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2006年10月 4日 (水)

「明日の記憶」 荻原浩

明日の記憶 明日の記憶

著者:荻原 浩
販売元:光文社
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泣けた、泣けた。
荻原さんの他の作品でもいいお話は多いですが、
いつも「いいなぁ」と思うだけで、泣いた事はありませんでした。
今回は何でかな、渡辺謙とか樋口可南子のイメージが当てはまり過ぎて、
あまりにもシリアスで現実的に読んだからだろうか。
理由は判らないけど、泣いちゃうくらいいい本。

広告会社に勤める佐伯は50歳を迎え、会社でのポストも部長を勤めていた。
一人娘が結婚する話がでた頃、佐伯は徐々に物忘れが激しくなった。
初めは更年期やストレスからくる度忘れだと決め付けていたが、
病院に掛かってみると検査の結果、若年性アルツハイマーだと診断される。
妻と一緒に次第に消えてゆく記憶と、必死に戦う姿が美しく描かれている。

記憶が消える、それは一体どなんな感覚なのだろうか。
つい先程机に置いてあった物を忘れ、数分前に問いかけた質問をもう一度する。
誰にでも起きる記憶の交差だろうと願い、いっそ誤診だと告げて欲しい、
病院で診断された後もその結果を信じる事が出来ず否定する姿が悲しかった。
さっきまで知った道を歩いていたはずなのに、
次の瞬間見覚えのない空間になって、辺りを見回すのが怖い。
見知った人間に「初めまして」と言い、傷つけるのではないかと言う恐怖もある。
まるで頭の中の地図が欠落し、代わりに黒い物がどろりと流れ出ているようだった。
朝起きたら、妻や娘の顔さえも忘れているかも知れない。
自分の記憶が消えるなんて考えただけでも身震いした。
文章は「私」が語りかけるように書かれていますが、話が進むにつれ、
自分の症状を再確認するように自らの口から述べられる部分が泣けてきます。
それと中に出てくる日記も同じ事が2回書いてある。
そんな様子を文章で読むのが辛くて、もしも自分がしていたら、と不安になりました。
ラスト、泣けます。CMにもなっていたみたいですが。
「こんにちは」
その一言がどれだけ心に響いたろう、と考えるだけで泣けました。
重い題材だからか、清々しいまでの美しい終わり方がとても気持ちがいいです。
映画観たかったな、渡辺さんと樋口さんはイメージにピッタリです。
DVDそろそろ出るみたいなので借りてこよう。
小説もかなりお薦めです。荻原さんはシリアス路線の方がいいです。
渋好きなのだろうか、私は「神様からひと言」より断然好きですね。

★★★★★*97

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コメント

 ラスト、私も号泣でした。。。
 美しい終わり方でしたよね。

 私は荻原さんの作品では
 「四度目の氷河期」が一番好きですが、
 これもかなりよかったです。

投稿: miyukichi | 2007年6月 5日 (火) 00:55

>miyukichiさん

こんにちわ、コメントどうもありがとうございます^^*

よかったですよねぇ、私もこのラストが好きでした。
記憶がなくなってどうなっちゃうのかなぁ、と不安もあり。

「四度目の氷河期」ですか、今度読んでみますね。
最近そう言えば荻原さん読んでいませんでした。
図書館で借りてみます♪

投稿: るい | 2007年6月 5日 (火) 09:47

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» 明日の記憶/荻原 浩 [Book] [miyukichin’mu*me*mo*]
 荻原 浩:著 『明日の記憶』  明日の記憶光文社このアイテムの詳細を見る  1年ほど前、渡辺 謙さん主演で映画化されたので、  タイトルに覚えのある方は多いでしょう。  自分の記憶が、日に日に怪しくなる。  約束したはずのことが、すっぽり抜けている。  取引先の担当者の名前が、顔が、思い出せない。  行き慣れた場所なのに、突然真っ白になって道に迷う。  若年性アルツハイマーに冒された主人公の  どんどん進行していく病状の描写が、  もう読んでておそろしくなります。  コミカルに書かれてはいる... [続きを読む]

受信: 2007年6月 5日 (火) 00:53

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