« 2006年8月 | トップページ | 2006年10月 »

2006年9月

2006年9月30日 (土)

「風に舞いあがるビニールシート」 森絵都

風に舞いあがるビニールシート 風に舞いあがるビニールシート

著者:森 絵都
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


森さんが直木賞取った!とはしゃいで買ってしまいましたが・・・。
うーん、でも「カラフル」派な私にとってはちょっと堅い気が。
なんとなく雰囲気的に宮部さん系に・・・もちろんミステリではないですがね
まさしく、と言っていいほど直木賞狙って書きました、
と言わんばかりの作品だと思うのですが、どうでしょう?
そして短編集です。長編期待してたんですけども・・・涙

この本は全体的に、人がひとつの事に魅せられてしまい、
周りの様子が目に入らない、と言う現象がテーマのようです。
熱中して、熱中させられて、「自分は正しい方向を向いているのか?」
と言う事を考えない人が登場し、その奇妙さに気づかなかったり、
もしくはそれを他の誰かに指摘されて気づいたりする。
でもそれは方向性は違えど、ほとんどの人たちが経験するものなのだと。
うーん。それにしても、ちょっと変わり者の主人公ぞろい。
職業も結構マニアックな部分つついてますし、やっぱり賞狙いを伺えます。笑
文章は堅めで、会話文もいつもの森さんより少なめで、
主人公たちの心の声や心情が詰まった感があります。

まず「器を探して」から。
人の味覚を虜にするパティシエ・ヒロミの補佐を担当する弥生。
弥生は付き合っていた彼氏と結婚を予定していたが、
それを聞きつけたヒロミは、弥生を遠方出張等に繰り出させ邪魔をする。
その回りくどい嫌がらせに怒りを覚えていた弥生だったが、
結局は魅惑のケーキを作るヒロミに逆らうことができない。
怒りを覚えながら行った出張の要件はケーキに合う器を探してくる事。
しかし弥生はヒロミの納得する器を見つけたにも関わらず、
尚も魅惑のケーキにより適合する器を求めることに翻弄されてしまうと言う話。
1番目に載っているからか、その絶妙な要点の突きに驚いた。
ケーキに魅了されるあまり、人生を投げ出す女。
作っている人の性格が最悪だったとしても、ケーキの魅力には適わない。
終わり方が・・・とってもいい所で止めてくれるものだから、
このまま短編集にしておくのはもったいないよ!と言いたくなる。
そして女ってこんな感じかも、と思ってみたりした。笑
私はケーキではないけどね、なんて。

次は「ジェネレーションX」を。
30代になった主人公・健一は、仕事のミスから得意先の年下社員・石津と、
消費者の奥さんに謝罪しに行くことになった。
東京から宇都宮までの車の中、健一が一言許したのを発端に、
石津は携帯電話で次から次へと電話を掛け捲り、大声を張り上げる。
話を聞いているうちに、どうやら10年来の同窓会を開くことになったらしく、
健一は徐々に電話の会話の内容を気にし始める。
童心に戻り、旧友と会うことを素直に喜んでいる石津を見て、
健一は今まで格好よく見せようと気張っていた見栄を捨ててみようと決意する。
この中で私が一番好きな話だったりします。
なんとなく一番森さんぽいってのもありますけど、
一番身近な話題でとても言いたいことが伝わるストーリーになってます。
集まるメンバーが一人も欠けちゃいけない理由、とても素敵でした。
そうですよね、人っていつの間にか老け込んできますから、
たまには古い友達と会って遊ぶのもいいよね、とか思いました。
「大人になっても遊び心を」っていうのがコンセプト、いいですね。

堅い森さんの文が好きな人はもっと評価が高いかも知れません。

*90

| | コメント (4) | トラックバック (3)

2006年9月28日 (木)

「神様からひと言」 荻原浩

神様からひと言 神様からひと言

著者:荻原 浩
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


随分前に読んだのですが、再読しました。
やっぱりねぇ「コールドゲーム」よりも全然いい!!
荻原さんの書くサラリーマンはカッコイイです=学生は止めた方がいい。
どちらかと言えば「オロロ畑でつかまえて」系。
昔のお勤めが広告会社だったのでしょうか?面白いです。

