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2006年11月13日 (月)

「一瞬の風になれ 第一部:イチニツイテ」 佐藤多佳子

一瞬の風になれ 第一部  --イチニツイテ-- 一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ--

著者:佐藤 多佳子
販売元:講談社
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高校時代に気持ちをぐぐっと引き戻させてくれて、
尚且つ、親しい友人と対話しているような気持ちになる、温かい本。
あぁすごく良かった、私的に?
私が陸上やっていたのは中学生でしたが、
すっごい懐かしくて思い出すだけで泣けそうでした。
だって、100Mリレー、私もスターターだったのです。
新二の気持ち、よく判る。思わず頷きながら読んでしまいそうでした。

俺・新二は、サッカーの天才的な才能を持ち合わせた兄貴がいる。
小さい頃から兄に憧れ、そして自分もそうなりたいとサッカーをしていた。
しかしその思いとは裏腹に、自分にはサッカーのセンスがあるようには思えない。
悩んだ新二は、天才的なスプリンター能力を持つ幼馴染・連につられ、
中学校まで続けていたサッカーを辞めて陸上を始める決意をした。
集団競技にはなかった個人へのプレッシャー・
自分がやらなければ始まらないと言う競技への激しい意気込み。
次第に陸上と言う競技に気持ちの高ぶりを覚えた新二は、
いつしか天才スプリンター・連を超える選手になろうと心に決める。

「イチニツイテ」
そう掛け声がし、腰を上げた時の緊張感が蘇るような気がした。
バトンを右手に持ち、グラウンドの第一コーナーを飛び出した時のあの快感。
二走者の背中が見え、バトンを押し付けた時の感触が目に浮かぶ。
新二が言うように、それは一瞬である。
100Mもの距離を走っていると言うのに、目の前にはいつの間にか連の姿があるのだ。
ジョグをしゆっくり立ち止まり、初めて順位を知る。
二走者は4人の中で1番早い人がやる事になっているけれど(実は距離が一番長い)
その時一走者は、そのたくましい走りの後姿を祈るように見つめる事しか出来ない。
あの時の私のように新二もまた連の姿を追いかけた事と思う。
リレーのいいところ、それは4人いるところ。
新二も感じていた、個人の100M競技では味わえないスタート前の微妙な余裕。
それは自分も気づかないうちにメンバーを信用し、また期待しているからである。
連とは喧嘩中で10日近く口をきかなかったけれど、
やっぱり新二は連を信用し「こいつなら後は任せられる」と思っていたのだと思う。
その信頼関係が微笑ましくて、やっぱり陸上はいいよね、といつも思う。

佐藤さん、実は初めて読みました。
イメージ的にもっと堅めの文章なのかなぁ・・・?
と思っていたのですが、ところがどっこい、砕けすぎ。笑(いい意味で
語り手(俺)の話し言葉で進められていくため、文体も柔らかくざっくばらん。
それでいてわざとっぽくなくて、どちらかと言うと話しかけられている雰囲気がいい。
私は石田さん・森さん系だなぁ、と思ったのですが、どうでしょう。
作者が女性だと忘れてしまうくらい少年らしさが表現されています。
願わくば、試合・・・と言うか走っている間の情景の移り変わりとか、
(いくら一瞬と言っても色々有るわけで・・・)があるといいなぁーとか思います。
それ以外は私の心をがっちり掴みました。2巻も買ってしまった・・・!

お薦め下さった、ふぇるまーたさんありがとうございました!

★★★☆☆*88

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コメント

こんにちは。
読まれましたか。はやいですねー。
「ドン」を手に入れるまでにそんなに多くの障害があったとは!
えっと・・・、8軒、ですか?お疲れさまです(^ー^
でも、なんだかもうそこまできたら諦められないですよね。
やっぱり佐藤さんの作品の入荷数って少ないのでしょうか?
私もるいさんほどじゃないけれど「ヨウイ」がどこにも売っていなくて探し回りました。

今まであんまり気に入った作品を人に薦めたことがなかったので、るいさんがどんな感想書かれるか、なんとなくドキドキしちゃいました。
「ドン」は高得点で、なぜかほっとしています^^
この作品は今年NO.1 というふうに王様のブランチで紹介されてもいましたよ。

投稿: ふぇるまーた | 2006年11月17日 (金) 20:50

こんばんわ~コメントありがとうございます!!

