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2006年10月28日 (土)

「パイロットフィッシュ」 大崎善生

パイロットフィッシュ パイロットフィッシュ

著者:大崎 善生
販売元:角川書店
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大崎さんの本て、やっぱり透明感があるよなぁ、と改めて思った。
金魚や熱帯魚が似合う感じ、素敵です。
話の中にエロイ要素・今回もエロ本編集者ですが、
結構生々しく書いてあるのに、過去を淡々と語る様子は、
どことなく切なくてそれさえも美しく見えてしまう、と言う感じ。
硝子越しに見ている物語、って言うのが大崎さんの印象です。
今回も「アジアンタムブルー」の主人公と同じ。

優柔不断で頼りなくて、どうしようもない人間だった僕は、
たまたま入った喫茶店で、男を友人に寝取られ泣いている少女・由希子に出会った。
付き合い始めた2人は、とあるバーのマスターと仲良くなるが、
ある日マスターは家族を残したまま理不尽な理由で死んでしまう。
その知らせに僕が落ち込み、部屋に閉じ篭っている時にやって来た人物・・
それは由希子の昔の男を寝取った伊都子だった。
壊れた愛情は19年越しに思い出され、本当の別れを告げ去ってゆく。
そんな話。

「傘の自由化は成功しましたか?」
ここを読んだ時、ぞわぞわと鳥肌が立ちました。
「アジアンタム」の時も、名刺の所で、「まさか、そんな!」の衝撃でしたが、
今回は運命的というか、輪廻的?な物を感じて身震いしました。
それにまさかここにマスターが!と言う驚きで。
大崎さんは、2度あることは3度ある、とかそう言う訴えがあるようで。
あと何か大切な物を失った時の絶望感と使命感、
これか凄く綺麗に描かれていると思います。
沢井が死ぬ間際、手足を拘束されながら僕の名前を呼びつづけていたのは、
幻覚の見える世界であっても、「きっと私を助けてくれるはずだ」
と言う僕への思いがあったのだろうと思うと、心を締め付けられるようでした。
ちょっと残念だったのが、七海の登場。
可奈でもよかったんじゃないのかなぁ・・・と思ってしまう。
でも可奈だったら「傘の自由化~」は無かったわけで。
でもたまたま来た女の子と、その日に寝ちゃうなんてどうよ?とか思いました。
いや、結構それ現実的だから、とか言われたら文句は言えませんけど。苦笑
それと、せっかくのパイロットフィッシュが、ちょっと曖昧すぎるような?
私の理解不足かもしれませんけど、なかなか判りづらい。
マスターは僕たちのために住み良い世界を作ってくれたんだ、とかその位?
私的には「アジアンタム」先に読んで良かった、と思いました。
「パイロット」の方が先に出てますけどね。
話は断然「アジアンタム」の方がいいですが、続編的に楽しめます。

★★★☆☆*81

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コメント

「傘の自由化~」私もぞわぞわしました!
透明感のある文章に好感を持ちました。
「アジアンタムブルー」の続編なんですか?
ん?でもこっちの方が先に出てるから「アジアンタムブルー」が続編かな?
同じ登場人物が出てくると、親近感も沸くし、その登場人物の前情報を持っていることになるから、読みやすいですよね!
とにかく読んでみたくなりました(笑)
早く文庫にならないかなー。

投稿: このみ。 | 2007年3月25日 (日) 23:48

>このみ。さん

こんばんわ、
TB&コメントどうもありがとうございます^^*

>「傘の自由化~」私もぞわぞわしました!

「傘の自由化~」は「うわっまさかここで?!」と鳥肌立ちますよね。
運命的な何かを硝子越しにしっとりと語ってくれる感じが好きです。
確かに春樹さんに似てる?といわれる文章のような気もしましたが、
私も気にせず読むことが出来ました。
何となく春樹さんとは透明度が違うような。
春樹さんほど回りくどくないような・・・そんな感じがしました。

「アジアンタムブルー」の続編なんでしょうか・・・。
続編って言うよりも、「僕のもう一つの過去」見たいな感じで、
別にどっちかを読んでいないとダメ、と言うことはありません。
が、読んでいると「あれ?これってあの主人公だよね?」と言う感じがします。
(結構前に読んだので記憶が定かじゃないですが、
確かに同じ主人公だったと思います;当時のレビューにそう書いたので;;)
雰囲気も「パイロットフィッシュ」に似ていますので、
気に入られたら、こちらもいけると思います。
実は映画化してるんですよね、「アジアンタム」阿部寛主演です。
かなり小規模だったので観ませんでしたが、ちょっと気になっていました。

>同じ登場人物が出てくると、親近感も沸くし、
>その登場人物の前情報を持っていることになるから、読みやすいですよね!

それはありますよね!
ついシリーズ物を買ってしまう心理状態?(笑)
あのキャラクターで今度はどんな話?と気になりますもんね。

「アジアンタム」も文庫になってますよ!
是非読んでみてください♪

投稿: るい | 2007年3月26日 (月) 01:37

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吉川英治文学新人賞受賞。 冒頭部分で私の心は一気に盛り上がってしまいました。 人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない。 昔の恋人から19年ぶりに電話がかかってくる。 アダルト雑誌の編集者をしている山崎は、かつての恋人である由希子からの電話を受ける。..... [続きを読む]

受信: 2007年3月25日 (日) 23:42

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