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2006年11月

2006年11月28日 (火)

「パーク・ライフ」 吉田修一

パーク・ライフ パーク・ライフ

著者:吉田 修一
販売元:文藝春秋
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これ芥川賞だって。知らなかった・・・!
でも通りでいい作品なわけだ、とちょっと納得した。なかなか、なかなか。
「最後の息子」の閻魔ちゃんは衝撃的でしたが、これはそんな気もなく素直に面白い。
何となく大崎善生さんと作風が似てるかも知れない、と思わなくも無い。
過去を遡らないあたりが大崎さんとは違うかな。短編2本立て。

「パーク・ライフ」
地下鉄の中で不意に出合った名前も知らない女と、日比谷公園で再会した。
公園には色々な人間がいて、人それぞれ色々な事をしている。
僕はお気に入りのベンチでいつものように、過ぎ去った過去を思い出しながら、
公園のどこでもないどこかを見つめ佇んでいた。
なぜか人は公園に集まり、休憩を取る。誰にも鑑賞されない場所が必要なのだろう。
しかし、僕達のようにいつの間にか結びついた関係はまるで公園内の臓器のようで、
自分から離れていく事を必用に拒んでしまったりするのだ。

最後まで女の名前が出てこない事を忘れていた。
それくらい短い期間で急激に親密な距離を作っていた2人だったが、
本当はお互いの名前を知らないくらい遠いのだ。
よく「知らない人に程、深刻な相談ができる」と言うが、
公園はまさにその格好の場所であったに違いない。
近藤が赤ん坊が腹の中にいる時は「異物」だと感じ、
出産し、自分と切り離された瞬間に「自分」だと言ったように、
僕と彼女との微妙な距離も、まるでへその緒で繋がる異物だったのだろう。
彼女が「私ね、決めた」と言った瞬間にその緒は切れて、
2人はまさに母体から出たかのように別々に公園を去ってゆく。
それまでの曖昧な関係は一掃され、彼女の「決めた」は、
きっと今以上に僕に近づき、ゆくゆくは名前を明かす覚悟を「決めた」のだと思う。
吉田さんって背景描写が上手いなぁ、と思った。
人物の生い立ち・・・ではなく背景の描写。はっきり言えば景色。
この話の舞台も煩雑な日比谷公園だったりするが、
何となく吉田さんの文章を読んでいると「きっと東京が好きなんだろうな」
と思わせるような少し情の滲んだ描写に感じるのだ。
それがストーリーに上乗せされ、濃い味が出る。そんな雰囲気。

★★★★☆*92

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2006年11月27日 (月)

「隠し剣秋風抄」 藤沢周平

隠し剣秋風抄 隠し剣秋風抄

著者:藤沢 周平
販売元:文藝春秋
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すごーく久しぶりに藤沢さん読みました。
「武士の一分」原作です。
とは言っても短編集なので「武士の一分」は9本立てのうちの1本。
しかしながら短編集とは思えないほどの重量感、お見事です。9本全ていい。
噛めば噛むほど味が出るストーリーでどっぷり江戸に浸れます。
私的には主人公・新之丞は断じてキムタクではない。

「盲目剣谺返し」(「武士の一分」原作)

三村新之丞は、公務中に病にかかり視力を失った。
光の無い世界にようやく慣れ始めた頃、妻・加世の不倫に気づいてしまう。
視力を失った事で、今までは感じなかった嗅覚や聴力が鋭くなり、
妻から漂う化粧の匂いや、言動の違和感を嫌でも感じ取ってしまうのだ。
闇に住む自分を以前より増して甲斐甲斐しく接してくれる妻を前に、
新之丞は「この女を失っては、生きていけまい」と暗く激しい決心を固める。

泣いた、迂闊にも(笑)
原作だ、と張り切って読んだと言うこともあるかも知れませんが、
これは映像化を狙って書いたような話だなと感じつつ、まんまと策にはまりました。
視覚が無い。ただそれだけで、他者とは劣り悔しい思いをする。
また、その事によって耳や鼻からもたらされる望んでいない情報が、
止まることなく鋭く流れ込み新之丞を苦しめていた。
妻が傍を通った時に嗅いだ、いつもより濃い化粧の臭いにどれほど怯えただろうか。
江戸に息づく心意気で、不倫が露見すれば両成敗であろうが、
そうと判っていたとしても、酷く傷ついたに違いない。
失ってからしか判らない優しさに気づいた時、
それがあまりに大きいものだと知って、悲しみ後悔するのだ。
新之丞が箸をつけ、懐かしい味が口に広がった時、どんなに嬉しかったろう、と思う。
江戸の男は大抵意地っ張りで、そのくせ情に脆く、温かい。
そんな懐かしい光景が見事に描かれていて、「去年の蕨もうまかった」と
不意に呟かれた加世のように、その優しさについ涙してしまうのだろう。
目を失った事で生まれた悲劇が、目を失ったために肥えた味覚で、
この2人の間にはそれ以上の喜劇が生まれたのではないか、と思う。
時代物はふとすると、敵を切って終り、となりがちですが、
そこに行き着くまでの苦心にドラマがあり、
切り終わってからの情がたまらなくよいのです、と言ってみる。

