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2006年11月 7日 (火)

「いちご同盟」 三田誠広

いちご同盟 いちご同盟

著者:三田 誠広
販売元:集英社
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久しぶりに読みました。
当時の中学校の国語の教科書に載っていたのですが・・・・。
そうかぁ、全体的な話はこんな感じだったのね。
何となく直美と良一が知り合ってから
もう少し時間が経っているのかと思っていました。
うん、やっぱりこれを読むと、森さんの「カラフル」も教科書にしたい。

高校受験を控えた春頃、良一は野球部キャプテンの徹也に声を掛けられた。
自分の勇姿をビデオに収めろと言う。
ピアニストになる夢も疑問に思い、その上受験勉強も芳しくない、
そんな時徹也の輝かしい姿に惹かれた良一はビデオを回してみる事にした。
徹夜がテープを運んだ先、そこにいたのは不治の病に侵された少女・直美だった。
徹也と良一、それから死を目の前に突きつけられた直美の間に、
それぞれの悪戯な愛情と悲しみ、想いが生まれた。
しかし直美が生きていると言うこの瞬間は、もうすぐに終わろうとしている。
死の瀬戸際に生まれた三角関係を胸に、
この思い出が消えない事を願う、「いちご(15歳)同盟」。

「おれたちは十五歳だから、十五同盟だ」
そう言った徹也の複雑な心境を考えとても感動した。
幼い頃から仲がよく、もし病気にならなかったら結婚を考えていた相手が、
今は良一を好きだと言った。残り少ない命の間で、
どうにか幸せな思いをさせてやろうと、恋敵・良一に手を貸す。
直美のためだと言い聞かせるように「見舞いに行ってやれ」と言う姿が切なかった。
それと、直美の死を前に感情を押し殺して弾いた、ピアノ・ソナタ。
いつも感情を込め抑揚をつけ弾き、母にも見放されていた僕が得た美しい旋律。
流れるメロディの中に終始直美を感じるようだった。
振返った時母の顔を見て確信した僕の演奏の出来栄えが、
直美と言う少女の命と引き換えにしなければ得られないのか、
と思うと手放しで喜べないような、複雑な気持ちになった。
中学校の時はそんなに気にして読みませんでしたが、
今になってみると、「あぁこんなに感慨深い内容だったのか」と驚きます。
当時は「いちご」と言うだけあって、その三角関係の様子が、
苺の赤と言うか、桃色というか、淡い情熱のような物を感じていました。
しかし今回はそんなこと少しも感じる事が出来ず、
むしろ死を前にしてでしか生まれなかった無情な恋に、
悔しさや絶望と言った感情が前面に出てしまい、死がより重い物に思いました。
5年前とこんなにも感想が違う物なのか、と衝撃ですね。
学生時代、教科書で見かけた皆さまも是非お読みになってみて下さい。

★★★☆☆*88

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