ふぇるまーたさんの助言通り「取りあえず読んでみた」ら、こんな事に。笑
めっちゃ面白かったです^^*
読み始めたら「やめられない、止まらない♪」って感じで。
久しぶりに爽やかな作品を読めた!って言う実感があります。
どうもありがとうございましたvvv

3巻目手に入らないんじゃないか・・・?!
と言う衝撃が凄くて(笑)、思わず必死に探してしまいましたよ。
「え?!今日読めないの?!ありえない・・・!!」てな感じで興奮してました。
3軒目くらいで嫌な予感はしてたんですけど、
いや、これは手に入れるしかないよね!と言うことで結局・・・。
やっぱり、って事は以前から発行部数が少ない作家さんなんですかね?
佐藤さん初めて読んだので、どれくらい人気がある方なのか判りません;
そうそう、「イチニツイテ」はどこも沢山置いてあるんですよ。
「ヨウイ」は比較的簡単に手に入りましたが、
本屋によっては佐藤さんの本自体一冊も無いところとかあって・・・。
映画化する作品がある作家さんなのに、
この少なさはやっぱりちょっと問題な気もします。苦笑
【明正堂】さん曰く、「今週末再入荷」って事でしたので、
来週辺りから潤い始めるのではないでしょうか、期待しましょう!

会社のお姉さんもブランチ見た!って言ってました。
昨日お昼休みに読んでいたら「それ読みたかったの」と言うので、
早速今日貸してあげたところです。

何だか興奮しすぎて変な文章書いてますけど;苦笑
大満足の3巻でした!!いいなぁ私も学生に戻りたい、って本ですね。懐かしい。
谷口みたく直向に頑張ってればよかったよ、とか思いました。笑(主は長距離でした
1巻からぐいぐいとスピードを上げて面白くなっていく感じ!
トップスピードに乗った時の爽快感はまるで新二と連の100M決勝のようでした、
とかちょっと洒落たこと言ってみます。笑

また何かお薦め本ありましたら、よろしくお願いします!
ちなみに「努力した甲斐あって生まれた感動」系に弱いです。笑
スポーツも好きですし、人間関係とかも。
取りあえず涙もろいのです。
最近私が選ぶ本は、まぁ悪く無い本ばかりなのですが、大きくヒットしない;
作家が偏ってるからかなぁ、とかちょっと反省してみたり。
佐藤さんの他の本も読んでみようと思います!

どうもありがとうございました^^*

投稿: るい | 2006年11月17日 (金) 23:37

 やっと1巻が回ってきましたよー!

 これ、すごいおもしろいですね!
 たしかに、るいさんおっしゃるとおり、「砕けすぎ」!(笑)
 ええ、もちろんいい意味で^^

 2巻が待ち遠しいです♪

投稿: miyukichi | 2007年5月23日 (水) 00:20

>miyukichiさん

コメント&TBどうもありがとうございます^^*

そうなんですよね、第一感想は、私もやっぱり砕けすぎ、と思いました。
でも知れが気にならないくらい、ぐんぐんと
話しに取り込んでくれる力があってよいと思いますね。

この本は1→2→3巻と段々段々面白くなって、
極地でラストを迎えます。きっと3巻もすぐに読みたくなるはず。
買った方がいいかもしれませんよ、なんて言ってみる。笑
2巻も楽しんでくださいね。

投稿: るい | 2007年5月23日 (水) 13:29

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一瞬の風になれ 第一部 ―イチニツイテ―佐藤 多佳子 講談社 2006-08-26 中学まではサッカーをやっていた新二。サッカーの天才である兄・健一と自分を比べてばかりいた新二だが、高校に入学し、幼馴染の親友・連と一緒に陸上部に入部したことから、彼の中で何かが変わりはじめ…。 全3巻の予定で、この第1巻が出たのが8月。後は順に9月10月と刊行予定…1ヶ月も待てるのか??3巻そろってから読むべきか??とさんざん悩みましたが、やっぱり手を出してしまいました。えぇ!悔いはありません!!…! ... [続きを読む]

受信: 2006年11月17日 (金) 11:18

» 一瞬の風になれ 1−イチニツイテ−/佐藤多佳子 [Book] [miyukichin’mu*me*mo*]
 佐藤多佳子:著 『一瞬の風になれ 1−イチニツイテ−』  一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ--講談社このアイテムの詳細を見る  図書館に予約してから、半年間。  待ちに待って、ようやく回ってきました。  今度はちゃんと、1巻です♪  (ちなみに前回読まずに返した3巻は、   新たに予約し直しで約280人待ちです。どひゃー!)  いやー、おもしろかった!  サッカーをやめて陸上を始めた、  高校生の俺(神谷くん)の目線で  描かれているのだけど、  男の子でもなく、陸上には縁のない私が... [続きを読む]

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