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2006年12月21日 (木)

「天国はまだ遠く」 瀬尾まいこ

天国はまだ遠く 天国はまだ遠く

著者:瀬尾 まいこ
販売元:新潮社
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瀬尾さん2冊目。なかなか。
もうちょっとラブな最後になるのかしら、何て思っていたのですが、
微糖でおさえて、尚且つ華やかにする瀬尾さんワールドに拍手。
長生きするのもいいかもね、なんて思っちゃいますね(笑)

北。そのまた北の小さな集落、そこには客の来ない民宿・たむらがある。
何をやっても上手く行かない仕事と、拗れた人間関係に圧迫され、
身も心もボロボロになった私は、人生に見切りを付け睡眠薬で自殺をはかった。
しかし、私は死に切れず、2日後の朝に目を覚ましてしまう。
美味しいご飯や、人里はなれた広大な自然で過ごす気持ちよさと、
悩みや話の相手になってくれる民宿の田村さん。
1日、2日・・・5日・・・1週間とただただのんびりと生活しているうち、
今までのことは凄くちっぽけな事だったんじゃないか、と考え始める。

凄く世界の狭い話ですけど(笑)とてもいい話でした。
だって田村さんと久秋くらいしか名前出てこないしね。
仕事が行き詰って、人間関係がもつれて、体調が悪くなって・・・。
とても経験があるので、頷きながら読んでしまったけど、
そんな時って凄く視野が狭く、目の前にあることしか考えられない。
仕事なんて今の時代いくらでも転職できるって言うのに、
いざ辞めるとなると、陰口を叩かれるんじゃないか、と心配する。
(鬱になるいい例かと思いますが、こんなんじゃまだ鬱ではありませんよ)
あぁ死んでしまえたらどんなに楽だろうに・・・と思うのです。
でも、目覚めてしまって気づいたように、
自分はなんて恐ろしい事をしたんだろう、と蒼くなる。
自ら命を投げ出す時、その時の意思は確固たるものだと思っていたのに、
改めて見てみれば、それはただ勢いづいて周りを見失っていただけなのだ。
その事に改めて気づいた主人公と、周りを囲む穏やかな景色が心地いい。
ここにずっといれたらいいだろうに。
そう思うけど、これもやっぱり間違いで、
私にはここでは無い場所にきちんと居場所がある。
それがどこにあるがはまだ判らないけど、私は戻らなくちゃいけない。
振り返ってみた時、「あの時はよかったな」と後悔を含め思い出すのではなく
「あの時のお陰で今があるんだ」と思える暖かい場所。
ラストのマッチもまた会えるのかな、なんてロマンスがあるのかなと思ったり。
ほんわかないいお話。瀬尾さんは深刻な事を柔らかく優しく伝えてくれます(笑)

★★★★☆*87

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コメント

今晩は、コメントありがとう

瀬尾さんの作品はテーマのわりに暖かく未来ある作風なので読んでいて
心が温かくなります。
この作品も仕事に疲れ人間関係にも疲れた女性が見知らぬ田舎の村で
自殺しようとしたことがきっかけのお話だものね、瀬尾さんの作品を読むと
未来は捨てたもんじゃないんだよって訴えてるように気がします。

投稿: せつら | 2006年12月21日 (木) 19:29

>せつらさん

こんばんわ!
こちらこそTB&コメントどうもありがとうございます。

>瀬尾さんの作品はテーマのわりに暖かく未来ある作風なので読んでいて
>心が温かくなります。

本当、そうですよね!
どんなに深刻なこともふんわりと、それでいてじっくりと心に沁みるように。
読んでいてとても温かい気持ちになります。
瀬尾さんの書く登場人物もそう言った雰囲気を持っていて、
これまた、そこから繰り広げられる会話にとても惹かれますね。

そうそう、この作品もテーマは自殺と再生の話ですよ、
ちょっと下手したら凄く暗い話になってしまうし、
だからと言って張り切りすぎても「本当に自殺する気あったの?」
ってなっちゃいますしね。
それを何食わぬ顔で仕上げておいて、
さらに未来を見据え励ましてくれる瀬尾さんに拍手でした。
未来は捨てたもんじゃない、そのとおり、明るいラストから得る希望と
田村さんとのこれからに期待したいですね。

投稿: るい | 2006年12月22日 (金) 01:33

 読みました♪
 毎度のごとく、TBさせていただきますね☆

 そうなんですよね、死ぬ気になれば何でもアリなのに、
 行き詰ってるときって、そう気づく余裕すら、
 失ってるんですよね。。。

>振り返ってみた時、「あの時はよかったな」と
 後悔を含め思い出すのではなく
 「あの時のお陰で今があるんだ」と思える暖かい場所。

 そうですね、ほんと。
 後悔してしまうのは仕方ないけど、
 でも、それ以上に何かを得ているはずで。
 そう思える暖かい場所、大切にしたいですね。

投稿: miyukichi | 2007年1月 5日 (金) 21:31

>miyukichiさん

おはようございます!
コメントどうもありがとうございます^^*

お読みになりましたか!
瀬尾さんいいなぁ、と改めて思った本でした。

そうなんですよ、人間どんな人でも落ち込む時はありますよね。
死ぬ気で・・・とよく言いますが、
私は死ぬ気で頑張ったと言うことをしたことが無いかもしれない。
なんて読んでいて思いました。
「死んだらどんなに楽だろう」と思ったことは何度もありましたけど、
この本を読んで、物凄く疲れたら死んだと思って一度周りを真っ白にできたら、
もう一度新鮮な気持ちになって頑張れるのかもしれないな、と思いました。
全部を捨てるのには勇気が要るけど、死ぬよりは何十倍もマシですね。

>振り返ってみた時、「あの時はよかったな」と
 後悔を含め思い出すのではなく
 「あの時のお陰で今があるんだ」と思える暖かい場所。

思い出した時に心が温まる場所ってなかなか表現しづらいと言うか、
そこを瀬尾さんは素敵に表現してくれて、凄いなぁと。
なんて言うか、まるで桃源郷みたいな?
いや、でも桃源郷は憧れだから違うかな・・・?
暖かい場所、まずは見つけなくちゃ!って言う段階かもですが(笑)
大切にしていきたいですね。

それから田村さんとのこれから、も気になりました(笑)

投稿: るい | 2007年1月 7日 (日) 07:01

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受信: 2006年12月21日 (木) 19:20

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 瀬尾まいこ:著 『天国はまだ遠く』    いろんなことに行き詰まり、  何もかも(自分の命さえも)捨てるつもりで  たどり着いた、山陰か北陸の鄙びた村。  「木屋谷」というその集落で、  “再生”していく「私」――。  筋書きは、もう読み始めてすぐから  読めてしまいました。  だから、わりと淡々と読み進めてはいたんですが、  でも、読んでて心地いいのです。{/hikar... [続きを読む]

受信: 2007年1月 5日 (金) 21:26

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