バントを諦めきれないまま決めた涼平の再就職先は、売れない乾麺会社だった。
広告会社の経験を買われて雇われたはずなのに、それをよく思わない部長と衝突し、
ダメ社員の掃き溜め・お客様相談室に飛ばされる事になった。
「お客様の声は神様の一言」と言う社長の言葉も虚しく、クレーム続きの最低の会社。
毎日の謝罪で身に付いた低姿勢も、彼女に対しての対処は全く思い浮かばない。
そんな時涼平の前に現れた神様が言った一言は・・・・と言う話。

毎日続く掃き溜め・お客様相談室での電話の格闘、凄く面白い。
時には乾麺の作り方の問い合わせが、味がまずいとの文句、
ハエが入っていたと言うクレーム、さらにストーカーのクレーマーまでいる。
受話器を上げた瞬間に響き渡る怒声を聞いたら、
思わずこちらも怒って切ってやろうかなんて思いますが、そこは辛抱。
「謝罪の天才」篠崎にならって、徐々に対処に慣れてきた涼平が、
客の怒りをサラリとかわせるようになる辺りは爽快です。
中盤でヤクザ気取りの男たちとの対決がありますが、
そこでの篠崎と涼平の手合いも、思わずお見事!と言いたい感じでした。
実際でも思いますけど、自分がさして悪くないのに謝るのって大変ですよね。
そんな技量?を身につけていくうちに、自分はこんなに謝ることが上手くなったって、
篠崎や涼平が結局自分自身の周りの環境では役になっていない。
別れて住む妻に切り出す言葉や、失踪した彼女を引き戻す言葉が見つからない。
そんな様子がとても切なく感じました。
会社に対して客が、閉店後のラーメン屋がホームレスの神様のように、
涼平にとっても助言を求める神様がいたっていい。
そんな荻原さんの心意気と言うか、こんな事だって神様のお言葉だって言えるんだよ、
ありがたく思えばなんだってそうなんじゃない?って言っているようです。
あと「謝る時は大切な人を庇う様に電話の前でもお辞儀をする」
と言うような文が出てきますが、これもなるほどなと思わず頷きました。
褒めておいて難ですけど・・・
私的には神様の言葉がもうちょっとインパクトあってもー・・・なんて思いましたが、
その質素さがまた涼平の神様にはぴったりなんだ、ってオチです。
どうぞ、「オロロ」と合わせてお読み下さい。
そう言えば、題名からしてしっとりな感じに思うかもしれませんが、
結構コミカルで、すかさず笑いも狙っています。涼平の一人ツッコミが面白いです。

私は「明日の記憶」も買ってしまったので、しばらくは荻原ワールドです。

*92

| | コメント (2) | トラックバック (1)

■雑談:今日から復活

よーし!
今日から復活しよう、気合入れだ!!
なんだか東京に帰ってきたら、
「自分、こんな忙しい毎日おくってたっけ?」
と疲労感と虚しさがこみ上げてくる日々です。
田舎と違って、道を行き違う人のスピードが速いからだろうか?
電車が3分おきとかに来てくれちゃったりするから?
そんなこんなですが、合宿のお陰あって毎日早起き継続中。
すごいよ、私!!この私が早起きだ何て・・・!!自我自賛。
毎朝6時起き。
この調子ならお弁当も復活できそうですが、油断禁物。苦笑

今日はそうだなぁ、先日読み終わった下のどれかの感想から・・・。
----------------------------------------
・グラスホッパー
・死者の奢り
・神様から一言
・風に舞い上がるビニールシート

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月27日 (水)

■雑談:ようやく

ようやく復活します。
いきなり学校と会社の現実に引き戻されて、疲労感たっぷり・・・。

miyukichiさんコメント遅れてしまってすみません;
後ほどつけますのでもう少々お待ち頂ければと。

では出勤します・・・。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年9月19日 (火)

■雑談:路上教習

雑談増えちゃって・・・。

本読んでいないわけじゃないのですが、
車が怖くってですね・・・。
なんと昨日から路上乗っているので、地図やら学科やら何やらやっていて。
うーん。怖いわぁ。
絶対東京では走らん、と決めました。

