« 「夜明けのブギーポップ」 上遠野浩平 | トップページ | 「返事はいらない」 宮部みゆき »

2006年8月17日 (木)

「陽気なギャングが地球を回す」 伊坂幸太郎

陽気なギャングが地球を回す 陽気なギャングが地球を回す

著者:伊坂 幸太郎
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


ギャング!
まさしくこんな話に打ってつけの語り口だったのね、伊坂さん。と感嘆。
そうだよねぇ、あの真剣な時に不意にコケる面白さ、
その才能がより引き立ってしっくりくる作品になってます。
面白い、最後までノンストップで読みたい作品の上位を占める。

それぞれ奇異な特技を持つ男女4人の銀行強盗の話。
嘘を見破る男・成瀬に、演説大好き男・響野と、スリ男・久遠。
そこに体内で時間を正確に刻む女・雪子が加わって絶妙な強盗団が完成する。
ある日4人が強盗した大金が、接触事故を起こした別の強盗犯に奪取されてしまう。
偶然と思われていたその事故は、実は巧妙に仕組まれた物であり、
金を奪った強盗団を追い詰めるが、
実はその事件に雪子が手を貸していたと言う展開に。
複雑に絡み合う2つの強盗団の強盗の顛末を、成瀬の思考能力をメインに
陽気な脇役をたっぷり従えて面白楽しく描かれている。
最高だ、伊坂さん。
このギャング、と言う妙に新しいような、あるいは80年代を形容するような
陽気なキャラクターの大胆な行動や滑稽なセリフがしっかりフィット。
性格のてんで違う4人の賑やかな会話が面白い。
4人ともこんなに個性が強いのに、よく衝突せずに、
攻撃を上手く避け交わすような快走感がたっぷりある。
やはり見所は、「裏の裏を書く」ところかな、と。
いや、でも結末の予想はかなりつくのですが、
「あぁやっぱりね」と思いつつも目が離せない軽快さが見もの。
リズミカルなセリフとストーリーの転がり、この上ないです。
こんなにコメディ重視(サスペンスって書いてあるけど・・・)なのに、
自閉症の子供が出てきたりとか、いじめだったり、
そう言う現実的でかつ、現代の素朴な悩みをしっかり盛り込んでいるし、
人の本質的な弱さはどう頑張ってもよくならない、と言う無念さも然り。
本文で、4人が知り合ったきっかけ話みたいなのがさらりと出てくるのですが、
こんなに構成がしっかりしているもんだから、
それだけの話でもう1冊出来るよ、もったいない!なんて思ってしまった。笑
全体的にはあまりにリズミカルに展開していくので、掴み所が無い。
いい意味で、ギャング的。そんな話。
「オーデュボン」や「重力ピエロ」とは違った伊坂さんを是非。

そうそう、映画になってましたよね。
これもみてないんですよねぇ・・・観たかった。涙
主演4人は配役バッチリだと思います。
私的に久遠の松田次男が好きだったりします。
大沢さんもはまり役だなぁ。

■映画公式サイト
http://www.yo-gang.com/

*95

|

« 「夜明けのブギーポップ」 上遠野浩平 | トップページ | 「返事はいらない」 宮部みゆき »

コメント

 こんばんは♪
 読みましたよ☆
 TBさせていただきました。

 痛快、痛快!
 最後まで痛快!
 あっというまに読んでしまいました。

 映画も観てみたいです。

投稿: miyukichi | 2007年1月19日 (金) 22:46

>miyukichiさん

こんばんわ!
TB&コメントどうもありがとうございます^^*

読まれましたか~!!
陽気なギャングは本当痛快ですよね~^^*
私は「重力ピエロ」→「陽気なギャング~」でいっそう好きになりました。
なんて言うか、あのテンポのよさがいいのでしょうね。
つかみどころが無い楽しさが、ギャングにはぴったりですね。

映画・・・うーん、率先してお薦めはしません(笑)
キャラクターはかなりいい感じなのですけれども、
話が・・「?」で。
でも多分映画としてだけなら楽しいかも、そんな感じです。

「アヒルと鴨~」の映画も楽しみですね^^*
後ほどTBにお邪魔しますね!

投稿: るい | 2007年1月21日 (日) 00:57

面白かったです!
最後の最後・・もう今回の強盗は失敗したんだ・・!と思ったら実は・・という予想外の展開にほっとしつつ、本当に最後まで気が抜けない一冊でした(笑)

「アヒルと鴨の~」も読んでみる気になりました。

お貸し頂けて嬉しかったです。
こんな素敵な本に出合えて!
ありがとうございます^^

投稿: すきま風 | 2007年6月 4日 (月) 22:45

>すきま風さん

こんにちわ、コメントどうもありがとうございます^^*

好評だったようで、こちらとしても凄く嬉しいです☆
ふふふ~これで伊坂さんデビューですね!
私も初めて伊坂さんを読んだ時の衝撃と言ったらなかったですね。
本離れしつつあった私をぐぐっと引き寄せてくれました。
是非とも、他の作品も読んでみてくださいね。
手元にあるものでしたらお貸ししますので。

私も今「アヒルと鴨のコインロッカー」読み始めました。
図書館の本が溜まっているのに、読み始めたら止まらなくなってしまった。
読みながら思ったけれども、読んでから映画観た方がいいかもな、
と思い直しました。面白さとか、増えるんじゃないかって。

いえいえ、こちらこそ色々発掘させて頂いてます。
今「リリィシュシュ」んおDVD買おうかな、とか思ってますから。笑
ちょっとした時に観たくなる。
「シックスセンス」とかもその部類何ですけれども、
辛いのに観ると癒されるのです、何だか妙な話ですが。
あと、森見さんも!「走れメロス」図書館で予約しました。

