« 「インストール」 綿矢りさ | トップページ | ■雑談:実はクラシック好き »

2006年8月31日 (木)

「平面いぬ。」 乙一

平面いぬ。 平面いぬ。

著者:乙一
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


久しぶりに乙一さん。
なんだか一気に読みすぎたので、これも結構前に読んでいて2度読み。
表題作よりも他の話の方が結構好きだったりする珍しい本。
ちょっと残酷で、でもしっかりほろりと感動する。
他の短編よりはどれもやや長め。

ではまずは「石ノ目」から。これって結構有名なんだろうか?代表作?
目を合わせるとその相手の人間を石にしてしまう石ノ目と言う女の伝説があった。
「わたし」はひょんなことから幼い頃に失踪した母親を探す事になり、
同僚Nと共にる山の中に入るが、Nが不慮の事故で怪我をしてしまう。
Nを負ぶったわたしが必死にたどり着いた先、そこは石ノ目が住む家だったと言う話。
まぁご存知の通り乙一さんですから、ラストはしっかり出し抜いてくれます。
でも寂しいですね、ずっと石ノ目だと言われ続け生きてきたのかと思うと、
心が痛むばかりではなく、来る人来る人に恐れられ生活するのは、
一体どんな思いがしただろう、と考えると乙一さんの文章の深さが伝わってくる。
家の周りに並ぶ石造の死体の山、想像するだけでもぞっとしますけど、
その分だけ人間の心の厭らしさが表れていますね。
人間はダメと言われれば言われるだけ実行したくなる動物です。
なんと学習能力が無いことやら、そんな事も実感できます。
最後にはしっかり心に残る物を置いてってくれる話です。

次は「BLUE」を。これが実は一番好き。
結構ドタバタ話ですけど、なかなか童話的で好きなんですよねぇ。
不思議な布で作られたしゃべる人形5体が一般家庭に潜り込む話。
美しい容姿を持つ4体は長女のジェニファーに、
切れ端の布で作られいじめられる醜い「BLUE」は、末っ子テッドの物になった。
ジェニファーはお嬢様気質で美しい容姿の4体を持て囃していたが、
テッドは玩具を壊す乱暴な子供だったため、醜い体が益々ボロボロになってゆく。
しかし最後一番大切にされていたのはBLUEだった、という話。
親の理解の無さ、兄弟の確執?、いじめ、
などたっぷりな要素がしっかり入っているのに、
童話として読めるくらい綺麗に纏まっていて感心する。
それと、人間的な目から見ると、ボロボロに汚れた玩具ほど、
よく遊んだなぁ、と後になって感慨深く思うわけで、そう言う反面もしっかり。
ぬいぐるみ、懐かしいな。なんて昔を思い出しながら読むのに最適。

*83

|

« 「インストール」 綿矢りさ | トップページ | ■雑談:実はクラシック好き »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/126354/3275275

この記事へのトラックバック一覧です: 「平面いぬ。」 乙一:

« 「インストール」 綿矢りさ | トップページ | ■雑談:実はクラシック好き »