是非、江戸風情を味わうため、前から素直に読んで下さい。なんて。
他8作品もとてもいいです。

★★★★☆*93

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2006年11月24日 (金)

「ガールズ・ブルー」 あさのあつこ

ガールズ・ブルー ガールズ・ブルー

著者:あさの あつこ
販売元:文藝春秋
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ちょっとあさのさんにしては終りが呆気ない。
うーん「バッテリー」や「The MANZAI」が衝撃的だったからか、
今回はある意味、普通の話。ある意味、一般的現代児童小説。
そしてとても個人的なことですが、何だか昔読んだ気がした。
読んだのかな、私・・・読んだのかな・・・;(記憶が無い

自分大好きなあたし・理穂に、生まれながら病弱なくせに超勝気な幼馴染・美咲、
それに兄貴がエリート野球選手の如月、その他もろもろの楽しいメンバー。
私たちの通う高校は県内有数の掃き溜め高校で偏差値もめちゃくちゃ低い。
勉強は大嫌いで、遊ぶの大好きで、おまけに夢もなく、行く先不安定。
そんな高校生は世間からは疎まれ、非難の声を浴びるけど、
でも本当は大人が思っているより、私たちは勉強以外は優秀なのだ。
他人を羨んで文句を垂れるより、今この時を楽しみたい!そんな話。

新聞に載ったおばさんの投書のように、
「学力より豊かな心が必要」だなんて臭い言葉は現代の子供には意味は無い。
今の子供は柄が悪いと言われ続け、ガラが悪いと言うのは、
髪を染めてて、スカートが短くて、コンビニにたむろしてぎゃあぎゃあ騒いで・・
と、こんな行動をするヤツらの事だ、と定義づけられている。
大人が決めるそんな型にはめられて、ガラが悪いんだから、
援助交際してるんじゃない?とか、煙草吸ってるんじゃない?とか、
そんな決め付けは真っ平ごめんだ、と強がる理穂たちの様子が現実味があった。
皆がそれぞれに成長し、問題を抱えていて、でも型に当てはめて
非難しているだけの大人なんて、私たちの中身を見てくれて無いでしょう?
と現代の家庭や学校の教育問題の重要さを暗に指している。
さすがはあさのさんですが、友情関係もしかり。
親友と呼びたくないと言う美咲への親友よりも深い愛情が素敵です。
「美咲が抜け落ちてしまったら、何が残る?」
理穂が自分に問いかけた切ない気持ちと、生物はいつかは死ぬと言う決定事項。
そこを深刻に考えたいけど、考えなくちゃいけないって判ってるけど、
17歳の今だけは、生きると言う事だけを考えてもいいですか?
と言う若々しい訴えが響いている。
でも・・・ちょっと話が平坦かなぁ。猫事件も曖昧だし。
第一睦月はこのまま終わっていいのか?!とちょっと疼いたり。笑
是非若いうちに。

★★★☆☆*84

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2006年11月23日 (木)

「ラッシュライフ」 伊坂幸太郎

ラッシュライフ ラッシュライフ

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
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途中から話の予測がついたのですが、
それにしても話と話の絶妙な絡まり具合、最高でした。
うーん、これは面白いのか、と聞かれると答えに困りますね。
じゃあ、これは凄いのか、と聞かれれば迷わず「うん」と答えますが。
とりあえず「懲りすぎだよ、伊坂さん」・・・とため息と敬意を表した後、
「人生ってこう言うものだよね」と納得し、感慨深い思いをする本。

傲慢な男に金で買われた女、新興宗教にはまり殺人を犯す少年、
泥棒を職業として働く男、不倫相手の妻を殺そうとして逆に殺されそうになる女、
職を失いひょんな事から野良犬まで面倒を見ることになった壮年男性。
5人のそれぞれの人生が絡み合い、縺れ合って、それでも話は先へ進んでゆく。
エッシャーが描いた騙し絵の従者が、終りない階段を永延と歩きつづける様に、
世界は止まることなく廻りつづけるのだろう、と言う話。

「心理カウンセラーになりたいのですが」
まさか!と実は一番衝撃を受けて、読んだ瞬間鳥肌がたった。笑
後半の盛り上がで、そんな事すっかり忘れていただけに、
「ここに繋げちゃうのか、伊坂さん!」と興奮気味でした。
今回もしてやられた感がたっぷりありますね、悔しい。
「人生は一瞬だが、永遠に続く」まさにその通りで、
それでいて人の人生は複雑怪奇に他人と結びついている。
不意に自分の視点から離れて、他人の立場に立った時、
自分は一体どんな風に関わっているのだろうか、と考えさせられました。
人を殺したとしても人を一方では救う事が出来たり、
何故か犬に愛着が沸いてしまった事が他人の人生を変えたり。
そして、個人個人として見ると色々な事が起きて、
その色々な事に悪戦苦闘しているように見えるけど、
でも一歩足を引いて上の次元(高橋)から眺めてみると、
その複数の出来事は実は1つしかなくて、
その上を大勢の人間がぐるぐると廻っているだけなんだよね、と。
話の合間に出てくる「バラバラになってくっついちゃう」と言う言葉。
ちょっと押し過ぎじゃない?と言う主張の仕方に、思わず微笑んでしまった。
階段に一人座る従者や、列を静かに見つめる従者、
エッシャーについて詳しくないので判りません(超越した存在?)が、
どんな意味が込められて描かれたかによって、この本の深みも変わるかも。
どんな悪い事が起きたって、大丈夫。
だって、人生は「ラッシュライフ(豊潤な人生)」なのだから。
そう訴えられる本です。

