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2006年8月21日 (月)

「アフターダーク」 村上春樹

アフターダーク アフターダーク

著者:村上 春樹
販売元:講談社
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毎度難解不落の春樹さん。この作品はより最強です。
今まで色々春樹さん読みましたが、一番コンセプトがよく判らない。
せっかく「作家デビュー25周年記念の書き下ろし本」だって言うのに、
もったいないと言うか何と言うか残念と言うか・・・。
うーん・・・まぁ一度読んでみるといいかも知れません。(投げやり

ひたすら眠りにつくことで、自ら自分の中の殻に閉じ篭る美少女の
現実と殻の中の奇妙な関係や、エリートサラリーマンが、
中国人娼婦に暴行を加えるなどの腹黒い世界との対比の話が主。
「アフターダーク」の名に相応しく、夜が明ける前の静粛な様子を
細かく時間を刻みながら複数の場面からこんこんと語られている。
終始話が定点カメラのような客観的視点で進められ、
世界をはるか頭上から状況を見下ろし把握される感覚が新しい。
登場人物にはいつになく人間味がある感じがするけど、
春樹さんの話に断固関西弁は合わないと思っているタチなので、
読んでるときに違和感があり、あまりいただけなかった。
あと語り口も客観的視点であるため、どこか無機質で冷たい感じがし、
勿論登場人物の感情があまり反映されないため、物寂しい。
いや、でもその状況を巧妙に文章化することで、いかに苦しんでいるか、
いかに悲しんでいるか表現するのは腕の見せ所なのかも知れません。
その点では春樹さんの文章はうってつけな気もするのですが、
今回は形容詞がかなり控えめになっているのでコンパクトなイメージがある。
静寂で静粛なイメージを演出したかった=客観的視点になったのかな、と。
内容は・・・えーと。苦笑
ふとした瞬間に、自分の残像から内面的な自分がこっそり現れる。
それを見逃してはいけないし、もしそれに捕まってしまったら、
自分に向き合いもう一度見つめ直さなければならない、と言うのがコンセプト?
それと合わせて、姉妹を比較したり、サラリーマンと娼婦の登場などから、
人間関係の稀薄と、無駄に他人に頼らない自主性なども描かれている。
それで、その状況をはるか頭上からカメラのような視点で眺めると、
小さな自主性を保ちながら複雑にもつれ合い生息する人間が、
不意に思い悩んで塞ぎ込んだり、意欲を出して躍起になったりする様子が見える。
あの「ゆっくり歩いて、たくさん水を飲め」も結構比喩も何とも・・・。
地道に得る物を得ろ、って感じでしょうか?
うん、実に判りにくい。
何かいい解釈方法お待ちしています、なんて他人任せ。笑

*70

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» 「アフターダーク」 村上春樹著 講談社文庫 [Nobody knows]
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受信: 2006年10月 1日 (日) 23:00

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