これからも色々探しましょう♪いいのがあったらまたお薦めしますね☆

投稿: るい | 2007年6月 5日 (火) 09:43

アヒルと鴨~は買っちゃおうかな・・と思い始めました。
原作読んでから・・と思って見逃した「幸福な食卓」のようにならないように今回は絶対観ます!笑

「リリィ~」はまっちゃいましたね!
相当落ち込んでいる時とかに私は観て余韻に浸るのですが、最近観てないな。
もう何度も観たんですけど。

他にお薦めで「リンダリンダリンダ」という映画があるんですが(女子高生がブルーハーツをやるという)るいさんはお好きじゃないですかね?こういうの。
高校生がバンドをやるっていう話だけで観ようと決断したくらいでしたけど。

あと、岩井俊二さんプロデュース・桜井亜美脚本?の「虹の女神」も泣けます。
宜しかったらお貸ししますよ!^^

投稿: すきま風 | 2007年6月 5日 (火) 10:36

>すきま風さん

こんにちわ!コメントどうもありがとうございます。
どうにも敬語が外れませんよ、どうしましょう。
ちょっと気をつけて打ってみようかな(笑)

「アヒルと鴨」は買っても良いかと思うよ~最近文庫も出たし。
一度読んでボブ・ディランをまったり味わってみるといいかもしれない。
個人的には最高傑作……ではない気がするけど、
伊坂さん作品の中ではなかなか好きな作品です。
「幸福な食卓」懐かしい、あれも瀬尾さんのふんわりした感じが出ていて、
いい感じだったと思う。主人公の北乃きいちゃんがとりあえず可愛かった。
しんみり、でも心温まりたい時に良いと思います。
見逃すのは辛いよ、私も最近は迷ったら観る事にしている。
悔やむのやだしなぁ、と思いつつ。

やっぱり何度も観ちゃう映画ってあるよねぇ。
私は何度も出すけど「シックスセンス」と「ビッグフィッシュ」
この二つは本当外せないと思う。あとたまに「戦場のピアニスト」とかも、
観たくなったりする。結構グロいんだけど、
やっぱりあのピアノを惹きたくて仕方がない様子とか、たまらなくなる。
邦画でもそういうの見つけられればいいのですが(リリィもいいけども)、
なかなかなくて、悲しい。邦画の方が観ている量絶対多いのに。

「リンダリンダリンダ」観てみたい!
さっきアマゾン覗いてきたら、かなり好評な感じで、
あらすじを読んだらますます観てみたくなりました。
やっぱり音楽ものはいいと思う。
「スイングガールズ」もどれだけ観よう観ようと思ったことか、
見逃しちゃったクチです。確か弟が観たって言っていたような。
うちの弟もブラバンやっていて音楽が好きなので、
大抵音楽ものの映画は観ているようで。
正月は「敬愛なるベートーヴェン」を一緒にそう言えば観ました。

>あと、岩井俊二さんプロデュース・桜井亜美脚本?の「虹の女神」も泣けます。

あの、上野樹里のですね。へぇあの桜井さんだったのか!
私のだめを見てから、上野樹里がどうも苦手なのですが、大丈夫かな。
でも市原君を見たい(笑)こちらも後ほど貸してもらえると嬉しいです。

思い返せば借りっぱなしで申し訳ない>△<;
今夜「花とアリス」を見る予定です♪楽しみ。
あとそろそろ「嘘つき。」読み終わりそう。
長編の合間にちょこちょこ読んでいたら、もう残り僅かで。
アンソロジーだからか、妙に進むのが速い気がした。
それにしても十人十色だな、と。豊島さんの話結構残酷……、
とか思っちゃったのですが、どうでしょう(苦笑)
読み終わったものは、乙一さんの会でお返ししますね。

なんか、途中から敬語のこと忘れていました。
ました、とかいって全然直ってないし(笑)
まぁぼちぼちに減らしていきましょ、ということで。

投稿: るい | 2007年6月 6日 (水) 15:49

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/126354/3103017

この記事へのトラックバック一覧です: 「陽気なギャングが地球を回す」 伊坂幸太郎:

» 陽気なギャングが地球を回す [miyukichin’mu*me*mo*]
 伊坂幸太郎:著 『陽気なギャングが地球を回す』    これまた約5ヵ月の予約待ち。{/face_hekomu/}  根強い伊坂さん人気に加えて、  同名で映画化されたってこともあるんでしょうね。  なわけで、ひさびさの伊坂さん。{/hikari_blue/}  これまでの「軽快」を通り越して(?)、   とことん「痛快」な1冊でした。{/face_nika/}  嘘を見抜く名人、成瀬。  演説の達人、響野。  �... [続きを読む]

受信: 2007年1月19日 (金) 22:44

» 陽気なギャングが地球を回す [本を読もう]
成瀬(リーダー)は人間嘘発見器、さらに天才スリ&演説の達人、精確無比な体内時計の持ち主――彼らは百発百中の銀行強盗(その他ゲスト?あり)だった……はずが、その日の仕事(ヤマ)に思わぬ誤算が。 ほかの作品でもそうですが、設定が突飛あ場合、その設定に負けてしまう作品があるのですが、伊坂さんには、それがまったく無いところがすごいですね。 「まるで映画を見ているよう 」 ... [続きを読む]

受信: 2007年3月25日 (日) 08:44

« 「夜明けのブギーポップ」 上遠野浩平 | トップページ | 「返事はいらない」 宮部みゆき »