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2006年8月13日 (日)

「バッテリーⅢ」 あさのあつこ

バッテリー 3 バッテリー 3

著者:あさの あつこ
販売元:角川書店
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今更気づいたけども、このストーリー展開がめちゃ遅い。
それは取り柄なのか、欠点なのかよく判りませんけども。
読み始めた時は、てっきり甲子園の話位までいってくれるのかな、
なんて甘い考えをしていまして、え?高校にも入らないって?
しまった、面白すぎてつい忘れてたけど、試合のインパクトって言うか、
印象度って言うか、それはやっぱり甲子園が読みたかったかな、なんて。

超自意識過剰少年・巧が甲子園(全国大会?)を目指すスポコン小説第3巻。
部活動停止解除をめぐって、一二年VS三年の紅白試合が展開され、
その後強豪横手との試合をする事により、部活自体の信頼を深めようと言う内容。
巧の投げる「最高の球」を取るために心躍らせる豪であったが、
今までで一番強い相手、横手の門脇を相手にした巧の投球は、
恐ろしいまでに威力の強い球へと変化し、豪はボールをミットで捕まえられなかった。
巧は知らずのうちに、豪が取れる球へと手加減して投げてしまい、
それに気づいてしまった豪との仲がギクシャクする。
「おまえにとってたったひとりの最高のキャッチャーだって心底わからせてやる」
と豪語していた豪であったが、巧への不信感が募るあまり、
野球についての意欲が激変し、不安感が増す。
そのちょっとしたもどかしさが、とても考えさせられる。
ポジションは違えど、切磋琢磨して伸び続ける2人であるから、
プライドも入り混じる中巧は「ごめん」と謝る事も出来ず、
かと言って豪は自分のために手加減する巧に苛立ちと悔しさを覚える。
その様子がリアルで、読んでいるこちらも心苦しくなった。
いよいよ面白くなってきた、と言うところです!
それと、巻末に文庫本書下ろしの「樹下の少年」
と言うのがあるのですが、これがこれがいい感じ!!
短いですが本編にも負けないお話です。
巧の弟・青波の話ですが、病弱の青波を過保護に扱う母親の様子が書かれていて、
巧がどうしてここまで人を嫌い、無関心なのか判るような気がしました。
「兄ちゃん、試合に行くんで。」
青波が母親に話しかけようとする場面がありますが、
この頃ですら母親が兄を放任し過ぎていて少し泣けてきました。
こんな育て方したら、そりゃぁぐれるさ、みたいな。
青波の病弱性は不可抗力ですけども、それにしても・・・と言う感じで。
これを読んでから、私の中で巧の見方が少し変わった気がしました。

*89

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