伊坂さんの「グラスホッパー」と
大江さんの「死者の奢り」読み終わったので、後ほど感想を。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月17日 (日)

■雑談:こんな私でも

仮免取れました!
明日から路上だ・・・。(恐い

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月16日 (土)

■雑談:カラオケ

今日は午後の時間空いていたので、カラオケへ!
ポルノ熱唱ですよ。
めざせ全曲制覇だったのですがタイムオーバー。
でも缶詰しているストレスは吹っ飛びました。
いいわぁカラオケ。
でももうちょっと近いといいんだけど。
徒歩40分です。

取りあえずハネウマライダーとタネウマライダーが歌えて満足でした☆

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月15日 (金)

■雑談:栃木観光

宣言しておこうかな・・・。
今日あたりから1日おきぐらいにするかもしれません。
しないかもしれませんが・・・。
雑談で埋めればいいかな。

今日は暇でした。
仮免許試験に1回落ちたので、その穴埋め的日だったので、教習も1回しかなく。
仕方が無いので、母親を呼んで缶詰をどうにかしてもらいました。
久しぶりに行きましたが、「千本松牧場」。
寂れてたー・・・。(禁句?)
ソフトクリームは美味しかったけどね?
県民だって言うのに、会社とバイト先にお土産を購入。
「那須の月」とか買おうとしたのですが、
毎度まがいもんだと文句を受けるので、牧場クッキーにしました。
でも牧場クッキーの方がどこでも売ってそうだよね、
とか文句受けそうですが気にしない事にします。

予定では?23日に出られる予定なんですが、どうなる事やら。
むしろ今出てゆきたい心境です。
「母よ、凄いや運転できるなんて」
としみじみ感謝の念が生まれてきただけでもいいって感じです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月14日 (木)

「錆びる心」 桐野夏生

錆びる心 錆びる心

著者:桐野 夏生
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


初、桐野さん。
最初「OUT」読もうかと思っていたのですが、
ちょっと気分的に重かったので、短編集にしてみました。
なかなか、なかなか。才能ある作家さんだな、と。
お話が何かと生物系です。

「錆びる心」なんて言うからミステリーなのかと思ったら・・・。

まずは「ジェイソン」から。
実は酒乱だった。そんな真実を31歳になった今初めて知る。
酒を飲んで消えてしまっていた記憶の中では、
「ジェイソン」と陰口されるほどの凶悪な事件を起こしていた。
ただ羽目を外していた、そう思っていただけだったのに、
実は自分はとんでもない事をしている、そんな恐怖を味わえます。笑
奥さんが出て行ってしまってた理由を考えていましたが、
無理やり襲ってしまった位だろうか、なんて安直過ぎました。
まさか・・・まさかそこまで自分はやっていたのか?!
と言う自分への恐ろしさに鳥肌が立ちました。
現実にもありそうで怖い。自分もねぇ・・・。

次は「錆びる心」を。
10年間耐え忍び、夫の誕生日に家出を決行した。
囚われ続け妻でありながら家政婦のような主婦生活を送っていた絹子であったが、
本当の家政婦の職に着く事によって生きがいを取り戻した。
しかしその心は本人が気づかないうちに隠し切れないほど蝕んだものになっていた。
苦しみや怒りを押し殺した10年にも怖いほどの執念を感じますが、
その間に失った思いと翳ってしまった思いに気づかない怖さの方が強かった。
「他人だから」そう聞いた時、なるほどなと思いました。
忘れがちですが、親子は血は繋がっているけれど、夫婦は他人です。
ただ1枚の紙で繋がったに過ぎないんだ。
そう考えるとその虚しさとある意味の納得がとても悲しく感じました。

*83

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月12日 (火)

「天帝妖狐」 乙一

天帝妖狐 天帝妖狐

著者:乙一
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


久しぶりに乙一さん。
結構長め短編が2本収録されています。プチ長編て言うのか?
「失踪HOLIDAY」は何だか間延びした気がしてなりませんでしたが、
この「天帝妖狐」の中に入っている2本はとてもいい感じです。
勝手な事言うけど、乙一さんはこれくらいの長さが面白さを保つ限界のようだと。

