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2006年9月11日 (月)

「R.P.G.」 宮部みゆき

R.P.G. R.P.G.

著者:宮部 みゆき
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やっぱり宮部さんはこうでなくっちゃね!の書き下ろし長編。
でもこれを5年前に書いてたって思うと、凄いなぁの一言です。
「模倣犯」の武上さんが出ていて、ちょっと懐かしくなりながら読みました。
石津さんは「クロスファイア」だそうですが、こっちは実はまだ未読です。
今度は「クロスファイア」でも読もうかな。

インターネット上で”家族”を作り、”お父さん”を演じていた所田良介が殺された。
良介は結婚しており娘もいたが、酷い浮気性でよく若い女に手を出していた。
捜査が進むにつれ、別件だと思われていた女性殺害事件の被害者が、
良介の愛人であった事が判る。警察は、その愛人関係を知るA子なのか、
はたまた、ネット上の”家族”の仕業であるのか、試行錯誤する。

「R.P.G.」のタイトルからも判るように、
話の構造がロール・プレイング・ゲームのように仕立ててある。
全ては巧妙に仕組まれた仮想空間にすぎない、
をコンセプトに話の前半はほぼ過去形の状態で進んでいく。
ネット上の”家族”が取調室で談話する光景は、非常に妙な感じがした。
「勿論、偽装だと判って参加する家族関係」
初めこれに手を出そうとする心境が正直よく判らなかった。
現代のネットの普及率といったら舌を巻くほどですが、
最近になって、「自殺サイト」だとか「暗殺サイト」だとか、
顔が見えないのと、全てを文字で済ませられるのをいい事に、
増える犯罪心理は、もしかしたらこう言う些細な事で始まるのだろうかと怖くなった。
「だって刑事さん、心は目に見えないものじゃない?だけど人間なんて、
顔を突き合わせていたら、顔しか見えないのよ。外見しか見ないのよ」
と律子がいった言葉が重くのしかかった。
外見しか見ない現実と、外見を作る非現実と、どちらがいいだろうか。
現実からネット上に逃げる、現実に少なからず不満を抱えた人間の
心理状態を垣間見る事が出来ました。確かにネットは依存しますしね、なんて。
しかし・・・と絶賛しておいて難ですが、
ちょっと話が見えている気もしました。初めの方で犯人判りますし・・・。
でもまさか全体が仮装的になっているとは思いませんでしたけども。
この話は、RPGの操作ならぬ捜査方法の多様性の面白みを味わえるかと。
本当にこんな捜査が行われるのかは判りませんけども、私も引っかかりそうです。笑
結末から読むと詰まらないので(そんな方いないとおもいますが)、
是非とも初めからじっくりどうぞ。

*87

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