2010年4月20日 (火)

「ZOO 2」 乙一

ZOO〈2〉 (集英社文庫) ZOO〈2〉 (集英社文庫)

著者:乙一
販売元:集英社
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続きまして、乙一。久しぶりに読むと、本当にいい感情を持てる。
好きな作家だ、と言ってその作家ばかり読み続けると、わたしの場合、
絶対に飽きてしまう上に、マンネリを敏感に感じ取ってしまうため
(まぁその部分が個性とも言うが)時おり手に取るのが言いなと思う。

「Closet」
ミキは夫の弟であるリュウジに、部屋に来るようにと言われた。
部屋は散らかっており、片隅に大きなクローゼットが置かれている。
リュウジはミキが予想していた通り、ミキが犯した事故の
話しを持ち出した。ミキはその昔友人と車を運転していたところ、
飛び出してきた中学生の自転車をひっかけて、転ばせてしまった。
そして、あとになりその中学生が亡くなったことがわかったのだった。
弱みを握ったリュウジは、ミキに取り込もうとする。
しかしミキが一度部屋を出、再び戻ってくると、リュウジは
ソファの上で殺されていたのだった。ミキは自分が犯人だと疑われる
ことを恐れて、リュウジの死体をクローゼットの中に隠すのだが……。

乙一はカテゴリ分け不能、と言われているが、限りなくミステリ寄り、
であることは確かである。それ以前に、「狂気」カテゴリ、や、
「猟奇的」カテゴリがあるなら、まず最初にそちらに該当するだろう
けれども。さておき、内容はというと、この「Closet」が『ZOO』
の中では一番ミステリっぽい雰囲気である。最後の犯人がびっくり!系。
特にこの『ZOO』では猟奇的な味を全面に押し出しているけれど、
どちらかというと乙一の本領は、このびっくり!である。
「Closet」はそのびっくり!の中でも、かなり完成度の高い秀作だと思う。
ネタバレをしてしまうと、語り手が犯人形式。デビュー作である
『夏と花火と~』の「死体が主人公形式」を彷彿とさせる、
とんだ設定。頭の堅いミステリ畑の方々には非難轟々そうだが、
間違いなく新しい領域に踏み込んでいる、という感覚を得られる。
しかし、ミステリとなると、このスカスカした感じ(ライトノベル
だから、仕方ないのだが)あともうちょっと、と感じてしまうあたりが、
惜しい感じもするし、書き込みすぎるとライトノベルではなくなるし、
という中間地点にいるため、ミステリ好きとしては絶賛までに至らない。
だが新領域開拓には、伊坂幸太郎と並んで、成功した作家だと思う。
収められている他の作品は、『ZOO 1』と同じく、笑顔で狂気、満載。
「血液を探せ!」とか、本当に笑ってしまう。けれども、ふと我に
返り、笑ったその内容を冷静に見てみると、とても残酷なのである。
血を流し今にも死にそうな人を前に、指をさして大笑いする、この感覚。
笑いと残酷さ、それから悲しみと狂気のミスマッチの威力には、
いつも脱帽である。とりあえず「ライトノベルなんでしょ?」とか
ぶつぶつ言っていないで、一度は読んでみる価値のある本である。

★★★★☆*87

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2010年4月18日 (日)

「ZOO 1」 乙一

ZOO〈1〉 (集英社文庫) ZOO〈1〉 (集英社文庫)

著者:乙一
販売元:集英社
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なんかだ今さら感満載なんですが、この本の感想を書いていません
でした。なんてことでしょう。『ZOO 1』と『ZOO 2』は、その昔
わたしが初めて読んだ乙一作品です。その衝撃と言ったらありません。
買った本屋(某くまざわ書店)の陳列状況すら覚えているくらいです。

「カザリとヨーコ」
ママがわたしを殺すとしたらどのような方法で殺すだろうか。
たとえばいつものように頭を殴ったり、首をしめるのだろうか。
いや、それよりも自殺に見せかけるためマンションから突き落とす
のかもしれない。きっとそうに違いない。わたしとカザリは
一卵性双生児だったが、幼いころから、ママはカザリだけを可愛がった。
わたしはいつもカザリの食べ残しのごはんをもらい生き延びてきたし、
眠る場所はキッチンのゴミ箱の隣に置かれた、座布団の上だった。
ある日事件が起きた。カザリがママの大事なノートパソコンを
壊してしまったのだ。それを目撃したわたしは、カザリを口説き、
怒られる前に服装を交換て入れ替わろうと提案するのだが……。

