2012年5月23日 (水)

■雑談:ものの価値

そういえば、OMA2は買っていない。

買う気が急激に失せたからである。

事の発端は(とわたしが勝手に思っているだけだが)、
ツアーの福岡の終演時間を某氏に尋ねた事である。

ツアー日程を見ていたら、そのへんしか観にいける予定が立たず、
その上編集期間でばたばたしていたので、「あ、そういえば福岡」
と突然原稿を書いているときに思い出し、
「終演時間を教えていただくことは可能ですか」
というような質問をわたしがしたのだった。

それに対する某氏の答えは、「僕に聞かないでください」だった。

質問を送った後、
まあはっきりとは教えてくれないでしょうねいつものことだ、
と考えていたが、それの返事がまさか「僕に聞かないでください」
であるとは思いもよらなかった。
ひどく落胆し、空虚な気分になった。

その後編集期間で原稿を書きまくりながら、
「僕に聞かないでください」という言葉がひっかかり続けた。
そして、いらいらし始めた。

なぜ返信の内容が「オフィシャルに聞いてください」ではなかったのか。

もしもわたしではない初めて観るような人が尋ねたのだったら、
こんな返事が来るはずがないと気づいてしまったのだ。
初めての人は、某氏がスケジュールに疎く、本人に聞いたところで、
返答がないことなど知る由もない。

ということはその言葉の裏側は、
オフィシャルに聞かないわたしの配慮のなさを責めた、ということになる。
っていうか、
そういう答えにくくて一番俺が把握してないようなこと聞くなである。

馴れ合いである。

わたしは某氏が作り出す曲を観ているのであり、
某氏を観ているのではない。

演出する方はする方で、ファンはファンである。
ただ一つそのファンの中に階級をつけることに、
わたしは昔から酷く腹を立てる傾向がある。
ファンは一人残らずすべからくファンであり、均一な対応をすべきだ。

そしていま酷く腹を立てているので、CDを買っていない。
あんなに忙しい時に、あんなに時間を注いで、あんなに愛でていた音楽を。
そして4、5年くらいの愛情をも、ここ一週間くらいで落とした気がする。

まあファンも増えたし、一人くらいいなくても大丈夫でしょう。
すべからく注がれなかった愛情の仕返しである。

この調子でツアーを観に行くのか不明である。
こうして、ここで文句を書きなぐっているだけ、
まだ観たいという気力があるのかもしれないと思う。

先月5ヶ月ぶりに観た「ライブ」は、このバンドだった。
5ヶ月前に最後に観た「ライブ」も、このバンドだった。

もう観ないだろうと思っていたライブを先月観ようと思ったのは、
その一週間前に、友人に「ライブがある、それを自分は観に行く
だから一緒に行かないか」と誘われたからだ。
(それまでは各バンドのホームページすら見ていなかったし、その時は断った)
しかし、後日ふと思い出して、よくよくホームページを見てみたら、
その日は偶然にもその当日であり、偶然にも某氏の誕生日であった。

仕事も手が空いていたのでたまたま、行ってみようかな、と誘惑の念が生まれ
その日の午後7時にライブハウスに電話をかけた。
「いまから一時間かかるんですが、そのバンドに間に合いますか」と。

わたしはその日に、だから、
まさか誰かが亡くなったなどという方々からの情報も一切なく、
すこやかな気分でライブを観終えたのだった。

あの日はとてもよいライブでした。

だからまた次も観たいと、思ってしまった。
そしていまその吸引力は誰かを亡くした悲しみがわたしを呼び寄せただけ
であって、その必要性は一瞬にしてもう、なくなったのではないか、と疑う。

そもそも、わたしが好きな理由であり、
そもそも、求めていたのは「女を疎ましく思う歌詞」である。
愛、などではない。
それが嫌いというわけではなく。そもそもの話だ。

