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2006年8月 6日 (日)

「パン屋再襲撃」 村上春樹

2006080602 パン屋再襲撃

著者:村上春樹
販売元:文春文庫




あ、「風の歌を聴け」の感想を先に書けばよかったかな・・・?
まぁいいか。(いいのか?
こちらは春樹さん初期頃の短編集。
面白いですよ~色んな話に繋がってるんですよね~。
「風の歌を聴け」とか「ねじまき鳥クロニクル」とか「羊をめぐる冒険」
にリンクしてます。あと「ノルウェイの森」もかなぁ?
ワタナベ君って・・・まさか渡辺昇?まさかねぇ・・・。

一番この作品集の中で好きなのは、「ファミリー・アフェア」ですね。
表題作も良かったのですが、あえてこちらを。笑
自分の妹の婚約者がどうも気に入らないんだよね、って言う話です。(簡略すぎ
仲の良かった兄と妹が、妹の結婚を機に仲がギクシャクしてしまい、
自分以外の他人の事は関係の無いことだと断ち切ろうとする。
しかし、人間は1人では生きて行けるわけは無いし、
何らかの接点が必ずあるのだと再認識し、少なからずどこか妥協が必要だと言う話。
当たり前すぎるけど、考え始めるとドツボにはまっちゃうよね、みたいな。
春樹さんって結構兄弟が出てくる話ってないのですが、
この話ではかなりリアルな兄と妹の関係が描かれていて新鮮です。
そして他人として描かれていないためか、女の子が幾分現実味がある気がする。
なかなか兄弟でのやり取りがコミカルでいい感じです。

あともう一つ挙げると、やっぱり「象の消滅」かな。
こちらは題とおり、象が消滅してしまった話。
脱走や連れ出された訳ではなく「消滅」してしまった、
と言うような現実的に説明が付けられない事象を、
人間は目をつぶって、現実的な出来事に無理やり結び付けようとするよね、って話。
たまたま、その不可思議な状況を目撃してしまった僕もやはり、
説明しようと努力してみるけど、やっぱり実際上手く伝えられない。
確かに世の中には、こじつけがましい事が溢れていますよね、
そこを鋭く突いて、「あぁそうね、そう思うね」って感じです。
何かの枠組みの中にキチンと納まっていないといけないのだ、
と言う人間の本能のような統一的意識が見事に描かれています。
こんな事を物語りに出来ちゃう春樹さんが素敵。
でもちょっと平坦かな、象が消滅するだけだし。短編で正解。

そんな感じで。
「風の歌を聴け」→「1973年のピンボール」→「パン屋再襲撃」をお薦めします。

*85

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コメント

るいさん、こんばんは。
この本を読みました。
ファミリー・アフェアでの兄弟の会話(言葉遣い)は結構気に入りました。
でも全体的になんだかとても中途半端な話です…
少しフラストレーションが溜まりそうな感じ。
でもまた村上春樹の作品を読んでみようと思います。
気に入る作品に出会えるといいけど!

投稿: fumika | 2007年9月19日 (水) 21:25

>fumikaさん

こんにちわ~コメントどうもありがとうございます^^*

春樹さんをお読みなられたのですねぇ。
短編集の中ではこの本は、私はなかなか好きな方です。
うーん、確かに春樹さんはある頂点を維持しつつ、
最終的に沈静化させないで終結させる傾向があります。
長編もしかり。「え、だからどうなったのさ」
とツッコミを入れたくなるかもしれません。
しかし、見ていただきたいのは、曖昧な終結部分ではなく、
人間の内面のぐちゃぐちゃした真理を、巧に文章化している点です。
まぁその理解の度合いと言うか、好みによって、
(帰結に重点をおくか、描写の構造に目を向けるかなど)
春樹さんをすきかどうかは、ぱっくり分かれるところなんですが。

そうですねぇ、癖がないのは、(前もお伝えしたかも?ですが)
「東京奇譚集」や「羊をめぐる冒険」あたりかと…。
「ノルウェイの森」「世界の終わりと~」を好きになれれば、
ほとんど読めると思います。ちなみに私はどちらも好きなのです。
気に入る作品に出会えるといいですね!

投稿: るい | 2007年9月21日 (金) 10:51

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