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2006年11月10日 (金)

「アーモンド入りチョコレートのワルツ」 森絵都

アーモンド入りチョコレートのワルツ アーモンド入りチョコレートのワルツ

著者:森 絵都
販売元:角川書店
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森さんらしい、華やかな桃色なイメージのワルツ。
短編集ですが、「風に舞いあがる~」のように堅いわけではなく、
主人公も中学生だし、まさに青春の眩い思い出、的な本。
あぁ、これは個人的な事ですが・・・
この後に乙一さんの「暗黒童話」読むんじゃなかった。苦笑
だって正反対すぎるって言うか、むしろ部類分けで一緒にすべきで無い。
後悔、後悔。

私的に表題作よりこっちの方が好き「子供は眠る」。
親戚の男の子5人が集まり、毎年夏のバカンスを別荘で楽しんでいた。
その中で、全ての予定を取り仕切っていたのが、別荘の持ち主の息子・章くん。
章くんは無類のクラシック好きで、1日の予定には必ずクラシックタイムがあった。
僕たち4人は13曲あるシューマンの曲をいつも最後まで聞かずに寝てしまう。
すると次の日の章くんは酷く機嫌が悪く、僕たちもどんどん章くんを嫌っていく。
しかし初めて12曲目「子供は眠る」を聞き終え最終曲を突破した時、
僕は優しさに包まれた真実を知る事になる・・・と言う話。

あぁ少年ぽい!と素直に幼い感情に戻れる話。
最後の夏休みに初めて知った真実、それはとても温かく感動的。
人はどこか変な癖を持っているものだし、章くんのクラシックだってそうだろう。
章くんが何故クラシックを好きになり、何故毎年クラシックの時間を作ったのか。
クラシックの時間が苦痛でたまらなかった僕らは、
そんな簡単な事も考えずに、目先ばかりで怒り反発していた。
5年間も嫌嫌参加させられていたクラシックの時間、
リビングで眠りこけてしまっていた僕たちが目を覚ますと、
いつもベットの上だったのは、誰かが運んでくれたからだ!
そう考えると急に胸が熱くなり、温かい音楽が流れ出すようだった。
章くんの機嫌を損ねると、来年は呼んでもらえないかもしれない、
そんなちっぽけな事で意地を張っていたけれど、これもやはり目先ばかり。
章くんは皆が成長できるように嫌がる僕を海に連れて行ったりしたじゃないか、
つられるように思い出す温かい過去と、ワルツが重なって心地よい2重奏になる。
そんな雰囲気がした。

全体的にピンクや黄色の華やかで軽快なワルツのイメージ。
森さんらしいな、と。いい意味で。

■他2作
「彼女のアリア」
「アーモンド入りチョコレートのワルツ」

★★★☆☆*87

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コメント

 こんばんは♪
 なんだか毎日のようにTBさせてもらってますが(笑)、
 またまたさせていただきました♪
 よろしくお願いします☆

 ピンクや黄色の華やかで軽快なワルツかぁ~。
 なるほど~。
 ちなみに私は、もうちょっとしっとりしたイメージでした。
 色はパステルなんだけど、鮮やかな色ではなくて
 ちょっと霞越しに見ている感じ。

 どの話も、心にじんわりあたたかかったですね◎

投稿: miyukichi | 2006年12月 7日 (木) 00:23

>miyukichiさん

こんばんわ、こちらもTB&コメントありがとうございます^^*
毎日のように・・・(笑)すっごく嬉しいです!!
こちらもまたTBの機会を狙っております☆(笑)

>ちなみに私は、もうちょっとしっとりしたイメージでした

なるほど色々な見方がありますね!
しかしながら、私は3曲とも聴いたことが無い・・・(苦笑)
聴いたことがあるかもしれないけど題名と一致していなくて;
私の華やかだ、と言うのは、「子供は眠る」の、
いざこざがありながらも、5人が賑やかな様子ですね。
でも最後の方はちょっと終局して悲しい感じかな?
結局夏のバカンスはなくなってしまいますし・・・
盛り上がりと、そこから続くしっとりとした感じ、そこが好きですね。
多分この音楽たちをバックミュージックに読み直したら、
感想ががらっと変わるかもしれないなぁ、とか今思いました。

>ちょっと霞越しに見ている感じ

確かに、結局結末があるんだ、と言う感じがしますね。(意味が判りにくい
何かこう・・・ワルツっていつまで続くのかなー?
みたいな雰囲気を感じるのですが、そんな思いと裏腹にいつしか止まっちゃう・・
その様子をそっと見ている、と言う感じかな、もしました。

短編は短編でも「風に舞いあがる~」より、断然心温まるよい本です。
「風に舞いあがる~」はいいのですが・・・堅くて・・・(涙)
森さんの児童文学系の文体が好きな私にとっては
こういうふんわりした感じの本がいいなぁ、と思います^^*

投稿: るい | 2006年12月 7日 (木) 01:39

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受信: 2007年2月20日 (火) 11:35

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