「A MASKED BALL」(ちなみにこっちの方が私は好き。)
ある日人気の無い校内の男子トイレに妙な落書きが出現する。
次第に姿の見えない落書き仲間が5人揃うと、
校内での出来事や先生の悪口が繰り広げられるようになる。
しかしちょっとした遊びだったはずの落書きがいつの間にか、
犯行予告の伝言板になり、恐怖し始める。
学校のトイレを舞台にするなど、学校の怪談のような雰囲気。
カタカナで書かれた気味の悪い落書きの内容が、次の日になると実行される
その奇妙で薄暗い影を連想させる仕様がまさに乙一さんの魅力。
そこには日本的な恐怖(土臭さもあるような薄暗い怖さ)が、
しっかりと描かれていて、この先はどうなってしまうのだろうと心拍数が速くなる。笑
決して映像では見たくない、なんて。怖いし・・・。

「天帝妖狐」(ちょっとイメージしていたのと違った)
コックリさんをすることで、幼き夜木は霊(?)早苗を呼び出していた。
早苗の不老不死の言葉にそそのかされた夜木は、
自分の体と不老不死を交換する契約をしてしまう。
月日が経ち怪我をするごとに人間ではない邪悪な姿へ変貌する事になる。
その時の人間の軽蔑の眼差しと、動物さえも寄り付かない孤独が描かれている。
何となく妖狐なんていうから、化け狐にでも変身しちゃうのかな、
なんて思ってたんだけど違ったようで、孤独に耐える人間の心が綺麗に表されてます。
話の大半が手紙形式になっていて、乙一さんにしては硬い感じがしますが、
私的にはこの位の畏まった乙一キャラも好きだったりします。
まぁ文章がしっかりしている分、薄気味悪さ倍増って感じですが・・・。
結末の予想はつきますけど、淡々とした口調に引き込まれて最後まで楽しめます。

*83

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月11日 (月)

「R.P.G.」 宮部みゆき

R.P.G. R.P.G.

著者:宮部 みゆき
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


やっぱり宮部さんはこうでなくっちゃね!の書き下ろし長編。
でもこれを5年前に書いてたって思うと、凄いなぁの一言です。
「模倣犯」の武上さんが出ていて、ちょっと懐かしくなりながら読みました。
石津さんは「クロスファイア」だそうですが、こっちは実はまだ未読です。
今度は「クロスファイア」でも読もうかな。

インターネット上で”家族”を作り、”お父さん”を演じていた所田良介が殺された。
良介は結婚しており娘もいたが、酷い浮気性でよく若い女に手を出していた。
捜査が進むにつれ、別件だと思われていた女性殺害事件の被害者が、
良介の愛人であった事が判る。警察は、その愛人関係を知るA子なのか、
はたまた、ネット上の”家族”の仕業であるのか、試行錯誤する。

「R.P.G.」のタイトルからも判るように、
話の構造がロール・プレイング・ゲームのように仕立ててある。
全ては巧妙に仕組まれた仮想空間にすぎない、
をコンセプトに話の前半はほぼ過去形の状態で進んでいく。
ネット上の”家族”が取調室で談話する光景は、非常に妙な感じがした。
「勿論、偽装だと判って参加する家族関係」
初めこれに手を出そうとする心境が正直よく判らなかった。
現代のネットの普及率といったら舌を巻くほどですが、
最近になって、「自殺サイト」だとか「暗殺サイト」だとか、
顔が見えないのと、全てを文字で済ませられるのをいい事に、
増える犯罪心理は、もしかしたらこう言う些細な事で始まるのだろうかと怖くなった。
「だって刑事さん、心は目に見えないものじゃない?だけど人間なんて、
顔を突き合わせていたら、顔しか見えないのよ。外見しか見ないのよ」
と律子がいった言葉が重くのしかかった。
外見しか見ない現実と、外見を作る非現実と、どちらがいいだろうか。
現実からネット上に逃げる、現実に少なからず不満を抱えた人間の
心理状態を垣間見る事が出来ました。確かにネットは依存しますしね、なんて。
しかし・・・と絶賛しておいて難ですが、
ちょっと話が見えている気もしました。初めの方で犯人判りますし・・・。
でもまさか全体が仮装的になっているとは思いませんでしたけども。
この話は、RPGの操作ならぬ捜査方法の多様性の面白みを味わえるかと。
本当にこんな捜査が行われるのかは判りませんけども、私も引っかかりそうです。笑
結末から読むと詰まらないので(そんな方いないとおもいますが)、
是非とも初めからじっくりどうぞ。