★★★★☆*94

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2006年11月19日 (日)

■雑談:愚痴

こんばんわ、本日もバイト。

・・・だったのですが、思うところがありバイトを辞める事にしました。
居酒屋のです。

店の改装と同時に新しい副店長が来たのですが、その人が気に入りません。
いや、って言うか絶対人として可笑しいよ、あの人。
張り切り過ぎているのか、もしくはいじめるのが好きな究極のSなのか、
そんな事は知りませんが、顔も見たくありません。

今日は店長がいないのをいい事に、
「お前は俺の言う事にだけ従ってればいいんだよ、文句あるのか」
とか
「口答えできる立場だと思っているのか」
などなど。

数えたらきりが無いです。
言葉は悪いですが、ぶん殴ってやろうかと思いました。本気で。
お前、何様だよ。と。
しかも陰湿極まりなく、インカム(従業員皆がつけている)で、名指し注意。

極めつけは「お前いらないから帰っていいよ」宣言。
副店長の立場で辞めさせる権限無いだろう、とか文句言おうかと思いましたが、
しゃべるのも嫌なので途中で帰ってきてやました。
ごめん、みんな・・・多分今日忙しかったと思うんだけど。涙

そんなこんなで辞めます。
いや、辞めないで我慢する必要性を感じません。
心残りなのは大好きな店長と、雰囲気のいいバイト仲間です。
でもね、皆辞めたいって言ってるんですよ、今月だけで5人位辞めるらしい。
店長が可愛そうで可愛そうで。涙
アイツさえいなければ続けるのに・・・。

でも、もういいや。と3時間かけてようやく開き直り。
多分明日には本屋のバイト探してます。笑
ずっと本屋でバイトしたかったんですよ。
自給めっちゃ安いのが難点ですが;
多分300円位居酒屋より安くなるけどね、
まぁ精神的苦痛でイライラしてやるよりいいかも、なんて。

あぁグチになってしまった。
このへんで。

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2006年11月18日 (土)

「暗黒童話」 乙一

暗黒童話 暗黒童話

著者:乙一
販売元:集英社
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クドイ。長い。グロイ・・・・そんな感じです。苦笑
あぁやっぱり乙一さん、短い方が向いてますわ。断言します。
折角設定面白いのになぁ、でもタイトルがちょっと可笑しいような。
なんで「暗黒童話」なんだろう?
まぁ不気味だけど、そんなオカルトチックな名前にしなくてもって感じでした。
で、この本で一番ガッカリした事それは、あとがきの方が面白い、と言う悲しさ。
乙一さんのあとがきはいつも面白いです。

菜深は事故で片目を失ってしまい、そのショックで過去の記憶が消滅してしまった。
不正ルートで入手した眼球を移植手術したが、その後不思議な体験をする事になる。
突如移植した左目が異変をきたし、その眼球の持ち主の過去を再生するのだ。
ある時菜深は誘拐殺人の現場の映像を見てしまう。
毎日のようにその人の過去に触れていたため、
もはや記憶の無い自分よりも親しみを感じ始めていた。
菜深はその眼球の記憶を頼りに、持ち主を殺したであろう人物を探す旅に出る。

来た!このグロさ、さすが乙一さん。と言っておく。
内臓が出ちゃったりとか事細かに書いてあるので、正直飛ばしました。(グロ嫌い
なんか一言感想を言え、と言うなら「なんで暗黒童話なのか判らん」です。
確かに童話の中に出てくるカラスがした行動は現実に考えるとグロイですが、
「本当は怖いグリム童話」とかそんな感じがしました。
暗黒・・・暗黒なのか?ちょっと謎。
まぁ主体となっているストーリーは、記憶喪失と言うか不思議体験。
それと平行して走っている童話がグロイのであって、主体はぐろくない。
淡々とした語り口とか、薄気味悪さは格別なんですけども。
うーん、でもなぁやっぱりタイトルが重過ぎる。
だってラストがあんなに爽やかに終わってるのに、こんなタイトルじゃもったいない。
ってタイトルの文句しかしゃべってませんが、個人的には好きな方でした。
2面書きも頑張ってた。笑
処女作なのかなぁ?まぁでも短編の方が向いてますよ、って言っておきたい。

*81

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2006年11月16日 (木)

「一瞬の風になれ 第三部:ドン」 佐藤多佳子

一瞬の風になれ 第三部 -ドン- 一瞬の風になれ 第三部 -ドン-

著者:佐藤 多佳子
販売元:講談社
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思わず泣いた。
100Mを11秒足らずで駆け抜けた瞬間、人は皆涙を浮かべるものだと思う。
その努力がついに実った時、見せるであろう表情が目の前に浮かぶようで、
私はずっと涙が止まらなかった。