狂っている。それが、一番初めこの本を手にした時に走った衝撃だった。
この本は短編集だが、一話目にくるのはこの「カザリとヨーコ」だ。
本を開き、一行目に目に入る文章が、
「ママがわたしを殺すとしたらどのような方法で殺すだろうか。」
キャッチーにも程があると思う、狂った吸引力。物語は進み、
母親にいじめ抜かれている主人公は、さらに救いようがない
残忍さで痛めつけられ始める。読んでいるこちらは顔をしかめ、
気分が悪くなるほどだ。しかし、主人公は至ってポジティブ。
馬鹿なんじゃないか、と思えるほど打たれ強く、何をしても笑うんじゃ
ないか、と思える恐ろしさ。楽しげに進んでゆく描写の合間に、
狂気と狂喜が入り乱れているような、それでいて読者に冷静な残虐さを
迫ってくる恐ろしさを感じた。おまけにその次はバラバラ死体が流れる
監禁部屋に閉じ込められる「SEVEN ROOMS」。もう残酷さを超えている。
しかし、乙一の恐ろしさは、この部分ではない。この本の中には
「陽だまりの詩」や「SO-far」という話が入っているのだが、
これらは驚くほど優しい物語である。人造人間が人間の心を得てしまい、
悲しみを嘆く、という儚さ。あるいは、両親が見えなくなってしまう、
少年の優しい感情が描かれている。穏やかで優しげな時間の流れる
この物語は、とても心に響く。だが、そこでふとあの残酷さを思い出す
のだ。そう、あの極められた残酷さは、ここから来ているのである。
だって、人の優しい部分や、悲しい部分、傷ついたら痛い部分を、
すべて知っている、だから、まるで人をナイフで一突きし殺すよりも、
指先から徐々に切断して殺す方が残忍だと見せつけるような、
歪んだ思考を作ることが出来るのである。乙一はなぜこのような
残忍な話を描くのか? それは人が日常で、考えないよう考えないよう
過ごしている思考だから。ヒトラーはどうして人を殺したのか?
そのような衝撃的な事実も、この本を読むと少し理解できる気がする。
ライトノベルで味わえるこの上ない極上の残忍さだと思う。
それが「楽しいか」、というのは、また別の話だけど。

★★★★☆*88

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2008年1月23日 (水)

「死者のための音楽」 山白朝子

山白朝子短篇集 死者のための音楽 (幽ブックス) 山白朝子短篇集 死者のための音楽 (幽ブックス)

著者:山白 朝子
販売元:メディアファクトリー
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これはとある大物作家が偽名でデビューしたらしい…との噂。
え?誰かって?気になる方は、この本がどのカテゴリーに入っているか、
どうぞ確認してくださいませ。……というか、何で名前を変える必要が
あったのだろうか。そもそも本当にこの人なのか?

「井戸を下りる」
私の父は、高利貸しをしていて、相当なあこぎなこともやっていた。
幼い時私が仲の良かった少女もまた、父の手によって
両親を失い、オマケに奉公に売られていった。
そんな父の血を受け継いだのか、賭博にのめり込んだ私は、
父のお気に入りのツボを質に入れ、賭博の費用にした。
しかし早速ばれてしまい激昂を買ったので、私は家を逃げ出した。
家の者に追われ、逃げついた先は、古井戸の前だった。
ここならばれまい、と私は井戸を下りる。井戸の中には美しい女がいた。

なんだか結構まわりで賞賛されているようですが、
私はそうでもないような気がしました。
そもそもの話、この話は「幽」という、お化けとか怪談とか、
そう言ったものが載っている雑誌に連載していたらしいですが、
私はそれを知らずに読みました。(作者が誰かは噂で聞いていましたが)
おまけに図書館で借りたので、「宣伝オビ」が付いていません。
その状態でこの本を読むと、どのへんが「怪談(?)」なのか、
納得できない気分になった、と言うのが一言目の感想でした。
怪談って言うと、あの「おどろおどろしい」感じとか、
背筋がゾクッとするような感じとか、その辺を思い浮かべませんか?
これはそんな要素はないといっても過言ではないです。
確かにちょっと変わった話、でそう言った意味での面白さはありました。
でも、文章自体に「怪談」などの要素がきちんと描かれていないのは、
連載している雑誌がすでに怪談関係と決まっているので、
それを好きな人が読んでいるとか、
この話を怪談と思って読んでくれるだろうとか、
そんな怠慢をしたような雰囲気が漂っている感じがしたのでした。
これだけを読むと、ただの変わった話の短編集。
こんな事なら「石ノ目」とかの方が、断然「怪談」的な感じがしましたが、
みなさんはどうでしょうか…。
最近「銃とチョコレート」と言い、新作がふるわないような…
と思わなくもない。