しかしながら、あの日はとてもよいライブでした。
すべからく、平等で。

そこに背景の一部としてわたしがいることを許されていました。

と、まったく知らない人には、まったく分からない事を、
こんなに長く書いてしまった。校了したし今度は本の感想にしよう。

さっそくさっき『聞く力』阿川佐和子著を読み終わった。
阿川さんすんげぇ。
いや本当に。
いっき読み。
記者でよかった。
ガハハ。
明日エッセイ買おうっと。

ものの価値はそういうものだ。

いつも来てくださり、どうもありがとうございます。

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2012年5月21日 (月)

■雑談:おすそわけ

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田舎では「お裾分け」が日常である。

先日、実家ではお隣さんから筍を貰っていた。
なんともまあ鍋に入りきらないほどの「おしげもない」量である。
ともすると、「お裾分け」とは、「惜しまないもの」とも言えるだろうか。
(むしろ自分自身に不必要だからではないかとも思わなくもない)

また、筍はわたしの大好物であるから、にやにや満足したものの、
筍が苦手な人も必ずやいるはずである。
相手が好きか嫌いか分からないけれどもしかしたら喜ぶかもしれないので
とりあえずあげてみる、というのが「お裾分け」の醍醐味のようだ。
そもそも田舎ではお節介ものが多いのである。

ところで、こうした山のものや川のものは、
その土地を所有している人が、「作りすぎちゃったからあげるわ」的な
「お裾分け」が多いようだが、それには必ず「お返し」が必要である。

うちの実家には畑はない。
そのため母はフラワーアレンジメントで作ったブーケやらを、
ご近所の方々へのお返しにあげているようである。

よっぽどたちが悪い。

屋敷内が純和風なお宅に、ウェディングパーティーに飾るような
フラワーアレンジブーケを他人に飾られるほど、はた迷惑なことはない。

しかし、どうも母のブーケ欲しさに「お裾分け」してくれる人もいるようだ。

最近、奇人と変人と凡人について考えている。

いつも来てくださり、どうもありがとうございます。

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2012年5月17日 (木)

■雑談:グレープフルーツは掬う派ですか、むしる派ですか?

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ゴールデンウィークには、実家に帰っていたのですが、
なぜか我が家の夕飯にはグレープフルーツがほぼ欠かさず登場します。

特に先日帰省した際には、両親の「グレープフルーツブーム」と呼ばれる、
よく分からないブームの真っ只中だったので、
別にわたしは食べたいなどと一言も言っていないというのに、
「まさか食べるよね。ね、ね、もちろん食べるよね」
という感じで、夕飯もそこそこにグレープフルーツを差し出されるのでした。

その上、両親の間では「グレープフルーツの食べ方」にもこだわりがあり、
困ったことに2人の間では、お互いに食べ方を敵視し合っているのでした。

「私、絶対掬(すく)う派!」
「僕はむしる方だな」
「いや、掬う方が美味しいわよ」
「いや、むしった方が果肉を感じられる」
「いや、掬った方が最後の汁を掬ったとき美味しいのよ」
「いや、むしった方が汁も余さず食べられる」
「いや、掬った方が!」
「いや、むしった方が!」

……。

っていうか、どっちでもいいよ。
そもそもグレープフルーツ自体毎日はいらないよ。

な、ゴールデンウィークでした。
編集期間も佳境(華僑)を向かえ、
そんな平和なゴールデンウォークが懐かしくもあり。

編集期間は、デザイナーと入稿合戦が続き、
戦争、休戦、戦争、休戦を繰り返します。
いまはほんの数時間、嵐の前の静けさ。
そろそろ色校日に突入します。

いつも来てくださり、どうもありがとうございます。

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2012年5月14日 (月)

5/12FoZZtone@新宿タワレコ動画

こちらでも宣伝しておきましょう。
皆さまぜひライブハウスへ。

5/12FoZZtone@新宿タワレコ動画

■セットリスト

レインメーカー
TOUGH!!!
Tomorrow Never Knows
GAME
blow by blow
LOVE

2012年5月12日に新宿タワーレコードで行われた
FoZZtoneインストアライブ『LOVE』の動画です。
※許可を得て撮影しています

http://www.fozztone.com/

REC OK! TOUR決定!