*87

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月 8日 (金)

「レキシントンの幽霊」 村上春樹

レキシントンの幽霊 レキシントンの幽霊

著者:村上 春樹
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


ん?なんだか春樹さんぽくないような・・・。
なんとなく他の長編作を書くための予備的な短編集、みないな。
そんな感じがする。
結構年代がバラバラに収録されているので、
あぁこの頃の春樹さんはこんな事を考えていたのね的。

一つ目は「緑色の獣」。
幼い頃から接してきた椎の木から緑色の獣が出現する話。
すんごく短い。
何が言いたいのか理解に苦しむのですが、
多分幼い頃の自分を知っている誰か(ここでは獣)を気持ち悪がる、と言う感じ。
突如現れて、「昔からあなたが好きだ」と言うような事を聞いて、
(自分の過去を嫌う)主人公は生理的にその存在を受け付けない。
そんな事を表しているのだと思います。
ここから連動して話が作られるのか・・・と思うとなるほどと感嘆です。
これは何となく表現が「世界の終わり~」の一角獣のような雰囲気。
でも表現している事は違いますけどね。

もう一つは「トニー滝谷」を。
孤独になりたくないけれど、いつしか周りは死んでいくものだし、
その悲しみを乗り越えるために、遺品をそばに置いておくのも辛い。
でも死人の影を振り落とすためには、やっぱり綺麗さっぱり捨ててしまうべきで、
そうすると、やっぱり独りぼっちになっちゃうよね、と言う話。
一度は皆体験するだろうと暗に訴えている部分に敏感に反応してしまった。
孤独を愛する人がいたとしても、誰かが周りにいる状態での孤独と、
本当に身寄りのいない天涯孤独ではわけが違うのだな、と思う。
トニー滝谷は名前からしてそう言う運命を辿るのだ、
と言っているようで、親の運命を受け継いでいる、そんな事も感じました。

うーん。面白みには欠けるかも知れないですが、
人間の感情を文章で表すとこんな感じになるのではないだろうかと。

*79

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月 7日 (木)

「オロロ畑でつかまえて」 荻原浩

オロロ畑でつかまえて オロロ畑でつかまえて

著者:荻原 浩
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


この作品って「すばる新人賞」らしいですよ。
ってあれ?この間の金原さんの「蛇にピアス」もじゃなかったでしたっけ?
一体どんな作品に賞が与えられているのかさっぱり判らない、すばる。
「コールドゲーム」読んでから読むとちょっと拍子抜け。笑
馬鹿げた事を本気でやる大人たちか滑稽で面白い。

「ど田舎・牛穴村を村おこししよう!」を目標に、
村民や、弱小広告代理店が躍起になる話。
何も取り得のない村にどうにか華を持たせるため、
村一の湖でネッシーならぬウッシーが出現したとデマを流す。
結局うそがばれてしまい、酷いバッシングを受けるが、
有名アナウンサーが嫁に来たりして円滑に進み始める。
しかしそんな大げさな作り話をしなくても、
実はオロロ畑にそ村復古のネタは転がっていた・・・!と言う話。
田舎丸出しのセリフばかりで、ある意味清清しいほど。
あまりに山深過ぎたせいか、閉鎖的な生活を送る村人と、
ひょんな事から契約する事になった都会の広告代理店のやり取りが、
上手い具合に噛みあってなくて面白い。
実際の広告店でもそうだと思うので、笑ったら失礼かも知れませんけど、
コンドームのキャッチフレーズの所では大うけしてしまいました。
「おい、社長寝てんのかよ!」とか。笑
荻原さんらしく、会話部分で登場人物の心理を読め!的な部分が多々あり、
この人は一体どう思っているんだろう?と考えるのが大変。
あとはそうだなぁ、核心を突くのが遅い気も・・・。
「オロロ畑でつかまえて」って題名でてるのだから、
もうちょっと早くに登場させて、結末は村が新聞の一面に!
みたいなのが希望でした・・・。なんて。
個人的意見なので、わがままだけかも知れません。
ちょっと村人の様子が「平成狸合戦ぽんぽこ」の狸のようでした。笑

