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2006年12月19日 (火)

「ミカ!」 伊藤たかみ

ミカ! ミカ!

著者:伊藤 たかみ
販売元:理論社
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何だかふと読みたくなって借りてきました。
懐かしい、昔読みました。森さんの「カラフル」の頃だから中学生かな?
そうそう、結構最近知ったのですが伊藤さんの奥さんって角田光代さんらしい。
夫婦で作家ってすごいなぁ。しかし生活はどうなんだろう。
毎日〆切りに追われているのだろうか・・・とか考えながら読んでしまった(笑)

僕にはお父さんとお姉ちゃんと双子の兄弟・ミカがいる。
お母さんは離れて暮らしているけど、まだ離婚はしていないみたい。
ミカはやんちゃですぐに男の子と喧嘩するし、
自分の事を女の子扱いするヤツんを片っ端からやっつけてしまうオトコオンナだ。
ある日僕がミカに連れられてゆくと、そこには奇妙な生物・通称オトトイがいた。
オトトイは硬い体をしてあまり動かない、キュウイしか食べないへんなヤツ。
僕たちがこっそりオトトイを飼い始めてから、
お父さんと喧嘩したお姉ちゃんは家を出て行ってしまった。
ミカはオトコオンナだから、悲しくないし泣いたりしないと言っていたけど、
その頃からオトトイの体はだんだん、だんだん大きくなっていく―。

懐かしい、の一言です。
児童書だって忘れて没頭して読んじゃいました(笑)
昔読んだ時は、語り口の僕の口調が軽快で(大阪弁だし)読みやすく、
乱暴な女の子・ミカとの調和が面白いな、と思っただけだった気がする。
今回は恥をしのんで読んだかいあり、ミカの成長ぶりを味わえてよかった。
この本にはオトトイと言う悲しみを取ってくれる、未知の動物が出現するが、
この存在が可愛いちょっとしたペットの領域を飛び越え、
成長過程の子供の心を支える重要な役目を担っている事に気づかされる。
男の子になりたかったミカ。
でも女の子の意識がないわけではなく、幼い頃からの成長で、
自分が女である事がとても似合っていなくて惨めだと思っている。
おっぱいが大きくなる事も、生理になる事も許せない。
しかし、コウジの告白によって、自分は女なのだと改めて認識したように、
ちょっとした具合で見えてくる女の子の部分のミカが隠れているのだ。
でも頑なに育った心を開放するのは難しく、一筋縄ではいけない。
そんな時あらわれるオトトイはその矛盾を解くための重要な存在である。
オトトイがどんどん大きくなっていったように、
そこには隠していた女の子のミカの涙がたっぷり詰まっている。
こっそりとベランダで泣いているミカの姿を思い浮かべると、
いつもやんちゃで賑やかな分、すごく切ない気がした。
児童書でありながら、しっかり押さえるべきポイント、
例えば親の離婚であるとか、兄弟と離れる悲しさだとか、
子供同士での気持ちの使いあいなど、しっかり盛りこま出ている。
最後に少し突き放したようにいなくなるオトトイだけれど、
「でももう大丈夫でしょう、いっぱい泣いたんだから」
と言う明るい励ましが込められているようで気持ちが良かった。
おとといに涙を残して、さあ明日は笑顔で頑張って。と背中を押される明るい本。

★★★☆☆*87

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コメント

お久しぶりになってしまいました。
私が伊藤たかみさんを知ったのは、高校の図書室の前にある掲示板に何かの賞を受賞した伊藤たかみさんの記事掲示されていたことがきっかけです。

そして、その後この「ミカ!」を読みました。
微笑ましくて、ちょっと切なくて。
もう自分には失われてしまったあの頃の甘酸っぱさが蘇ってきました。

私も最近奥さん角田光代さんだということを知って驚きました。

投稿: すきま風 | 2006年12月23日 (土) 23:32

>すきま風さん

こんばんわ!
TB&コメントどうもありがとうございます^^*

お久しぶりですね!体調の方は大丈夫ですか?!
ブログちょこちょこお邪魔してはいたのですが、
更新なさってなかったので心配しておりました^^;

>私が伊藤たかみさんを知ったのは、高校の図書室の前にある掲示板に何かの賞を受賞した伊藤たかみさんの記事掲示されていたことがきっかけです。

そうでしたか!伊藤さんいくつか賞取られてますよね。
確かこの作品「ミカ!」で「小学館児童出版文化賞」取ったって書いてありました。
「ミカ!」の前となると、デビュー作ですね!
「助手席にて、グルグル・ダンスを踊って」は文藝賞だそうです。
なんとなく児童文学系の方なのかなぁ、と思っていたのですが、
最近の芥川賞の「八月の路上に捨てる」とかを考えると、
そうでもないのかな?とか思い始めていたりします。
とは言っても、伊藤さんの本はこれしか読んだ事無いのですが;
「ミカ!」のあとは「ミカ!×ミカ!」でも読んでみようかと思います。

>もう自分には失われてしまったあの頃の甘酸っぱさが蘇ってきました。

私もです!
児童向けと言いつつ、やはり書き手は大人ですから、私は読んでいて、
違和感を感じる事が結構多かったりするのですが、この本はそれがないです。
キュウイしか食べないオトトイ、いい設定ですよね。
変な形をしていて、しゃべる事もなく、愛想もない。
なのに何故か心を癒してくれて、そしてそこにミカの心の成長が加わって。
甘酸っぱさのいいブレンドですよね、読んでからも心にしっかり残ります。

角田さん、ビックリ。
売れっ子作家同士だから余計ですね!
そうそう、さっき調べていてまた発覚した事実が一つあるのですが、
歌手の平井堅と中・高校の同級生らしいですよ。
世の中狭いです(笑)

投稿: るい | 2006年12月24日 (日) 02:37

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さっさと大人にならないボクらの、キュートでハッピーな小ライフ。双子のミカとユウスケの昨日・今日・明日・オトトイ。すっぱい涙の向こう側には。 − − − − − − − − − − − − − − − − − − − 伊藤たかみさんの本です。 これは児童書の分類になるのかな? 元々この作家さんを知ったきっかけというのが・・ 高校の図書室の前に貼ってあった掲示板に、紹介記事が貼ってあったことでしょうか。 その写真の映りが良くてですね。 かっこいい!と思って気になってました。..... [続きを読む]

受信: 2006年12月23日 (土) 23:34

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