FoZZtoneの出演時のみ録音・録画OKの対バンツアー。
出演バンドやツアーの詳細は順次オフィシャルHPにアップされます。
要チェック!

6/17(日)千葉LOOK
6/18(月)F.A.D YOKOHAMA
6/22(金)水戸LIGHT HOUSE
6/23(土)HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
6/28(木)高崎club FLEEZ
6/29(金)新潟CLUB RIVERST
7/4(水)池下CLUB UPSET
7/6(金)心斎橋DROP
7/8(日)福岡DRUM SON
7/18(水)福島アウトライン
7/19(木)仙台LIVE HOUSE enn 2nd

これ観てたみんなでやったらすごい宣伝効果だね。笑
ご本人たちも、インターネットのすごさが分かるだろう。

さてどこのライブを観に行けるやら。
時間があったら全部行くんだけどなあ、無理。
でもそれくらいいいライブしているよ、今。

古株ファンさん今が見ごろですよ。
ぜひライブハウスへ。
そして、その腰布なんですか、って聞いてあげてください。
わたしもまだ怖ろしくて、聞けていません。

本の感想もぼちぼち書きましょうかね。
たくさん、読んではいるのですが。

いつも来てくださり、どうもありがとうございます。

グッドナイト世界!

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2012年4月 9日 (月)

■雑談:FoZZtone新譜『LOVE』4/11発売

金を収集し、人間を100人集客するということは、
とても大変なことである、と最近仕事上で味わいました。
とても身にしみたと言ってもいいでしょう。

というのも、こうしたバンドを何年も見続けているからかもしれない。
このブログを毎日観に来てくれる奇特なのべ百数名の皆さまに、
FoZZtoneの新譜をお知らせいたします。

1人でも多くの人が、彼らのライブに興味を持ってくださいますよう。
わたしは密やかに願うばかりです。

ちなみに今回のPVはFoZZtone史上一番素敵な仕上がりではないか、
とわたし個人は思っております。
ジャンルはどこへ行きたいのかますますよく分からなくなった、
気もしなくもないですか……。

このPVを観ていると、カントリークラブのあたりの、
いきいきしていた彼らを何だか少し思い出すのでした。
楽しそうに演奏する彼らを観ているのが何より楽しいですね。



FoZZtoneの4/11リリースミニアルバム
「LOVE」の収録楽曲"LOVE"のミュージックビデオ

少しでも興味をもたれたら、公式サイトへどうぞ。
http://www.fozztone.com/
6月には、録音・撮影OKのリリースツアーがあります。

なんて、宣伝しているわたしはとてもファンみたいですね。
そうです、とてもファンみたいです、長らく。
まあご本人たちには口が裂けても言いませんが。
そう考えるとここを見ていたら、嬉しいものですね。

いつも来てくださりどうもありがとうございます。

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2012年4月 6日 (金)

4/6FoZZtone@横浜F.A.D

4/6FoZZtone@横浜F.A.D

0.ベイビーゴーホーム

1.LOVE
2.TOUGH!!!
3.4D
4.blow by blow
5.レインメーカー
6.口笛男

すばらしい映画のワンシーンによく似ていました。

一つ言うなら、そのターバン何……?

ともあれお誕生日おめでとう。
みんないろいろあると思うけど、頑張れよ。
お前もな。

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2012年4月 3日 (火)

「シアター!」 有川浩

20120403

ものすごい天気が続いていますね。東京は脆いと思います。地震がきたら、
一発で地獄の町と化するでしょう。なんて暗い話はさて置き、明るい明るい
有川浩を読みました。すばらしい。以前の感想をお読み頂ければ分かると
思いますが、わたしは有川否定派みたいなことを言っておりました。撤回。

小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…
そう、お金がないのだ!!その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は
兄の司に泣きつく。司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益から
この300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。
新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。
そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は
旗揚げされるのだが…。(Amazonより)

