★★★☆*89

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コメント

るいさん今晩は!

「ハードボイルド・エッグ」読了お疲れ様でした。
気に入ってもらえたようでお勧めしたかいがあります
荻原さんの作品「明日の記憶」から入った人はとまどう
でしょうね、でも彼の作品は基本的にこういう作風なん
ですよ、「誘拐ラプソディー」も凄く楽しめる作品です。
ラストはじんときましたよね、私は自分の記事を書いてるときに
思い出しちゃって涙が溢れちゃいました。
個人的には「私」に最後看取ってほしかったと思うんですが
こういう終わらせかたもまた荻原さんらしいなとも思いましたよ

私は今年を越す前にキング氏の「ダークタワーⅦ」を読んでしまおうと
思ってます。ようやく上巻が読み終わりました。
ぎりぎりかな・・・
その前に佐々木譲の新刊「制服捜査」を読了しました。
なかなか楽しめましたよ「このミスてりーがすごい!」で2位になった
作品です。

投稿: せつら | 2006年12月28日 (木) 21:19

>せつらさん

こんにちわ!
TB&コメントどうもありがとうございます^^*

「ハードボイルド・エッグ」結構長かったのに気にせず読めました!
さすがせつらさんのお薦めには間違いがないなぁと。
確かにそうですね「明日の記憶」から入った方は戸惑うかも知れませんね。
私はこういったお茶らけた感じの荻原さんが好きで読んでいます。
「オロロ畑~」とか「神様から~」が好きですね。
「コールドゲーム」はどうしちゃったの?って感じでしたけど;
勿論「明日の記憶」もいいですけどねぇ、
荻原さんこう言う本も書けるんだ!(ちょっと失礼?)とビックリ。
先日図書館で「誘拐ラプソディ」は借りてきました♪
正月にでもゆっくり読もうと思います。

ラスト良かったですよねぇ!
「おぉこうきたか!」と思いました。
上にも書きましたが、失速して涙を求めてくるのは荻原さんらしいかな。
とやはり私も思いますね。最後は感動で締めるのが荻原さんだ。
なんて勝手なイメージがあったりします。

「ダークタワー」ですか・・・存じ上げませぬ;
Ⅶ・・・ってことはそれ以前のもお読みになってるって事ですよね。
凄い。せつらさんは海外作家も沢山読まれていますもんね。
私はシャーロックホームズシリーズ位しか読みません;
あとはハリーポッター?(笑)
佐々木譲も読んだことないですねぇ;
「制服捜査」、題名からして面白そうです♪
「このミスてりーがすごい!」ですか、なるほど!
せつらさんのレビューを参考に後ほど読んでみようと思います^^*

投稿: るい | 2006年12月29日 (金) 13:11

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