いよいよ最高学年になり、インターハイへ向けての挑戦が始まった。
新しく入った一年のエース・鍵山を加え、俺・連・桃内がチームを組んだ。
軽快なスタートを見せた新チームだったが、早々に鍵山が故障してしまう。
怪我が回復するまでの穴埋めのためだけに起用された根岸の心中を思うと辛く、
またこのまま今まで通りの根岸がいるチームでいいのでは?
と言う危険な迷いが生まれてしまった。バトンパスの下手な鍵山より、
安定し心の通じ合った根岸の方がいいのでは?と俺は錯覚する。
しかし、それはインターハイに対した甘い考えであり、
甘えを許しただけの馴れ合い過ぎないと根岸に思い知らされる。

「いいコンビだ。おまえらは」
そう言われ、思わず顔を見合わせた2人の笑顔が思い浮かぶようだった。
レーンの上ではライバル同士で、言葉では「お前には負けない」と言いながら、
同じ決勝レースの場でこうして肩を並べ競り合う事を楽しんでいる。
その姿がまるで小学校の帰り道、思いついては「かけっこ」をした時のように、
無邪気で、それでいて漲った闘志がぶつかる迫力が赤いレーンの上で輝いていた。
前にいる連を追いかけ、追い上げる仙波を抑える。
そんな感覚を味わっている新二はやっぱりどこか半信半疑で、
本当に自分がこの2人と走れているのか?と言う問いと喜びが読んでいて楽しい。
こつこつと積み重ねた冬場の特訓が、ようやく実態となって現われ始め、
いつしかみっちゃんが宣言していたように、
自分は「速くなった」のだと気づいた時の胸をくすぐるゾクゾク感が新鮮である。
そしてリレーの決勝、夢の40秒台。
4人の力がガッチリと噛みあって、バトンがすべるように渡っていく。
新二の夢・チームの夢・根岸の夢・先輩の夢・みっちゃんの夢・兄貴の夢・・・
そんな物が全部詰まったバトンを手に、自分は走るのだ!と言う興奮が凄かった。
最後の最後、電光掲示板が一度付いて、消えて、
正式なタイムが出るまでの数秒のもどかしさは、ちょっと言葉では表せないけど、
あの瞬間の喜びときたら、他に何も思いつかない。

中学校3年の時、私の学年の男子4経も全国大会へ行ったけれど、
やっぱり大きな大会では大きな奇跡が起こるもので、
その時も、42秒80で大会新記録を打ち出し関東大会で1位をもぎ取った。
応援だけだった私でさえも、それはそれは鳥肌のたつほどの感動を覚えた。
一走者が飛び出し、二走者が3人ごぼう抜きし、
ダメだダメだと言われていた三走者が見事な走りをし、4走者がガッツポーズする。
その光景が今でも頭の中に鮮明に残っていて、彼ら4人はずっと笑い続けている。
それくらいこの一瞬は重く、そして衝撃的で、そして感動的だ。
「人間、嬉しい時って泣くんだ」ってあの時思ったのを思い出す。
先生も泣いていたし、部員も全員泣いていた。
それは4人の今までの苦労を見てきたし、
またその一員である事によって得た物は大きかったに違いない。
そんな思い・・・と言うか思い出である古い感情が、
新二や連に重なって、思わずあの光景を見ているような気がした。

最後、兄貴出てくるとなお良かったんだけど・・・!
でもスパイクだけでも十分かな、すごくよかった。
1→2→3巻でどうぞ。これはもう読むしかない。

★★★★★*94

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2006年11月15日 (水)

■雑談:行く手を阻むもの

佐藤さんの「一瞬の風になれ」にはまってしまいました。
いいわ、この話。この作家さん。
と納得しながらひたすら読書。
2巻を昨日の夜読み終わったので、今日は3巻を会社帰りに本屋に寄ろう♪
・・・なんて甘い事を考えていました。

お昼休み、「今買えるなら買っちゃおうかなぁ」と言う名案が浮かんで、
会社近くの【文教堂】へ。

ない

「新刊なのに人気あるんだなぁ」と思いつつ、少し足を伸ばし【LIBRO】へ。

ない

「え?そんなに人気あるのか?」と少々不安になりつつ、まだまだ甘かった。
仕事終了後学校へ行くと中に4軒本屋があるので、取りあえず片っ端から寄る事に。

【明正堂】へ。

ない
「出版社で売り切れなんですよ、週末には入ります」と言われ落ち込む。

【ブックガーデン】へ。

ない
そもそも佐藤さんの本が一冊も無い

【有隣堂】へ。

ない
1・2巻あるのに・・・!!