一ヶ月十冊の本を読めると爽快な気分になることが分かりました。本で
なくてはなりません。何かが完結していなければなりません。何という
ことでしょう。雑誌は何も完結せず、困ったものです。それでも毎月
出来上がるのですから、誰かが作ったものを十冊読む、ということが
鍵のような気もします。と前置きはさて置き。わたしはいままで有川さん
の本を斜めに読んできましたが、この本は手放しで「面白かった!」と
喝采した本でした。次の日に2巻を買いに行きました。その本の続編が
いますぐにでも読みたくなるなんていつ以来だろうと思ったりして、
そこまで楽しい気分にさせてくれたただそれだけで、感謝したいです。
ちなみに、続編が気になるほど楽しみに読んだ本は、と思い出したのは、
あさのあつこの「バッテリー」でした。相当昔の話です。物語はもとより、
この本のすばらしさは、キャラクターの書き分け。主人公(?)である
巧が行っているのと同様、キャラクター個々に対する思い入れや背景、
家庭事情や個性、すべてをしっかり決めた上で舞台で演じさせている、
という枠組みの強固さが圧巻だったこと。この本のために生まれたのではなく、
あたかもどこかで生きている人間を描写し、それでいてお得意の
軽い筆運びで物語が進んでいくので、あれよあれよという間に本の中に
引き込まれ、まるで自分も客席で公演を観ているような心持になった。
「シアターフラッグは、軽い話が売り」ということがたびたび出てくるのだが、
それはこの本、有川さんの作風のことでもあるだろう。しかし、軽く
大衆受けするためだけの物語ではなく、キャラクターひとりひとりに
愛情を注いでいる。物語は人数が少ない方がまとまるだろう。それは
当たり前の事である。けれどもこの本のなかでは、人数が多いこその
まとまりを見事に感じることが出来た。その2つのポイントの奇跡的な
マッチング、それから演劇の何かを皆で作る、という共同作業の楽しさ
が溢れていた本だった。わたしも演劇をやっていればよかった。なんて、
思わせてくれるそんな本。そう思わせてくれる本こそが演劇の魅力を
真に表すことが出来ているとも言えるのではないだろうか。余談ですが、
解説も面白いです。そして演劇をやっていればよかったと思うのでした。
そして禁断の図書館戦争シリーズをついに読むべきか迷うのでした。

★★★★★*98

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2012年3月26日 (月)

「PK」 伊坂幸太郎

20120326
伊坂さんの本実に2年以上ぶりだと思われる。何とも不義理をした
ものですね。しかし『SOSの猿』くらいからとても読む気分になれ
なくて、どうも歪んだ感想ばかり生まれるので、ならばいっそ読まない
ほうがいいのではないか、時期が。と思い、その時期が今のようだった。

その決断が未来を変える。連鎖して、三つの世界を変動させる。
こだわりとたくらみに満ちた三中篇を貫く、伊坂幸太郎が
見ている未来とは―。未来三部作。(Amazonより)

数年前から色濃く感じ始めたのが、「政治」の色。わたし個人は、
伊坂さんに政治的なことを書いてほしくないのだが、どうにも、
政治がないと物語が組みあがらないような密接な風景を用意されていて、
これでは政治について読めと言われているのか、「伊坂幸太郎」について
読めと言われているのか、良く分からないじゃないか、というのが
第一感想だった。なぜ政治的なことを書いてほしくないのかという
部分については、もちろん「もっと気軽な小説を読みたいから」なんて
意見もないこともないのだけども、そうではなくて、根本的な部分で、
いまの政治が大変つまらないものであるから、という局地に尽きる。
例えば学生運動の盛んだった時代の小説などは、ただそれだけで面白い
のだけれど、いまは「がくせいうんどう?」と首を傾げる学生ばかりの
腑抜けな学生ばかりしか存在しないし、そもそも運動をしようという
気力がないのである。というような分かりきった部分で、なんとなしに
絡められる政治につていの話は、なんだか、「で、だからなんなの?」
というどうしようもないやりきれなさみたいなものがわたしの中に
(勝手に)生まれて、だから、書くならもっともっと政治を攻め立てる
ように書いてくれ、でないと、報道が、政治が、ただ、腐っていく
ばかりであると思うのだった。しかし、この軽快な物語で、少しでも
政治に興味を失っている学生と思しき人たちが、政治というなんらかに
触れて、何かを感じてくれるなら、それに意味があるようにも思う。
それを担っているのだから、頑張ってくれと、こんなに素晴らしい
物語を読んでもまだ、「まだまだいける」と攻め立ててしまうのだろう。