★★★☆☆*83

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2007年7月 6日 (金)

「銃とチョコレート」 乙一

銃とチョコレート (ミステリーランド) 銃とチョコレート (ミステリーランド)

著者:乙一
販売元:講談社
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一番初めに感じたのは、ほぼ漢字が平仮名になっているため、
妙に躓き、読みづらい。児童書だから仕方がないと言えばそうだけど。
雰囲気は出ていましたね、ちょっと西洋風な感じに浸れました。
まぁ中途半端なライトの「失踪HOLIDAY」よりは私は好きかなぁ。

少年リンツは貧民街に住んでいた。
街は寂れつつあり、暴力沙汰や物乞いが横行している。
そんな中、富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が続発した。
音もなく参上し、宝を奪って赤いカードを残して去ってゆく怪盗ゴディバ。
その怪盗を捕まえようとする探偵ロイズは皆のヒーローだった。
国中の人々が彼に一目会いたいと躍起になっている。
そしてリンツは怪盗の重要な手がかりを手に入れた。
果たして怪盗ゴディバを捕まえる事が出来るのか……?

今まで何度も乙一さんの長編には文句を言っていましたが、
この本は最後まで止まらずに読むことが出来ました。
ただ一つ思うのは、漢字変換をもう少し増やして欲しかったかな。
読めたけど、面白いかといわれると、うーん……という感じです。
平仮名にして、いかにも児童書向けになっているのに、
血まみれになったり、やたら銃をぶっ放したり、と極悪極まりない。
教育上よくないなぁとちょっと思いながら読んでいました。
むしろ大人向けにしてみたらどうなんだろうと。
内容はと言うと、何でもあり。
怪盗を追う名探偵と、その助手。その雰囲気は、
読み手をわくわくさせる典型的パターンですが、
中盤までは乙一さんの力量でぐんぐん楽しく読めます。
しかしひょんな事から、「名探偵が悪者でした!」という妙な展開になり、
突如話が複雑化して、善悪の判断が怪しくなってくる。
一体何が言いたいのか不明瞭。善人を信じるな、と言うところだろうか。
結局のところ、言いたかったのは父親が怪盗であり、
それは慈善事業のためだった、ということなのに、
その前の部分で散々な目に会い過ぎて、何だか疲れてしまい感動しない。
一番どうしようもないな、と思ったのは、主人公が探偵に裏切られ、
その探偵がこれまた助手に裏切られるところ。この国の人の設定は、
どこまで根性が腐っているだ?と思わなくもない。
「一見悪人に見えるが、そうではない」という設定ならともかく、
善意で渡された(ように見える)パンを、平気で捨てる探偵ロイズ。
君は何がしたいんだ?とちょっと疑問を浮かべながら、
子供だったらこんな展開を楽しむ事ができるのだろうか?と思ったりした。
そして挿絵が怖かった。うーんお薦めはしない。

★★★☆☆*79

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2007年4月15日 (日)

「小生物語」 乙一

小生物語 小生物語

著者:乙一
販売元:幻冬舎
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あとがきの方が面白い、なんて事もある乙一さんの、Web日記を単行本化。
今回はその単行本を文庫化したものです。
裏切らない、面白さ。裏切らない、マニアックさ。
難点は「どこまでが本当か分からない」ただそれだけ。