【双葉書店】へ。

ない
仕方が無いので、しぶしぶ授業を受ける。

【啓文堂】へ

ない
1・2巻あるのに・・・!!
「えーい、こうなったら池袋ブックセンターにでも行ってやる!!」
と意気込んだものの、授業後で軽く21時を回っていて。
物凄い勢いで電車に乗り込み乗り換えようとした矢先、人身事故遭遇。
「なんでやねん!!」と思わずツッコミ。
しかしながら22時10分前に池袋駅に到着。
「ブックセンター間に合わないなぁ・・・」としょげる。
が、「そう言えば駅構内に【LIBRO】あったよね」と思い出しダッシュ。

ついにゲット!!!
ありがとう、池袋LIBRO店さん。涙

そんな帰り道、乗り換えて総武線に乗車した矢先、人身事故遭遇。
原因は御茶ノ水。
え?今日2回目・・・?!不吉な20分停車。
止まっていた駅で、乗客が「何で発車しねーんだよ、おせーよ!!」と
わめきながら、線路へ侵入。(?!)
「只今、この列車にご乗車のお客様で、
ホームから線路に侵入した方がいらっしゃいます
大変危険ですので線路内には入らないで下さい(怒)」
のアナウンスが流れ、車内絶句。

そんなこんなで、まさに「今日買わない方が身のためですよ」
と全力で何かに訴えられた一日でした。
買っちゃったけど。
明日感想かきます。
今日は疲れました、本当。色々。

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2006年11月14日 (火)

「一瞬の風になれ 第二部:ヨウイ」 佐藤多佳子

一瞬の風になれ 第二部 一瞬の風になれ 第二部

著者:佐藤 多佳子
販売元:講談社
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一瞬の風になる・・・。
そんな気持ち味わってみたい、そう改めて思った。
いいね、佐藤さん。止まらなくなるほどいい。
今3巻を買っておかなかったことを酷く後悔しました。笑
明日買おう。給料日まで待てないや。

連、それから仙波や高梨と競えるようになる。
目に見えない進化にジレンマを抱えながらも、自分の中で確実に彼らを捉えてゆく。
そんな中訪れるのは、今まで励まされ、そして戦ってきた先輩との別れ。
共に走り勝ち取った試合の喜びと、いなくなってから気づく先輩の存在感は、
計り知れず、何者にも替えることが出来ない。
それは判りきっている事だけど、でもやっぱり俺たちは前を目指すのだ。
俺が大きな夢、とも称される過酷な目標を前に走り出した頃、健ちゃんは・・・。

「わかっててもな、ありえなくても、もっと早く走りてえよ」
そう言った根岸の言葉が妙に頭に残っていた。
勿論連に劣等感を覚え、躍起になる新二の気持ちも判るけれど、
そんな2人のエースと共に走る根岸の感じるプレッシャーを考え頷いた。
皆そう思うのだ。
個人競技であれば、自分が遅ければそれまでで、自分の結果になる。
しかし4人の力でしか成し得ないリレーは、その中でも1人1人の力が重要で、
遅い者は引け目を感じずにはいられない「自分がもっと早ければ」と。
普段の練習では個人の事しか考えていない競技である代わりに、
不意にこうして4人合わせられた時の力と気持ちの配当が難しく、
また人間のドラマ?が生まれる場であるように思った。
もっと速く。もっと・・・。
単純に何の変哲も無いスピードと言う魔物に魅了され、
またそれすらも超えようとする。高校生ならではの秘めたパワーと、
希望を失った時の脆さが絶妙にブレンドされ、爽やかに心を駆け抜ける。

いい、1巻よりずっと。勿論、続けて読んでくださいね。

★★★★☆*90

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2006年11月13日 (月)

「一瞬の風になれ 第一部:イチニツイテ」 佐藤多佳子

一瞬の風になれ 第一部  --イチニツイテ-- 一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ--

著者:佐藤 多佳子
販売元:講談社
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高校時代に気持ちをぐぐっと引き戻させてくれて、
尚且つ、親しい友人と対話しているような気持ちになる、温かい本。
あぁすごく良かった、私的に?
私が陸上やっていたのは中学生でしたが、
すっごい懐かしくて思い出すだけで泣けそうでした。
だって、100Mリレー、私もスターターだったのです。
新二の気持ち、よく判る。思わず頷きながら読んでしまいそうでした。

俺・新二は、サッカーの天才的な才能を持ち合わせた兄貴がいる。
小さい頃から兄に憧れ、そして自分もそうなりたいとサッカーをしていた。
しかしその思いとは裏腹に、自分にはサッカーのセンスがあるようには思えない。
悩んだ新二は、天才的なスプリンター能力を持つ幼馴染・連につられ、
中学校まで続けていたサッカーを辞めて陸上を始める決意をした。
集団競技にはなかった個人へのプレッシャー・
自分がやらなければ始まらないと言う競技への激しい意気込み。
次第に陸上と言う競技に気持ちの高ぶりを覚えた新二は、
いつしか天才スプリンター・連を超える選手になろうと心に決める。

「イチニツイテ」
そう掛け声がし、腰を上げた時の緊張感が蘇るような気がした。
バトンを右手に持ち、グラウンドの第一コーナーを飛び出した時のあの快感。
二走者の背中が見え、バトンを押し付けた時の感触が目に浮かぶ。
新二が言うように、それは一瞬である。
100Mもの距離を走っていると言うのに、目の前にはいつの間にか連の姿があるのだ。
ジョグをしゆっくり立ち止まり、初めて順位を知る。
二走者は4人の中で1番早い人がやる事になっているけれど(実は距離が一番長い)
その時一走者は、そのたくましい走りの後姿を祈るように見つめる事しか出来ない。
あの時の私のように新二もまた連の姿を追いかけた事と思う。
リレーのいいところ、それは4人いるところ。
新二も感じていた、個人の100M競技では味わえないスタート前の微妙な余裕。
それは自分も気づかないうちにメンバーを信用し、また期待しているからである。
連とは喧嘩中で10日近く口をきかなかったけれど、
やっぱり新二は連を信用し「こいつなら後は任せられる」と思っていたのだと思う。
その信頼関係が微笑ましくて、やっぱり陸上はいいよね、といつも思う。