*82

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年9月 6日 (水)

「アヒルと鴨のコインロッカー」 伊坂幸太郎

アヒルと鴨のコインロッカー アヒルと鴨のコインロッカー

著者:伊坂 幸太郎
販売元:東京創元社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


やられた、伊坂さん・・・!
最後までタイトルの意味が判らなかったよ!!笑
悔しい、悔しい。
映画化だそうで、観なくてはな。と覚悟は決めていますけども、
何となく一体どんな映画になっちゃうんだ?と言う心配の方が強い。
そして何ともこの作品は言いたい事を詰め込みすぎな気がします。

あらすじ書くと非常にネタバレなのですが・・・嫌な方は見ないように・・・。

2年前流行っていたペット殺し事件。
その犯人を琴美とドルジとは目撃してしまった。その結果、
今度はペットでは飽き足らず人間も殺してみようと逆上され琴美が狙われる。
ドルジと琴美、それから琴美の元彼氏・河崎が
どうにか逃れようと必死になるが、上手くは行かなかった。
そして2年後、椎名は河崎の犯人に対する復讐を強引に手伝わされることで、
この3人の入り組んだ物語に無理やりに引きずり込まれ、
ようやく2年越しの内容が明らかに、と言う話。
ちょっと説明してもよく判らない。苦笑
「神様を閉じ込めておけば、悪い事をしてもばれない」
あぁなるほど!!と思わず感嘆の声を上げてしまった。
別に気を抜いて読んでいたわけではなかったのですが、
こんな所に結びつきがあったのか、とやはり伊坂さんの構成能力は凄い。
あと宗教的な考え方、と言うか国によって随分違いますからね、
その見えない壁と言うか、自分が常識だと思っていることが実は違った、
みたいな部分の表現がとても好きでした。動物は皆生まれ変わる、とかね。
ただ今回は色々詰め込みすぎた感多数。
シッポサキマルマリの登場も結構重要なのかなぁ?
なんて思っていたのに、案外出番は少ないし。
外国人差別にHIV、性問題に動物虐待、平凡な生活に収まる恐怖、宗教に
人間は重要な時に動けなくて、どうでもいい時に行動的だ、とか。
もう、ありとあらゆる現代問題詰め込んじゃいました・・・!と言う感じ。
凄いと言えば凄いんだけど、今回はちょっとどれも中途半端な雰囲気がある。
まぁでも実際の世の中いろんな背景や事情があって縺れ合っているんだよ、
て考えれば、なるほどそれを生々しく書いたのね?くらいです。
私的には「重力ピエロ」位の詰め込み方が好きですけど。

ちなみに、こんな人の登場も。
・「重力ピエロ」の春と蕎麦屋
・「陽気なギャングが地球を回す」の祥子

*89

| | コメント (6) | トラックバック (3)

2006年9月 5日 (火)

「イン・ザ・プール」 奥田英朗

イン・ザ・プール イン・ザ・プール

著者:奥田 英朗
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


「空中ブランコ」先に読んだ方が良かっただろうか・・・。
結構ヒット作品から読む癖があるので。苦笑
でもこれも評判いいよね?本屋さんでよく見かけるし。
表紙の赤ちゃんが印象的。内容は・・・男性に受けそうなストーリー。
いや、勿論面白いんだけどさ、
「勃ちっ放し」とか絶対男性の方が共感が湧くのではと。笑
そして私も読むまで気づかなかったけど、これは短編集です。