★★★☆☆*86

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2012年3月25日 (日)

「ふじこさん」 大島真寿美

久しぶりに大島さんを読んだ。単に文庫コーナーに並んでいたので、
たまたま手に取ったのだけれども、やっぱり輝きが違うなあと思った。
いつしか角田光代のような存在になってくれるだろう、なんて期待を
存分に持ちながら、次回作を楽しみにしている。わたしのための、宝物。

離婚寸前の両親の間で自分がモノのように取り合いされることに
うんざりしている小学生のリサ。別居中の父が住むマンションの
最上階から下をのぞき、子供の自殺について考えをめぐらせる
ことがもっぱらの趣味。ある日きまぐれに父の部屋を訪れると
見覚えのない若い女の人が出迎えてくれて…。ほか二編。
(Amazonより)

一番最初に読んだ大島さんの本はなんだったか。「ほどけるとける」
だったか、「戦友の恋」だったか。この本を読んで改めて感じたことだが、
大島さんの本は、「欠けた」ものしか登場しない。そしてその欠けた
ものを気づかないように努める姿をとてもうまく描く作家である。
今回3編入った中の「ふじこさん」はとくにそれを上手く捉えていて、
なぜだか分からない心惹かれたものが、後になって自分の宝物であった
と気づく話だ。渦中にいる、ぐちゃぐちゃした感情に飲まれて、
本当に救われている部分に気づけないでいる。しかし、気づけないで
いたと分かることすらも、「いつしか浮上してきた私」というところに
立たないと実感を得ることができないという。でも、本当にそうなのか、
というと、それは自分の中の問題なのであって、その「渦中」が過ぎ
去るのは、今日かもしれなく、明日かもしれなく、そして、主人公の
ように椅子が届いたときであるかもしれないのだ。もう過ぎ去った
ときに、そこにその人がいなかったら、いまの自分が保てないような
不安と有り難さを感じるそれこそが宝物といえる代物なのだ。
と教えてもらった本だった。死にたがり。一度くらいは、水中を浮上し
水面に顔を上げるみたいに「やったー」と健やかな喜びを人生で
感じてみたいものである。

★★★★☆*90

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2012年3月10日 (土)

「孤独」 北野武

と言うわけで、久しぶりの感想を書きます。その感想がなぜ北野武
なのか、というのかというのもアレですが、特に意味はありません。
ソフトバンク文庫というのを初めて読んだのですが、なんだか安っ
ぽさが満点で、これでいいのか?と首を傾げた読了でした。

ビレバンで適当に手にとった本だったので、シリーズもののしかも
真ん中の本だったとはつゆしらず、読み終わる頃にうっかり気づく
次第。実は年末の鶴瓶が武に話しておきたいごろっこのこと、を見て
以来なんだかもっと真面目に北野武を知っておかないとダメだなあ
と思っていた。誰もが知っている北野武だが、この本に書かれた
本音は読んでよかったと思える価値のあるものだった。ただ一人の
人間の話ただそれだけなのに、価値あるものと思えるのはなぜだろう。
そう言えば各章の文末に「。」がない部分が確実に二ヶ所以上あったが、
あれは校正ミスなんじゃなかろうか?などと考えていたら、文章全体
も句読点を忘れるくらいお粗末な本なんではないかなどと疑問が残る
のだった。本人がとてもいいことを言っても、書いている人間が能力
が低いと、せっかくの話が台無しである。本文でないところで煮え
切らない気分なった。いま北野武は65歳で、解説では65で死ぬなんて
書いてあるものだからドキリとした。しかし、不思議なもので、
この本が書かれた55歳の時点での北野武に、わたしはまったく興味がない。
いまのわたしのこの興味は、この10年で培われた彼の魅力だと思う。

★★★★☆*87

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