素直に再読したい気持ちは90%位あったのですが、
残りの10%は前の感想文があまりに馬鹿っぽかったからです(苦笑)
伊坂さんに失礼だ、って事で気合を入れて書き直そうと思いましたが、
この話って案外まとめにくいよ、と今更途中でサジを投げそうです。
まぁ、「この本は凄いよ」ってそれが伝われば、これ私の本望なので。
今回は単行本で読みました。ちなみに過去記事は下の方に・・・。
28年前に起きた連続強姦魔事件。
その被害者のうちの一人が私の母親で、その時出来た子供が弟・春だった。
父親と血を分けていない春は、外見が似ているはずもなく、
また両親や私の持ち得なかった絵画の才能にも恵まれている。
そんな自分と家族との差に気づき始めてから、春は必要に「性」を憎んでいた。
どうしたら犯してしまった人間の汚らわしい性を納得できるのだろうか。
どうしたら纏わりつく邪悪な遺伝子を拭い去ることが出来るだろうか。
私がそう考えている頃、奇妙な連続放火事件が発生した。
あらすじ・・・自分でも何かいてるかわかりませんけど、まぁいいや。
あんまり突っ込むとネタバレになるから、と言いつつ、今から濃いの書きますが;
やっぱりこの本で感じるのは「家族愛」ですね。
春は、私にとってはやはり二階から落ち来るような存在で、
でも、今では春がいることに感謝していて、後悔はしていない。
強姦魔に襲われ母が妊娠した時、父が「生もう」と言った決断が、
果たして正しかったのか、そんな事は判らないけど、今幸せならそれでいい。
しかし、やはり考えてはしまうもので、突き詰めてしまえば、春には、
半分は母の遺伝子が、そしてもう半分には強姦魔の遺伝子が組み込まれている。
自分たちの幸せを蝕むその忌まわしい遺伝子を、拭い去る・・・
そんな事は無理なのだけれど、それでもやれる事ってあるじゃない?、と。
それに、遺伝子が何だって言うんだよ!って言う春の爽快さも痛快だった。
でも、一番心に響くのはやはり父親の言葉だったと思う。
春が父に似ていない自分に気づいて、そして遺伝子を気にしていることも、
泉水がそんな春に気にかけて思い悩んでいる事も、皆お見通しで、
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」と言う一言に全てが詰まっているのだ。
冷静に読み直してみれば、結構伊坂さんは核心を説明するタイプだと思う。
いや、勿論それが悪いといっているわけではなくて、
むしろ「ここんとこ一番わかって欲しいのよ」と訴えかけられて納得する。
そして「本当に深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」という、
あの通例のコンセプトも、あぁここ原点なのね、と思うと感慨深い。
確かに、この話ユーモアなく素直に読むと、かなり重い代物。
それを陽気に、それでいて言いたい事を確実に伝えられるのが、
やはり伊坂さんの持ち味で才能で、私がこんなに夢中になる要因でもある。
シュールなのに現実的に、深刻なのに陽気に、どうぞ皆様も伊坂ワールドへ。
*96
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*過去の感想文(2006/7/30)
初伊坂さん。この作家は今後伸びるだろうな、と確信。
伊坂さん、凄い。
ユーモアセンスにただただ感嘆する。
久しぶりの私的ヒット作家です。これからもたくさん読もう。
単刀直入に言うと、遺伝子と放火の話。
遺伝子の会社に勤める私と、母が強姦魔に襲われて出来た弟・春が、
それぞれ内密に別の方法で強姦魔を殺そうとする。
そこに家族の温かさと、井坂さんのユーモラスな文章が加わり、
この上ない深みと切なさ・感動が溢れている。
「春が二階から落ちてきた」
この書き出しがとても好き。そして文末のこの文も好き。
私にとって春は二階から突然落ちてくるような、ふわりとした存在だった。
事実を知った私は、きっと随分前からその事を考えていたのだろうと思う。
さり気無い母の行動であったりだとか、自分とは違う能力を持った春を。
一般的に言う「家族」が例え遺伝子的な繋がりを持っていなかったとしても、
自分たちは「家族」であって、2人の兄弟は「最強」であると思っている、
と言う春の姿を眺める私の心情がとても素敵でした。
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
と言う父親の言葉に思わず泣いてしまった。
いくら隠していても、「親」である父親は、春のやった事をお見通しなんだよ、
って言うあの表情が伝わってくるようで、じーんときました。
それと、「俺には兄貴がいないとダメなんだ」と言う春の素直さも。
この2人は血の繋がった兄弟以上に兄弟なのだなと思った。
この話に過去の回想場面が結構出てくるのですが、
それが今の状況を裏付ける、と言うような形で完璧にリンクしている。
もはや文章に無駄な物は何も無い、といった感じ。
そして言葉を失うほどのユーモアセンス。
ビックリしました、こんなシュールな話なのに面白いなんて。
「深刻なことは陽気に伝えるべきなんだよ」って言う春の言葉とおりです。
会話であったり文章中であったり、取りあえず何かしらボケがある。
セリフだけが続く場面も、リズミカルで違和感が何も無い。
完璧だ、伊坂さん。
是非読んだ方がいいです。
私も次はラッシュライフでも読もうかな、と。
★★★★★*96
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