佐藤さん、実は初めて読みました。
イメージ的にもっと堅めの文章なのかなぁ・・・?
と思っていたのですが、ところがどっこい、砕けすぎ。笑(いい意味で
語り手(俺)の話し言葉で進められていくため、文体も柔らかくざっくばらん。
それでいてわざとっぽくなくて、どちらかと言うと話しかけられている雰囲気がいい。
私は石田さん・森さん系だなぁ、と思ったのですが、どうでしょう。
作者が女性だと忘れてしまうくらい少年らしさが表現されています。
願わくば、試合・・・と言うか走っている間の情景の移り変わりとか、
(いくら一瞬と言っても色々有るわけで・・・)があるといいなぁーとか思います。
それ以外は私の心をがっちり掴みました。2巻も買ってしまった・・・!

お薦め下さった、ふぇるまーたさんありがとうございました!

★★★☆☆*88

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2006年11月10日 (金)

「アーモンド入りチョコレートのワルツ」 森絵都

アーモンド入りチョコレートのワルツ アーモンド入りチョコレートのワルツ

著者:森 絵都
販売元:角川書店
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森さんらしい、華やかな桃色なイメージのワルツ。
短編集ですが、「風に舞いあがる~」のように堅いわけではなく、
主人公も中学生だし、まさに青春の眩い思い出、的な本。
あぁ、これは個人的な事ですが・・・
この後に乙一さんの「暗黒童話」読むんじゃなかった。苦笑
だって正反対すぎるって言うか、むしろ部類分けで一緒にすべきで無い。
後悔、後悔。

私的に表題作よりこっちの方が好き「子供は眠る」。
親戚の男の子5人が集まり、毎年夏のバカンスを別荘で楽しんでいた。
その中で、全ての予定を取り仕切っていたのが、別荘の持ち主の息子・章くん。
章くんは無類のクラシック好きで、1日の予定には必ずクラシックタイムがあった。
僕たち4人は13曲あるシューマンの曲をいつも最後まで聞かずに寝てしまう。
すると次の日の章くんは酷く機嫌が悪く、僕たちもどんどん章くんを嫌っていく。
しかし初めて12曲目「子供は眠る」を聞き終え最終曲を突破した時、
僕は優しさに包まれた真実を知る事になる・・・と言う話。

あぁ少年ぽい!と素直に幼い感情に戻れる話。
最後の夏休みに初めて知った真実、それはとても温かく感動的。
人はどこか変な癖を持っているものだし、章くんのクラシックだってそうだろう。
章くんが何故クラシックを好きになり、何故毎年クラシックの時間を作ったのか。
クラシックの時間が苦痛でたまらなかった僕らは、
そんな簡単な事も考えずに、目先ばかりで怒り反発していた。
5年間も嫌嫌参加させられていたクラシックの時間、
リビングで眠りこけてしまっていた僕たちが目を覚ますと、
いつもベットの上だったのは、誰かが運んでくれたからだ!
そう考えると急に胸が熱くなり、温かい音楽が流れ出すようだった。
章くんの機嫌を損ねると、来年は呼んでもらえないかもしれない、
そんなちっぽけな事で意地を張っていたけれど、これもやはり目先ばかり。
章くんは皆が成長できるように嫌がる僕を海に連れて行ったりしたじゃないか、
つられるように思い出す温かい過去と、ワルツが重なって心地よい2重奏になる。
そんな雰囲気がした。

全体的にピンクや黄色の華やかで軽快なワルツのイメージ。
森さんらしいな、と。いい意味で。

■他2作
「彼女のアリア」
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」

★★★☆☆*87

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2006年11月 9日 (木)

「うつくしい子ども」 石田衣良

うつくしい子ども うつくしい子ども

著者:石田 衣良
販売元:文藝春秋
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これってSFって言うのか?
近未来的都市開発の成れの果てを訴えよう!な石田さん。
いじめがホットな現在、真剣に読んだら読後の気分が物凄く悪かった。
うーん、日本の行く末を予感させる?
私的には雰囲気は好きな感じでしたけど、後味は決して良くはない方だと思う。

ニキビが酷くじゃがいものような顔をした僕、通称ジャガ。
そんな僕の兄弟は母親に似てモデルをするくらい美人・美形だった。
都市開発が進み機械的なうつくしい街の中に住むうつくしい子供たち、
ある日小学生の女の子が絞殺され遺棄される陰湿な事件が発生した。
事件を起こした犯人は僕の弟、その後に僕に待っていたのは過酷な嫌がらせだった。
ガチガチに固められた教育制度に縛られた子供たちは、
勉強や受験のストレスをも僕に向け発散する。あまりに残酷で悲惨だった。
それでも世の中はうつくしい子供を求め続けるのだろうか、と言う話。

