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2006年9月14日 (木)

「錆びる心」 桐野夏生

錆びる心 錆びる心

著者:桐野 夏生
販売元:文藝春秋
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初、桐野さん。
最初「OUT」読もうかと思っていたのですが、
ちょっと気分的に重かったので、短編集にしてみました。
なかなか、なかなか。才能ある作家さんだな、と。
お話が何かと生物系です。

「錆びる心」なんて言うからミステリーなのかと思ったら・・・。

まずは「ジェイソン」から。
実は酒乱だった。そんな真実を31歳になった今初めて知る。
酒を飲んで消えてしまっていた記憶の中では、
「ジェイソン」と陰口されるほどの凶悪な事件を起こしていた。
ただ羽目を外していた、そう思っていただけだったのに、
実は自分はとんでもない事をしている、そんな恐怖を味わえます。笑
奥さんが出て行ってしまってた理由を考えていましたが、
無理やり襲ってしまった位だろうか、なんて安直過ぎました。
まさか・・・まさかそこまで自分はやっていたのか?!
と言う自分への恐ろしさに鳥肌が立ちました。
現実にもありそうで怖い。自分もねぇ・・・。

次は「錆びる心」を。
10年間耐え忍び、夫の誕生日に家出を決行した。
囚われ続け妻でありながら家政婦のような主婦生活を送っていた絹子であったが、
本当の家政婦の職に着く事によって生きがいを取り戻した。
しかしその心は本人が気づかないうちに隠し切れないほど蝕んだものになっていた。
苦しみや怒りを押し殺した10年にも怖いほどの執念を感じますが、
その間に失った思いと翳ってしまった思いに気づかない怖さの方が強かった。
「他人だから」そう聞いた時、なるほどなと思いました。
忘れがちですが、親子は血は繋がっているけれど、夫婦は他人です。
ただ1枚の紙で繋がったに過ぎないんだ。
そう考えるとその虚しさとある意味の納得がとても悲しく感じました。

*83

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