日記なので、あらすじは省略しますが・・・。
2003~2004年の日記です、デビューしたて頃でしょうか?
約一年分の日記がつらつら描かれています。

思わず、むふふと含み笑いをしたくなる内容満載。
ゲームキューブを鈍器として人を殴ってみたい気分になります。
途中からギャグがヒートアップ&ワンパターンになりちょっと残念ですが、
読んでいると、あぁこの時乙一さんはこの本を書いていたのか、とか、
没になった本の話とか、サイン会の話とか、
色々書いてあり、ファンとしてはとても嬉しい限り。
ソファにいついた「青」も出てきます。
低姿勢で自分を蔑み続ける乙一さんの態度に笑え、大満足。
まぁこれは読んでみたら、としか言えませんが。
面白さはあとがきと変わらず、しっかりたっぷり。

★★★☆☆*85

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2007年3月15日 (木)

「さみしさの周波数」 乙一

さみしさの周波数 さみしさの周波数

著者:乙一
販売元:角川書店
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乙一さんも残り少なくなってきてしまいましたが、
やっぱり読みたさには勝てなくて読んでしまいました。
とは言っても、「失はれる物語」に入っていたものもあったので、
新しく読んだのは2編しかなかったのですけども。
「さみしさの周波数」って言う題の話があるのかと思っていたので、少し残念。
そしてあとがきの方が面白いという難点も然り。

「フィルムの中の少女」
唯一の趣味であった映画に携わろうと、
大学生になった私は映画研究会に入ることにした。
監督や役者でなくてもいい、映画が作られる様子を見ているだけで満足だった。
しかしある日、一人部室へやっ来た私は奇妙な一本のフィルムをみつけてしまう。
言いようの無い強烈な興味を引かれ、映写機で映し始めると、
そこにはいるはずの無い少女の後姿が映っていた。
気になりもう一度再生すると、少女が少しだけこちらに体を向けた気がする。

こわ~い!と思って読んでいたのですが、結局そうでもなかった・・・。
そうだよな、スニーカー文庫だし。
とちょっと残念な気もしましたが、この薄暗い怖さは、
久々に乙一さんを味わったという満足感を得ました。
あとがきによると乙一さんは大変苦戦したらしい、
切羽詰った作品のようですが、これはこれで個人的に好きでした。
やっぱりねぇ、いいんですよこの怖さの源である乙一さんの語り口。
淡々と続けているだけの怪談話なのに、いつの間にか
周りを気にするほど話に引きこまれ、必死にいるはずのない少女を怖がりました。
だってだんだんこっち向いてくるんですよ?怖いじゃないですか!
そんな発想と言うか、人間が恐れるポイントを上手く突いてくれるんですよね。
しかしながら、最後は猟奇的で終わってほしいよなぁと言うのが、
黒乙一ファンとしての一言です。
最後の犯人が先生でした、って言うのを途中からずっと期待していたのですが、
なんだ~残念、と言う感じで怖ろしいながらも心温まる話でした。
それはそれでいいのですけども。
個人的には「失はれる物語」が好きですね。

★★★☆☆*80

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2007年2月24日 (土)

「暗いところで待ち合わせ」 乙一

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久しぶりの乙一さんでした~ちょっと手に取ったら一気読み。
初めに一言言うのであれば、「こんなにいい話なら早く読んでおくんだった」
に尽きます。いや、本当に、個人的には「GOTH」に次ぐ、
「ZOO」と同率2位をしめようとしています。
田中れな主演で映画もやっていて(観てないですが)、雰囲気が合っています。
何だよ、乙一さんこんな泣けちゃう小説も書けるんじゃないですか・・・!
と、言うか表紙の怖い写真止めた方がいいと思います、本当に、マジで(笑)

ミチルは視力を失い、そして頼りにしていた父さえも失った。
残った家にはミチルと、彼女を取り巻く闇。
誰もいない家に一人で横になり目を瞑ると、光の無い暗い闇の世界で、
どうせ自分はこのまま死んでゆくのだ、と思っていた。
いつも聞こえるのは家の傍を通る電車の音だけ。
しかし、誰もいるはずのない家の中で、妙な違和感を覚えた。
衣擦れの音がしたり、食器が鳴ったりするのだ。
そんな時、ミチルは駅で起きた殺人事件の犯人が逃走中だと知る。