SFって感じはあまりしないけど、実際にはまだ存在しない近未来。
全て均一に区画された土地に住み、子供には必要以上な強固な教育。
もしかしてこのまま30年くらい経ったらこんな街できるかも、
とリアルに考えられてしまうのが少し怖かった。
統一され機械じみた環境から生まれるのは、うつくしく、狂った子供たち。
人に洗脳された人間が人を洗脳し、人を殺す。
狂った精神は奇天烈な思想を呼び、人々を蝕んでいるが人はそれに気づかず、
また自らが知らずのうちに発している危険信号さえも気づけない。
何て恐ろしい光景だろうと思うと同時に、来るべき未来のようでもあると感じた。
今回は石田さんには珍しく2面書き。
当事者である子供たちと、それを報道する新聞記者との境界線、
それを埋める少年の心を捨て切れていない記者・山崎の関係が面白い。
日々報道される出来事に疑問を抱き、曖昧な理由で自分を納得させる。
しかし澄んだ子供の心に触れ、強い意志を感じた時、
機械的に決められた見識で行う報道よりも、やはり温かみのある人間を選んでしまう。
そんな所が良心的で、ある意味この話の中で一番人間味のある態度かな、と思う。
ラスト・・・狂った街の狂った犯人の狂った最後。
ここまで話が無機質で冷たく進むと、異様な展開も驚かない、それもまた怖い。
普通なら「おいおい、そんな最後ってあり?」な感じだけど、今回は納得。
ちょっと考えさせられる話、直木賞「4TEEN」より私は好きです。

★★★☆☆*88

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2006年11月 8日 (水)

■雑談:実は誕生日

実は本日誕生日。
お酒を公共の場で飲めるようになりました。
実感湧かないものですねぇ・・・。
温かいメールをくれた皆様、どうもありがとうございました。
これからも、ワタクシ・るいは強く生きてゆこうと思います。(演説風
いや、自信はまったくないのですが・・・。
ちょっとした夢を叶える為、頑張りたいと思っている次第です。
本当は10代でやりたかったのですが、まぁ人生そんなに甘くない。
そんなわけで努力が必要な毎日であります。

とある占いを覗いていたら、今日は
「長編小説を読むといい」だそうで、これはなんだ?
私を試しているのか・・・?
長編小説、買って読んでないヤツたくさんありますよ。
「ブレイブストーリー」とか京極さん物とか桐野さんの「OUT」とか。
これは読むしかない・・・?!
その前に、私的にはつっかえている「さぶ」をどうにかしたい気もしますが。苦笑
なかなか読み終わりません。
ちなみに今は浮気中で石田さんの「うつくしい子ども」読んでます。
あとは森さんの「アーモンド入りチョコレートのワルツ」とかその辺です。
退治しよう、がんばって。
最近気になっているのは、吉田修一さんの「7月24日通り」!
映画にもなりますしねぇ。
でもハードしかないんだよなぁ、ブックoffにもないし。涙
あとは「幸福な食卓」あたり。
それと伊坂さんの「チルドレン」、これもまだもっていない。
誕生日プレゼントに誰か買ってくれませんか、とかおねだりしたい。

そんなこんなでハタチの今日は学校をサボって飲んできます、新宿で。

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2006年11月 7日 (火)

「いちご同盟」 三田誠広

いちご同盟 いちご同盟

著者:三田 誠広
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


久しぶりに読みました。
当時の中学校の国語の教科書に載っていたのですが・・・・。
そうかぁ、全体的な話はこんな感じだったのね。
何となく直美と良一が知り合ってから
もう少し時間が経っているのかと思っていました。
うん、やっぱりこれを読むと、森さんの「カラフル」も教科書にしたい。

高校受験を控えた春頃、良一は野球部キャプテンの徹也に声を掛けられた。
自分の勇姿をビデオに収めろと言う。
ピアニストになる夢も疑問に思い、その上受験勉強も芳しくない、
そんな時徹也の輝かしい姿に惹かれた良一はビデオを回してみる事にした。
徹夜がテープを運んだ先、そこにいたのは不治の病に侵された少女・直美だった。
徹也と良一、それから死を目の前に突きつけられた直美の間に、
それぞれの悪戯な愛情と悲しみ、想いが生まれた。
しかし直美が生きていると言うこの瞬間は、もうすぐに終わろうとしている。
死の瀬戸際に生まれた三角関係を胸に、
この思い出が消えない事を願う、「いちご(15歳)同盟」。

