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2006年9月12日 (火)

「天帝妖狐」 乙一

天帝妖狐 天帝妖狐

著者:乙一
販売元:集英社
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久しぶりに乙一さん。
結構長め短編が2本収録されています。プチ長編て言うのか?
「失踪HOLIDAY」は何だか間延びした気がしてなりませんでしたが、
この「天帝妖狐」の中に入っている2本はとてもいい感じです。
勝手な事言うけど、乙一さんはこれくらいの長さが面白さを保つ限界のようだと。

「A MASKED BALL」(ちなみにこっちの方が私は好き。)
ある日人気の無い校内の男子トイレに妙な落書きが出現する。
次第に姿の見えない落書き仲間が5人揃うと、
校内での出来事や先生の悪口が繰り広げられるようになる。
しかしちょっとした遊びだったはずの落書きがいつの間にか、
犯行予告の伝言板になり、恐怖し始める。
学校のトイレを舞台にするなど、学校の怪談のような雰囲気。
カタカナで書かれた気味の悪い落書きの内容が、次の日になると実行される
その奇妙で薄暗い影を連想させる仕様がまさに乙一さんの魅力。
そこには日本的な恐怖(土臭さもあるような薄暗い怖さ)が、
しっかりと描かれていて、この先はどうなってしまうのだろうと心拍数が速くなる。笑
決して映像では見たくない、なんて。怖いし・・・。

「天帝妖狐」(ちょっとイメージしていたのと違った)
コックリさんをすることで、幼き夜木は霊(?)早苗を呼び出していた。
早苗の不老不死の言葉にそそのかされた夜木は、
自分の体と不老不死を交換する契約をしてしまう。
月日が経ち怪我をするごとに人間ではない邪悪な姿へ変貌する事になる。
その時の人間の軽蔑の眼差しと、動物さえも寄り付かない孤独が描かれている。
何となく妖狐なんていうから、化け狐にでも変身しちゃうのかな、
なんて思ってたんだけど違ったようで、孤独に耐える人間の心が綺麗に表されてます。
話の大半が手紙形式になっていて、乙一さんにしては硬い感じがしますが、
私的にはこの位の畏まった乙一キャラも好きだったりします。
まぁ文章がしっかりしている分、薄気味悪さ倍増って感じですが・・・。
結末の予想はつきますけど、淡々とした口調に引き込まれて最後まで楽しめます。

*83

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