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2006年11月 9日 (木)

「うつくしい子ども」 石田衣良

うつくしい子ども うつくしい子ども

著者:石田 衣良
販売元:文藝春秋
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これってSFって言うのか?
近未来的都市開発の成れの果てを訴えよう!な石田さん。
いじめがホットな現在、真剣に読んだら読後の気分が物凄く悪かった。
うーん、日本の行く末を予感させる?
私的には雰囲気は好きな感じでしたけど、後味は決して良くはない方だと思う。

ニキビが酷くじゃがいものような顔をした僕、通称ジャガ。
そんな僕の兄弟は母親に似てモデルをするくらい美人・美形だった。
都市開発が進み機械的なうつくしい街の中に住むうつくしい子供たち、
ある日小学生の女の子が絞殺され遺棄される陰湿な事件が発生した。
事件を起こした犯人は僕の弟、その後に僕に待っていたのは過酷な嫌がらせだった。
ガチガチに固められた教育制度に縛られた子供たちは、
勉強や受験のストレスをも僕に向け発散する。あまりに残酷で悲惨だった。
それでも世の中はうつくしい子供を求め続けるのだろうか、と言う話。

SFって感じはあまりしないけど、実際にはまだ存在しない近未来。
全て均一に区画された土地に住み、子供には必要以上な強固な教育。
もしかしてこのまま30年くらい経ったらこんな街できるかも、
とリアルに考えられてしまうのが少し怖かった。
統一され機械じみた環境から生まれるのは、うつくしく、狂った子供たち。
人に洗脳された人間が人を洗脳し、人を殺す。
狂った精神は奇天烈な思想を呼び、人々を蝕んでいるが人はそれに気づかず、
また自らが知らずのうちに発している危険信号さえも気づけない。
何て恐ろしい光景だろうと思うと同時に、来るべき未来のようでもあると感じた。
今回は石田さんには珍しく2面書き。
当事者である子供たちと、それを報道する新聞記者との境界線、
それを埋める少年の心を捨て切れていない記者・山崎の関係が面白い。
日々報道される出来事に疑問を抱き、曖昧な理由で自分を納得させる。
しかし澄んだ子供の心に触れ、強い意志を感じた時、
機械的に決められた見識で行う報道よりも、やはり温かみのある人間を選んでしまう。
そんな所が良心的で、ある意味この話の中で一番人間味のある態度かな、と思う。
ラスト・・・狂った街の狂った犯人の狂った最後。
ここまで話が無機質で冷たく進むと、異様な展開も驚かない、それもまた怖い。
普通なら「おいおい、そんな最後ってあり?」な感じだけど、今回は納得。
ちょっと考えさせられる話、直木賞「4TEEN」より私は好きです。

★★★☆☆*88

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