「おれたちは十五歳だから、十五同盟だ」
そう言った徹也の複雑な心境を考えとても感動した。
幼い頃から仲がよく、もし病気にならなかったら結婚を考えていた相手が、
今は良一を好きだと言った。残り少ない命の間で、
どうにか幸せな思いをさせてやろうと、恋敵・良一に手を貸す。
直美のためだと言い聞かせるように「見舞いに行ってやれ」と言う姿が切なかった。
それと、直美の死を前に感情を押し殺して弾いた、ピアノ・ソナタ。
いつも感情を込め抑揚をつけ弾き、母にも見放されていた僕が得た美しい旋律。
流れるメロディの中に終始直美を感じるようだった。
振返った時母の顔を見て確信した僕の演奏の出来栄えが、
直美と言う少女の命と引き換えにしなければ得られないのか、
と思うと手放しで喜べないような、複雑な気持ちになった。
中学校の時はそんなに気にして読みませんでしたが、
今になってみると、「あぁこんなに感慨深い内容だったのか」と驚きます。
当時は「いちご」と言うだけあって、その三角関係の様子が、
苺の赤と言うか、桃色というか、淡い情熱のような物を感じていました。
しかし今回はそんなこと少しも感じる事が出来ず、
むしろ死を前にしてでしか生まれなかった無情な恋に、
悔しさや絶望と言った感情が前面に出てしまい、死がより重い物に思いました。
5年前とこんなにも感想が違う物なのか、と衝撃ですね。
学生時代、教科書で見かけた皆さまも是非お読みになってみて下さい。

★★★☆☆*88

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2006年11月 4日 (土)

「冬のオペラ」 北村薫

冬のオペラ 冬のオペラ

著者:北村 薫
販売元:中央公論新社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


北村さん久しぶりに・・・。
ちょっと昭和の香りがする。(いい意味で
何となく懐かしい雰囲気のする作風の作家さんです。
そしてやっぱり女の人みたいな文章。
女の子が主人公だからかな?私はいつもそう思います。

あゆみが働く叔父さんの会社の上に、不思議な事務所が越してきた。
それは平凡な日常を逸脱した事件しか扱わない、名探偵・巫弓彦。
彼はその特異な嗜好から客も少なく、いつもはスーパーのアルバイト。
あゆみはその奇怪さの中にある魅力に惹かれ、自ら助手を志願した。
助手兼記録係・あゆみの前で起こる一見変わった珍事件に、
変わり者探偵巫が切れ味のいい推理で事件を見事解決する。

なかなか。コンビの凸凹感もなかなか。
風変わりな探偵巫がとっても魅力。
あゆみはまぁ一言で言ってしまえばどこにでもいそうな子なんですが;
そのギャップがいいのかもしれない。
ここはどう思うかねワトスン君、的な展開はあまり無いですが、
人の心理を突いたトリック(あまり起こりそうに無いですが)がいいです。
特に最後の「冬のオペラ」が好きですね。
むしろ短編にせずにすべてコレに繋げて1話にしてもいい気がします。
話の筋的に椿さんが出てきたときに、「あ、この人絶対犯人だ」と確信。笑
いや、そこら辺の勘はシャーロックホームズで鍛えてますから。
でもひねり過ぎて私には最後までオペラの意味が判らなかった。
最後の10行で、ようやく「あぁ!オペラか」と。
だってあの詩で判断するなんてマニアックすぎるから!と言う感じ。
まぁその古風さが北村さんの魅力なのかも知れません。
続編あるのかな?読みたい気もします。

★★★☆☆*84

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2006年11月 3日 (金)

【映画】デスノート the Last name

映画「デスノート」オリジナル・サウンドトラック SOUND of DEATH NOTE 映画「デスノート」オリジナル・サウンドトラック SOUND of DEATH NOTE

アーティスト:サントラ
販売元:バップ
発売日:2006/06/17
Amazon.co.jpで詳細を確認する


「デスノート the Last name」観ました~。
本日、公開日。
待っていました、と言わんばかりの意気込みで観て来ました。
実は漫画の方は最後まで読んだ事がありません。
漫画の中のLとワタリが死んじゃってからは、
「えーここまで繰り広げてくれたのに死んじゃうのかよ!!」
の衝撃が大きすぎて、そこから先を読む気になりませんでした。
と言うわけで、ニアとメロがどんな活躍をしたのかさっぱりです。
一緒に見に行った友人(前編も一緒に見に行った子です)が、
観る前から「絶対漫画とおりにならないよ」宣言していましたが、
確かにならなかったようです。

ここからネタバレご注意。

結局のところ、まぁ月は死ぬわけですけれども、
映画版でオリジナルに作られたストーリーですが、
何となく小畑さんの書く月らしくない行動を取ったと思います。
冷静沈着で人前では慌てるそぶりを見せない月が、
いくら窮地に追い込まれたからと言って、
リュークに「全員を殺せ!」とか言わないとおもうんですよねぇ。
なんて言うか、絶対他人は信用してない感か欠落していたように感じました。
それと、月は父親はあんな方法で殺さない。
まぁ死んでいませんけれども、例えミサは殺しても父親まで・・・と思うのです。
勿論、今回のストーリーのような感じにことが進めば、
そりゃあ月だったら父親も殺してしまおう!と考えるかも知れませんけれども
それ以前に月はあんな状態にまでならないように、
もうちょっと上手くやれたんじゃない?とか思ってしまうのですが。
どうでしょうか。
みんなどう思ったんでしょうねぇ。
取りあえず私と友人はなんだか煮え切らない感じで映画館を後にしました。
月が死んだから続編は無いと思いますけれども。

そして一番気にかかったのは、リュークの声が中村獅童だって事ですが、
前編と違い、気にして聞いていましたけどやっぱり獅童の声には聞こえない。
凄いな、狼といい、死神といい。
離婚したら声優に専念してみもいいんじゃ、とか笑えない冗談を言ってみます。

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