変わり者の精神外科医・伊良部とその患者の話。
精神病って設定だけあって、現実に耐えかねて狂った主人公が登場。
第一にまず、その壊れ方が面白い。
プール依存症だったり、勃ちっぱなしだったり、自意識過剰だったり・・・。
そしてその人たちがお世話になる医者がもっと可笑しいという設定になっていて、
そのあまりに逸した行動に、患者たちが何故か自然に構成していく、
絶妙な治療法(?)が売り。笑
実は奥田さん初だったので、「なかなかやるなぁ」と。(何様だ
大人のユーモアセンスここに。いや、でも結構遊んでる部分もあるけどね。
この話にサラリーマンとか高校生とかOLとか色々出てくるのに、
文章に対して年齢と不釣合いだ、と思うことが丸でなくていい。
精神病の医者だって言うのに、超自己中心的で人のことを考えない。
そんなヤツを設定する面白さのセンスはお見事です。
でもじっくり読むって言うよりは、さっくり読むって言う感じで。
長編読んだ事無いからかもしれないけど、
あんまり心に残らないまでの爽快なストーリー。いいのか悪いのか・・・
主題が精神病とか重い感じだから、あっさり後味よく読めるのはいいのかもね。なんて
今度はやっぱり「空中ブランコ」読んでみよう。

*81

| | コメント (2) | トラックバック (2)

2006年9月 4日 (月)

「蛇にピアス」 金原ひとみ

蛇にピアス 蛇にピアス

著者:金原 ひとみ
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


綿谷さんよりもいいよ!ってお薦めいただいたので早速。
なるほど、なるほど。
やっぱり2歳(?)の差でも変わるもの?
金原さんの方が文章が安定してて読みやすいです。
でも内容が暗い・・・と言うか黒いので選り好みあるかもですが;

耳のピアス穴を拡張し、大きな穴にする事によって達成感を得る少女・ルイ。
ひょんな事から蛇のように割れた舌を持つ少年・アマと出会い、
その奇妙な舌の魅惑的な感覚に洗脳され、自分も舌を割る決心をする。
ルイとアマ、それからルイの舌にピアスをした男・シバの、
奇妙な三角関係が生まれ、次第に形が崩れ崩壊する。
頼りにしていた人が死ぬ辛さと、真実の残酷さが綺麗に描かれている。

こんな話だったのか・・・!とちょっと衝撃的でした。
雰囲気を説明するなら、「村山由香+村上龍÷2=金原ひとみ」。
勿論私的イメージですけども、予想以上に黒くてびっくりした。
村上龍の黒さは徹底的に黒いですが(あまり私は受け付けないのですが;)
そこに女性的な弱さが加わったら、こんなかな?と言う絶妙な感じ。
なるほど、なるほど、これで芥川賞は納得できるかも知れないと思った。
「一体どっちが健康的なんだろう」
主人公ルイはアマが死ぬことによって、自分の抱いていた愛情に気づき始める。
でも気づいたところで愛する相手はいるわけはなく、
アマと知り合う前の自分と、出会ってからの自分を比較し悩みに耽る。
その様子が雰囲気が暗いとかそう言う外観的イメージが気にならない位、
鮮明に描かれていて、主人公が未成年であると言う若さが漂っている。
もしこの部分がなかったら、かなり大人なイメージになってしまって、
もっと設定年齢上げたら?って言いたいところだったのですが、
金原さん考えてるな、って感じで。いい具合に新鮮さが混ざって素敵。
なかなかお薦めかもしれない。
でも覚悟してかからないとグロいから注意。

*82

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2006年9月 2日 (土)

「死神の精度」 伊坂幸太郎

死神の精度 死神の精度

著者:伊坂 幸太郎
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する


上手いなぁ~伊坂さんは。
と相も変わらず感嘆の声ををあげてしまう。
人間を客観的に見るって今まであったようでなかったような。
そんな絶妙なポイントをいとも簡単に突いてくれちゃって!みたいな。笑
パターンの展開も素敵。面白い、の一言に尽きます。