未だかつて、乙一さんのお話でこんなに幸せを呼ぶ「ビックリ」はあったろうか。
いや、この本を私が読んでいなかっただけなんだけれども。
目の見えない女性の家に潜り込む殺人犯。
無音の中に始まる奇妙な共同生活が、とても不安定でヒヤヒヤさせた。
目の見えないミチルは、自分がこの家を出る事によって掛けてしまう、
他人への迷惑を必要以上に考え、誰もいない闇の世界に染まろうとする。
対する殺人犯アキヒロは、極度に悲観的にしか物事を見れず、
孤独を愛し人を蔑み続けると言う、病んだ心を持ち合わせている。
お互いに世の中を絶望視する傾向があり、人から離れ自分を守ろうとする。
しかし、当然のことながら、人は一人で生きてゆけるはずも無く、
人が人と出会う事を避け続けると言う事は当然無理なのだ。
そんな事をより鮮明に教えてくれるのは、言葉でもなく、態度でもなく、
目に見えないところで伝わる他人の優しさである。
2人が作る、音の無い世界には、
実はたくさんの人を思いやる気持ちと、たくさんの優しさが詰まっていた。
それに気が付いて、2人が詰めようろうとした瞬間、
立ちはだかるのは、「殺人を犯した」と言う壁。
でも大丈夫、そこんとこは乙一さんなんだからどうにかしてくれるって!
と大船に乗ったつもりでページを進めて下さい。
ここは是非読んでから味わっていただきたい。
悔しいですが、乙一さんなのに私は思わず泣いてしまいましたからね(笑)

映画もあとでDVDででも観てみようと思います。

★★★★★*95

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2006年11月18日 (土)

「暗黒童話」 乙一

暗黒童話 暗黒童話

著者:乙一
販売元:集英社
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クドイ。長い。グロイ・・・・そんな感じです。苦笑
あぁやっぱり乙一さん、短い方が向いてますわ。断言します。
折角設定面白いのになぁ、でもタイトルがちょっと可笑しいような。
なんで「暗黒童話」なんだろう?
まぁ不気味だけど、そんなオカルトチックな名前にしなくてもって感じでした。
で、この本で一番ガッカリした事それは、あとがきの方が面白い、と言う悲しさ。
乙一さんのあとがきはいつも面白いです。

菜深は事故で片目を失ってしまい、そのショックで過去の記憶が消滅してしまった。
不正ルートで入手した眼球を移植手術したが、その後不思議な体験をする事になる。
突如移植した左目が異変をきたし、その眼球の持ち主の過去を再生するのだ。
ある時菜深は誘拐殺人の現場の映像を見てしまう。
毎日のようにその人の過去に触れていたため、
もはや記憶の無い自分よりも親しみを感じ始めていた。
菜深はその眼球の記憶を頼りに、持ち主を殺したであろう人物を探す旅に出る。

来た!このグロさ、さすが乙一さん。と言っておく。
内臓が出ちゃったりとか事細かに書いてあるので、正直飛ばしました。(グロ嫌い
なんか一言感想を言え、と言うなら「なんで暗黒童話なのか判らん」です。
確かに童話の中に出てくるカラスがした行動は現実に考えるとグロイですが、
「本当は怖いグリム童話」とかそんな感じがしました。
暗黒・・・暗黒なのか?ちょっと謎。
まぁ主体となっているストーリーは、記憶喪失と言うか不思議体験。
それと平行して走っている童話がグロイのであって、主体はぐろくない。
淡々とした語り口とか、薄気味悪さは格別なんですけども。
うーん、でもなぁやっぱりタイトルが重過ぎる。
だってラストがあんなに爽やかに終わってるのに、こんなタイトルじゃもったいない。
ってタイトルの文句しかしゃべってませんが、個人的には好きな方でした。
2面書きも頑張ってた。笑
処女作なのかなぁ?まぁでも短編の方が向いてますよ、って言っておきたい。

*81

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2006年9月12日 (火)

「天帝妖狐」 乙一

天帝妖狐 天帝妖狐

著者:乙一
販売元:集英社
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久しぶりに乙一さん。
結構長め短編が2本収録されています。プチ長編て言うのか?
「失踪HOLIDAY」は何だか間延びした気がしてなりませんでしたが、
この「天帝妖狐」の中に入っている2本はとてもいい感じです。
勝手な事言うけど、乙一さんはこれくらいの長さが面白さを保つ限界のようだと。

