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2006年10月16日 (月)

「アジアンタムブルー」 大崎善生

アジアンタムブルー アジアンタムブルー

著者:大崎 善生
販売元:角川書店
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お、なかなかいいかも、と思って読んでいたら、実は映画化らしい。
しかも主人公が阿部寛!
「おいおい、冗談じゃない、めっちゃ合わないよ」
と読んでからツッコミを入れてしまったのは私だけですか?
阿部さんはお願いだからいつまでもトリックの阿部さんでいて下さい・・・。

端的に言うと、愛する人を失った悲しみを描いた純愛ストーリー。
だけど、どことなく泥臭くてエロティックで馬鹿らしい。
エロ本編集部に勤める「僕」は、エロさを追求し続ける編集の極意に飽き始めていた。
そこで水溜りだけを撮り続ける、カメラマン・葉子を新しく抜擢する。
次第に「僕」と葉子は互いに惹かれ合ってゆくが、長くは続かなかった。
愛する人がいなくなった時の絶望感は計り知れず、
つい面影を探そうと、「僕」はデパートの屋上で一人佇んでいる。
人は何かを乗り越えるために生きなくてはいけない、そう伝わってくる本です。

「僕はテロリストなのだ」
この言葉が後半になってこんなに響く言葉になろうとは。
ベットに潜り、手を繋ぎながら2人でテロリストになっただろう瞬間、とても好きでした。
脈絡でいきなりテロリスト、と出てきたので、ん?なんでいきなり。
と思っていたのですが、そこはさすが重要な鍵に繋がっていました。
それと名刺を受け取った瞬間は鳥肌もの。
人生を狂わす人間は、自分が死ぬまでつきまとってくるのではないか?
と言う恐怖心と、まさかここに来てこいつがまた現れるなんてと驚愕しました。
本自体の雰囲気は「陽気じゃない伊坂幸太郎+村上春樹+横山秀夫」※偏見です
病気とかSMとか自殺とかセックスとか、あんまり綺麗ではない物が
ごちゃごちゃ出てきていますが、すべてが上手い具合にやんわりと表現されています。
あと音楽もお好きなようで、「君が生きている時間、僕は幸せだった(?)」
みたいな歌詞が出てきていますが、それはいい感じに纏まっていました。
が・・・・なんだか色々出しすぎた感。
ストリートライブの2人は正直なくてもいいし、
せっかくのタイトルの「アジアンタム」の出番が少ない。
枯れてゆくアジアンタムを食い止めるのは至難の技で、
それはきっと癌にかけているのだと思いますが、あまり伝わっていない。
初めの方で屋上で出会うヒロミも、設定が突然消えるって感じでしたが、
それでも彼女は何のために出現したんだ?と疑問が強め。
同じ恋人をなくした悲しみなら沢井で十分だったろうに・・・と残念。
私的には本の中盤あたりまでが凄く良かったです。笹井に宣告される辺り?
でもその後がねぇ・・・ちょっとくどいような、ニース。
前半にで悲しみを押し出しすぎているからか、
後半にも愛を詰めこまなくちゃ!みたいな感じがし重い。
最後の水溜りの写真展がもう少しボリュームアップでも良かった気も。
うーん。
文章が凄く好きだったためか、ラストにかけての持って行き方が惜しいと思ってしまう。
そんな感じでした。

★★★☆☆*85

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