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2006年12月18日 (月)

「春、バーニーズで」 吉田修一

Berne01_1  春、バーニーズで

著者:吉田 修一
販売元:文藝春秋
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吉田さん、すみません。
白状してしまうと、何が言いたいのか良く判らなかったんですよ。
これは完璧に理解力不足かと思われますが、
睡魔と闘った読書だったので。とか若干言い分けしておきます。
気になっていたのですが、最後の章「楽園」って繋がっているのでしょうか?
それだけ一人称で「僕」になっているので違和感が凄く・・・。

筒井が結婚する時妻は一児の母であり、いわゆるこぶつきと言うヤツだった。
周りが子持ちの女を娶る事にあまりに感謝を表現するので
不本意にも、なんだかハズレくじを引いたような妙な気持ちになる。
妻と、血の繋がらない息子。
妻を愛しているが、筒井にも人知れぬ男娼としての過去があるように、
2人の間にはやはり少なからず個人的な秘密があるのだろう。
その窮屈な現実を正面から考えた時、何も考えずに済んだ少年時代が
急に懐かしく思え、どうか、どうか戻る事は出来ないかと心が揺さぶられる。

あらすじを書く時点で、「えーとどんな話だっけ?」と首を傾げた。
話はきちんと完結していてそれなりに纏まりがあるのに、
どこか混沌としていて、一体どこを掻い摘めばいいのか良く判らない。
男娼の相手だった男との再開で、過去の自分がどんなに惨めであったかや、
再婚したにもかかわらず、息子に会いに来る元の旦那への煩い。
折角完成され様としていた筒井と言う一人の大人が、
それらの登場により不安定で歪なまま定着してしまう。
きっと心のどこかではこの結婚を疑う思いすら出てきていて、
それを打ち消そうと必死に何かに焦っていると言う姿を現している。
そんな錯綜した思いが詰め込まれていて、
深い思いを知ると共に一言では纏められない難しさが存在する。
急に思い出した時計がどうかそこにあってはくれないか、と懇願したのは、
やはり何も考えていなかった頃の自分の真っさらな気持ちを求めていたのだろう。
それにしても「楽園」って繋がっているのでしょうか?
掲載雑誌を見ると一つだけ違うみたい。
「あなたの足元に何が埋まっているか」と言う質問に、
思わず私は「死体?」とか思ってしまったのですが、どうでしょう。
だって吉田さんだし最後は失速しないと・・・(笑)

ショートショートだと思って読めば面白いお話だと思います。
意味も深く考えなくていいしね。次は「7月24日通り」で。

★★★☆☆*79

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