「A MASKED BALL」(ちなみにこっちの方が私は好き。)
ある日人気の無い校内の男子トイレに妙な落書きが出現する。
次第に姿の見えない落書き仲間が5人揃うと、
校内での出来事や先生の悪口が繰り広げられるようになる。
しかしちょっとした遊びだったはずの落書きがいつの間にか、
犯行予告の伝言板になり、恐怖し始める。
学校のトイレを舞台にするなど、学校の怪談のような雰囲気。
カタカナで書かれた気味の悪い落書きの内容が、次の日になると実行される
その奇妙で薄暗い影を連想させる仕様がまさに乙一さんの魅力。
そこには日本的な恐怖(土臭さもあるような薄暗い怖さ)が、
しっかりと描かれていて、この先はどうなってしまうのだろうと心拍数が速くなる。笑
決して映像では見たくない、なんて。怖いし・・・。

「天帝妖狐」(ちょっとイメージしていたのと違った)
コックリさんをすることで、幼き夜木は霊(?)早苗を呼び出していた。
早苗の不老不死の言葉にそそのかされた夜木は、
自分の体と不老不死を交換する契約をしてしまう。
月日が経ち怪我をするごとに人間ではない邪悪な姿へ変貌する事になる。
その時の人間の軽蔑の眼差しと、動物さえも寄り付かない孤独が描かれている。
何となく妖狐なんていうから、化け狐にでも変身しちゃうのかな、
なんて思ってたんだけど違ったようで、孤独に耐える人間の心が綺麗に表されてます。
話の大半が手紙形式になっていて、乙一さんにしては硬い感じがしますが、
私的にはこの位の畏まった乙一キャラも好きだったりします。
まぁ文章がしっかりしている分、薄気味悪さ倍増って感じですが・・・。
結末の予想はつきますけど、淡々とした口調に引き込まれて最後まで楽しめます。

*83

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2006年8月31日 (木)

「平面いぬ。」 乙一

平面いぬ。 平面いぬ。

著者:乙一
販売元:集英社
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久しぶりに乙一さん。
なんだか一気に読みすぎたので、これも結構前に読んでいて2度読み。
表題作よりも他の話の方が結構好きだったりする珍しい本。
ちょっと残酷で、でもしっかりほろりと感動する。
他の短編よりはどれもやや長め。

ではまずは「石ノ目」から。これって結構有名なんだろうか?代表作?
目を合わせるとその相手の人間を石にしてしまう石ノ目と言う女の伝説があった。
「わたし」はひょんなことから幼い頃に失踪した母親を探す事になり、
同僚Nと共にる山の中に入るが、Nが不慮の事故で怪我をしてしまう。
Nを負ぶったわたしが必死にたどり着いた先、そこは石ノ目が住む家だったと言う話。
まぁご存知の通り乙一さんですから、ラストはしっかり出し抜いてくれます。
でも寂しいですね、ずっと石ノ目だと言われ続け生きてきたのかと思うと、
心が痛むばかりではなく、来る人来る人に恐れられ生活するのは、
一体どんな思いがしただろう、と考えると乙一さんの文章の深さが伝わってくる。
家の周りに並ぶ石造の死体の山、想像するだけでもぞっとしますけど、
その分だけ人間の心の厭らしさが表れていますね。
人間はダメと言われれば言われるだけ実行したくなる動物です。
なんと学習能力が無いことやら、そんな事も実感できます。
最後にはしっかり心に残る物を置いてってくれる話です。

次は「BLUE」を。これが実は一番好き。
結構ドタバタ話ですけど、なかなか童話的で好きなんですよねぇ。
不思議な布で作られたしゃべる人形5体が一般家庭に潜り込む話。
美しい容姿を持つ4体は長女のジェニファーに、
切れ端の布で作られいじめられる醜い「BLUE」は、末っ子テッドの物になった。
ジェニファーはお嬢様気質で美しい容姿の4体を持て囃していたが、
テッドは玩具を壊す乱暴な子供だったため、醜い体が益々ボロボロになってゆく。
しかし最後一番大切にされていたのはBLUEだった、という話。
親の理解の無さ、兄弟の確執?、いじめ、
などたっぷりな要素がしっかり入っているのに、
童話として読めるくらい綺麗に纏まっていて感心する。
それと、人間的な目から見ると、ボロボロに汚れた玩具ほど、
よく遊んだなぁ、と後になって感慨深く思うわけで、そう言う反面もしっかり。
ぬいぐるみ、懐かしいな。なんて昔を思い出しながら読むのに最適。

*83

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