題名の通り、死神が人間の死期を判断する話。
この話の一番の面白みは主人公が死神であるところ。
死神であるから、人間の考えている事と若干常識がずれているし、
通常人間が恐れている死に対する恐怖や関心も、
勿論「死」と言う観念がない存在だからあるはずがない。
そんな超越した精神から、傍観者的に死期を迎える人間を観察し、
本当にこの人間が死ぬに相応しいかどうかを死神的に見る。
人間的に見ると、「おいおい、折角そこからの人生なのに勿体無いよ」
とちょっと同情したくなる場面も、勿論「死神的」に見るのでお構いなし。
でもその結果、ある意味この人間は救われていたんだよ、的な場面が多々。
人間の死期って事故であったり事件であったり、人それぞれ要因はあるけど、
結局のところ来るべくして訪れるものなんだよ、って言うのがコンセプトっぽい。
そしてそれは「死神」の偏った判断によって決められているんだよ、
と言う洒落た語り口で話が進み、間接的に事実を見る事が出来るようになっている。
伊坂さん凄いや。
何だか凄い凄いと馬鹿の一つ覚えみたいで恥ずかしい限りですが。苦笑
もうこの才能には乾杯って感じですね。
特にこの本は形式上短編集みたいになっていますが、
同じ目的(死期を見極める)なのに全く違った書き方がされていて、
読んでいる側をまったく飽きさせない。
特に「恋愛で死神」の話では予想もしない進み方でビックリ。
最後の「これはこれで」よかった、と言う男の気の持ち様が
とても清々しくて素敵でした。切ない終わり方もいい。
勿論、他の話も抜群に面白いです。
ちなみにこの本には「重力ピエロ」の春が出ています。
他にも他の本の登場人物が出てるかも知れませんが、
まだ未読なのでこれからどしどし読もうかと。
ぜひ「重力ピエロ」の後にお読みください。

*93

| | コメント (2) | トラックバック (2)

2006年9月 1日 (金)

■雑談:実はクラシック好き

のだめカンタービレSelection CD Book のだめカンタービレSelection CD Book

著者:二ノ宮 知子
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

のだめカンタービレSelection CD Book vol (2) のだめカンタービレSelection CD Book vol (2)

著者:二ノ宮 知子
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


実はクラシックがとても好きだったりします。
大体どんなものでも聞きますけどけども、
オーケストラで弾く賑やかな曲が比較的多いかなぁ。
ピアノ協奏曲とかも好きです。
そんなわけで、条件反射的に買ってしまった。
漫画も読んでるしねぇ、今度ドラマ&アニメ化だし
人気が出る前に買っておこう、なんて思ってみたり。笑
のだめ面白いですよ~漫画も。是非このCDをセットでお試しを。
クラシックに興味がない方でも楽しんでもらえる事間違いなし!

音楽は・・・そうだなぁ、
高校で弾いたから、という理由もあり、結構ベルリオーズびいき。
あの悲壮感たっぷりの表現方法がとても好き。
当時弾いたのは、かの有名な(と言うかこれくらいしか代表作が無い)
「幻想交響曲」でしたが、これはバイオリンをこれでもかと痛めつける演奏でした。
いや、物理的にですけどね。笑
コルレーニョ結構苦労ものですよ。
特に第四楽章、ギロチンの辺りが好きです。
他に持っているCDで「妖精の踊り」が小澤さん指揮の物があるのですが、
これもなかなかいいです。
どちらにしてもベルリさんは管楽器主体のような感じがしてならない。
弦としては悔しい限りですが、寂しさと激しさのギャップの美しさ。
たまりません・・・!

そうそう、ちなみに収録内容。

■CD Book1
・ベートーベン「ピアノ・ソナタ第8番《悲愴》第2楽章」
・ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 第1楽章」
・ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」
・リスト「メフィスト・ワルツ第1番《村の居酒屋での踊り》」
・モーツァルト「オーボエ協奏曲 第1楽章」
・ドビュッシー「喜びの島」
・ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」
・R.シュトラウス「交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》」
・海老原大作「ロンド・トッカータ」

■CD Book2
・ベルリオーズ「序曲《ローマの謝肉祭》」
・ラヴェル「バレエ《マ・メール・ロワ》眠りの森の美女のパヴァーヌ」
・ストラヴェンスキー「ぺトルーシュカ」第3楽章 第1章
・ラヴェル「水の戯れ」
・プーランク「ピアノ、オーボエ、バソンのための三重奏曲 第2楽章」
・デュカス「交響詩《魔法使いの弟子》」
・モーツァルト「ピアノ・ソナタ第8番 第2楽章」

| | コメント (0)

« 2006年8月 | トップページ | 2006年10月 »