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2006年8月18日 (金)

「返事はいらない」 宮部みゆき

返事はいらない 返事はいらない

著者:宮部 みゆき
販売元:新潮社
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宮部さん短編集。
目次すら見ずにブックoffで買ったので、読みはじめまで短編集だと気づかなかった。
超大作も好きだけど、中途半端は長編よりは短編集のが好きな傾向がある。
でも・・・何となくパターン化している気もしてならないのですが、
それはまぁご愛嬌でしょうか。それじゃ済まされない?
宮部さんは時代物もかなりいいですけどね、まぁそれは後ほど。

一番良かったのは表題作「返事はいらない」かな。
失恋した女が、とある偶然から偽装誘拐事件を手伝う事になり、
身代金受け渡しの時に、振った男の銀行口座を利用する話。
偽造カードと偽造パスワードを利用し、元彼氏の口座を使うが、
偽造パスワードには適当に自分の誕生日4077にする事にした。
しかし実は彼の口座の本当のパスワードも4077である事が発覚し
主人公の中に残る未練がましい気持ちと、切なさが入り混じっている。
いつもながら取って付けた様な犯罪動機で「え、こんな理由で?」
とちょっといぶかしむけど、進んでいくうちになるほどね、と納得する。
でも心理描写に若干怒りの度合いが弱い気がする。
最後に「私の誕生日なんて忘れているだろうな」と思っていたのに、
実は彼は自分の誕生日のパスワードを使用していた、
と判った時凄く切なくやり切れない気持ちになる。
宮部さん、この最後にふと心温まる文章を書くのが上手い。

もう一個挙げておくと、「言わずにおいて」。
部長の扱いに嫌気が差したOLが暴言を吐き辞職を決意する。
くよくよ悩みながら夜中の川原を歩いていると、車の衝突事故を目撃するが、
衝突寸前に「あいつだ!やっと見つけた」と声を掛けられる。
結局事故を起こした車は大破し乗っていた2人は死亡する。
そこでそのOLは「なんで”あいつだ”なんて言われるんだろう」と悩み、
事故を起こした夫婦の身辺を自ら捜査し始める話。
これもねぇ・・・「こんな突飛な事件にそうそう巻き込まれないよ」
とか思ってしまうのを頑張って堪えないといけない。苦笑
でもOLの堪忍袋の緒が切れるところや、事故の様子は現実的。
なんて言うかその後のOLが事件に首を突っ込む過程のリアリティが欠ける気が;
最後の「部長と仲良くやるんだよ」的な手紙がなかなかいい感じです。
やっぱり最後にほんのり温まる系が上手い。

うーん。オタンコナスとか速記とかちょっと昭和の香りがする。笑
私は時代小説の短編集のが好きです。

*79

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